私立中高進学通信
2023年8月号
私たち、僕たちが大好きな先生
江戸川女子中学校
「なぜ?」を大切に
社会科の面白さを説く
社会科 越智 大介(おち だいすけ)先生
中高一貫の私立男子校、駒場東邦卒。在学中はブラスバンド部に所属してトロンボーンを担当、部長も務める。
その後、早稲田大学政治経済学部で学び、卒業後の2020年度に新任の社会科教諭として同校に奉職する。
中学校の社会科(地理的分野)、高校の地理を担当する。吹奏楽部とクイズ愛好会の顧問を務める。
2020年に教員となった越智大介先生。世代的に生徒に近く、話しやすい若手の先生として慕われています。担当する社会科の授業では、生徒が自分の考えを発信しやすい雰囲気づくりを心がけるとともに、ともすれば暗記中心と思われがちな教科の面白さを伝えています。
学校に通い、仲間とともに
授業を受ける意味
――私立中高一貫校の教員を志したきっかけは何ですか?
私自身、中学受験を経験して中高一貫の私立男子校で6年間を過ごしたので、私立中高一貫校にはなじみがありました。中学では、公立小学校にはいなかったタイプの生徒や、自分と同じように勉強を頑張って入学してきた生徒がいましたし、個性的な先生方も多く、学校生活が充実していました。そこで、今度は自分がその良さを伝える側になりたいという思いがありました。
勉強などを人に教えることが好きで、小学生の頃から教員になりたいと思っていました。中高でブラスバンド部だったのですが、後輩を指導することが好きでしたね。大勢をまとめることも好きで、自ら立候補して部長を務めましたし、生徒会活動など人前に立つことが好きだったところも影響していると思います。大学生の時に母校へ教育実習に行って、やはり教員になりたいという思いが強くなりました。
――社会科の教員になった経緯はどのようなものですか?
実は高3までは理系で、社会科は好きでも得意でもなかったのですが、受験期に文系の分野に興味を持ち、大学の政治経済学部に進学。そのこともあって社会科の教員になりました。もともと理系だったことは高校生の授業で話しているので、進路を考えるうえでの参考になっているかもしれません。
――授業ではどのようなことを心がけていますか?
私が教員になったのは、ちょうどコロナ禍が始まった2020年4月でした。生徒が登校できず、オンラインでの授業が行われました。今も非常時は自宅で授業を受けられる仕組みは整っていますが、だからこそ学校に来て友達と一緒に授業を受ける価値を、生徒が理解できる授業をしなければならないと思います。私の授業では、誰かを指名するというよりは、全体に問いかけて反応を見ながら進めていきます。初めの頃は生徒も緊張しているせいか、発言が少ないですが、「間違っていても声に出していいんだよ」と促して、生徒の発言を起点に授業を展開するようにしています。自宅で授業を受けている時に自分では理解できたと思っても、ほかの人はもっと深く理解しているかもしれません。また、自分がわからないと思う箇所を、みんなもわかっていないかもしれません。周りの人の理解度をその場にいて共有し刺激を受け合い、ともに考えるところに学校で集まり授業を受ける意味があるんだと思います。
――社会科を教えるうえで、大切にしているのはどのようなことですか?
中学受験の経験者は特に、社会科は暗記教科だと思っているでしょう。確かに覚えなければならない部分もありますが、理論の部分もあります。「砂漠にはどうして雨が少ないのか」「マカオの案内板に中国語とポルトガル語が書いてあるのはなぜなのか」のように「なぜ?」を大切にしてほしいと思います。そこには、必ず何か理由があるのです。そこから社会科の面白さを知り、興味につなげていってほしいと思います。
授業では、国際的な視野をもってほしいという思いから、世界地理の比重を大きめにしています。
相談しやすい
“親しいお兄さん”のように
――社会科の授業以外では生徒とどのように接していますか?
英語や数学などと比べて社会科は授業数が少ないので、担任をしていても生徒と顔を合わせる時間があまり多くありません。できるだけ生徒と一緒に過ごす時間を増やそうという気持ちから、生徒が朝に受ける漢字や英単語のテストを一緒に受けています。すると、生徒が他教科でどういう取り組みをしているかがわかります。地理は理科や英語とも関連する内容があるので、授業でも話題にでき、社会科とほかの教科との橋渡しもできていると思います。
――毎週「学級通信」を発行されているそうですね?
基本は学校行事や試験などに向けて、生徒へのメッセージを文章にしています。ただ、中学生になると家庭であまり学校の話をしないようなので、保護者にも読んでいただこうというスタンスです。それが家庭での話題になればと思っています。
――生徒にとって越智先生はどのような存在だと思いますか?
この3年間、毎年中1の社会科を教えてきたので、中学生全員と接してきました。話しかけやすい、接しやすいと思ってもらえているように感じます。年齢的にも生徒に近いので、親しいお兄さんのような感覚ではないでしょうか。私も、生徒の相談相手になれるように成長していきたいと思っています。
生徒の声
中学3年間ずっと担任で、社会科の先生としても、さらに吹奏楽部でも接してきました。先生はとても優しく、怒った姿を見たことがありません。話し好きで、帰りのホームルームが長引くこともよくあります。真面目な感じに見えますが、面白い一面もあります。あと先生が高校時代に吹奏楽部の部長として後輩たちに書いてあげた激励のメッセージを、私たちにも教えてくださいました。詩のようなメッセージでとても印象に残っています。
国際コースで、中1の時に地理を教えていただきました。同じ人名でも英語とスペイン語では発音が違うなど、興味深いことを話してくださって、私が社会科に興味をもつきっかけになりました。中学入学時点の私は、社会科がほとんどできませんでしたが、先生の授業のおかげで地理がいちばんの得意科目になりました。授業がわかりやすいだけでなく、国際的なことも学べました。先生は親しみがあって相談しやすいので、毎週の授業後に質問しました。
(この記事は『私立中高進学通信2023年8月号』に掲載しました。)
江戸川女子中学校
〒133-8552 東京都江戸川区東小岩5-22-1
TEL:03-3659-1241
進学通信掲載情報
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