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私立中高進学通信

2021年2・3月合併号

実践!私学のグローバル教育「授業(コース)」

文化学園大学杉並中学校

一般入試にも活きる!
DDコースでカナダの高校卒業資格も取得

日本と海外の高校の卒業資格が同時に取得できるダブルディプロマ(DD)制度をいち早く導入した同校。海外大学をはじめ国際基督教大学(ICU)、上智大学、東京外国語大学などへ卒業生を送り出しています。
2019年度のDDコース卒業式の様子。全員が無事、日本・BC州、両方の高校を卒業することができました。

2019年度のDDコース卒業式の様子。
全員が無事、日本・BC州、両方の高校を卒業することができました。

カナダの教育を英語で学び
高い英語力と国際理解力を習得
BC州の理科の授業では、実験を多く取り入れており、探究的な学びが体験できます。BC州の理科の授業では、実験を多く取り入れており、探究的な学びが体験できます。

 2015年度より、日本で初めて『ダブルディプロマコース』(以下DDコース)を高校に開設した同校。校内にカナダのブリティッシュコロンビア州(以下BC州) 政府が認可した「Bunka Suginami Canadian International School」を設置し、BC州が認可した常駐のネイティブ教員が、現地の公立高校と同じカリキュラムの教育を英語で行っています(※2)。

 DDコースの生徒は、毎日、日本とBC州、両方の高校の授業を受講することで、日本にいながら高い国際理解力と英語力を獲得でき、高3時にBC州の卒業試験「Provincial exams」に合格すると、卒業時には日本とBC州、両方の高校の卒業資格が得られます。この資格があれば、アメリカ・イギリスなど英語で授業が行われている海外大学への受験が可能となり、上智大学、国際基督教大学など国内の難関国際系大学への受験でもアドバンテージとなります。2019年度からは、 中学にも『DD準備コース』を新設し、高校からのDDコースに備えた高度な英語教育を行っています。

 DDコースの卒業生で、現在、上智大学で学ぶ関口真琳奈さんは、同校在学当時について、「平日は授業が7時50分の0限から始まり、午後4時過ぎの7限まで続きました。土曜日も午後まで授業があり、卒業までに30時間のボランティア活動も必須でした。どの教科も課題がとても多かったですね」と、振り返ります。

 関口さんが在学当時の担任を務めた三間理恵子先生(現DDコース高2生担当)は、「BC州のカリキュラムは、課題を多く出すことを前提に授業が組み立てられています。創作やプレゼンテーションなど、自己表現が必要とされる課題や、グループワークも多いので、協調性も養われます。定期テストもありますが、テストの点数よりも、課題やレポートの内容で評価されるのも特徴です」と話します。

「BC州の授業では暗記ができても、内容を理解していないと評価されません。ノート持ち込みOKのテストも多く、理解してその知識を活かすことが求められていました」(関口さん)

※1 2020年度の高1・カナダ短期留学では、新型コロナウイルス対策として日本国内で3週間の授業を行い、残りの2週間を2021年度にカナダで実施予定です。

※2 数学・社会科・理科などの授業も英語で行われますが、一部の授業は日本人の教員とのチームティーチングで行われます。

文化祭など学校生活もエンジョイ
大学一般入試対策にも注力

 学習面のスケジュールはハードでしたが、関口さんは他コースの生徒と同じように文化祭などの学校行事や委員会に参加し、学校生活を思い切り楽しんだそうです。

「高2・高3の文化祭では飲食の模擬店を出したので、本当に忙しかったです。部活動や同好会に参加しているクラスメートも多く、私もボランティア部に所属していました。校内のリサイクル活動や地域イベントのお手伝いなどをしたことが、とても良い経験になりました」(関口さん)

 関口さんは推薦入試で上智大学に合格。関口さんと同じDDコース二期生は13名。海外大学に2名が入学、そのほかの生徒はAO入試や推薦入試で国内の大学に進学し、一般入試にチャレンジして合格した生徒もいたそうです。

 2020年度入試から、AO入試は総合型選抜へ、推薦入試は学校推薦型選抜へと制度が変わり、学力試験を課す大学も増えてきました。英語力だけでは突破できない傾向にあるため、日本語の論文指導にも力を入れていると三間先生は話します。

「推薦で入学が決まれば良いのですが、そうなるとは限りません。生徒には日本の大学の一般入試にも対応できる勉強をしなさいと指導しています。BC州の卒業資格があれば、帰国生入試での大学受験が可能なため、志望大学を受験する際、一般入試も含め2回受験できるという利点もあります。海外大学をめざせるのも、大きなメリットだと思います」(三間先生)

「今、大学で勉強していて、DDコースで学んだ知識や英語力、経験の蓄積がとても役に立っていると実感しています。忙しくてもDDコースでがんばって良かったと思います」(関口さん)

DDコースでは、カナダ・BC州の社会科の単位を取得するため、高1の7月から約5週間のカナダ短期留学を実施(※1)。一般家庭にホームステイし、現地の公立高校で授業を受け、アクティビティを楽しみながら、英語力も鍛えられます。DDコースでは、カナダ・BC州の社会科の単位を取得するため、高1の7月から約5週間のカナダ短期留学を実施(※1)。一般家庭にホームステイし、現地の公立高校で授業を受け、アクティビティを楽しみながら、英語力も鍛えられます。
カナダ・BC州の数学の授業の様子。ネイティブ教員が英語で指導します。日本の高校の数学の授業は、日本人の教員が指導します。カナダ・BC州の数学の授業の様子。ネイティブ教員が英語で指導します。日本の高校の数学の授業は、日本人の教員が指導します。

※1 2020年度の高1・カナダ短期留学では、新型コロナウイルス対策として日本国内で3週間の授業を行い、残りの2週間を2021年度にカナダで実施予定です。

先生&卒業生インタビュー
「DDコースで高校3年間学んで良かった」
2018年度卒業のDDコース二期生である関口真琳奈さんと、当時、関口さんの担任をしていた三間理恵子先生にお話を聞きました。

 卒業生の関口さんは、高度な英語力が必要なDDコースに進んだものの「“英語がとても得意です”とアピールできるほどの自信はなかった」と言います。英語力をもっと身につけたいと、高1のカナダ短期留学には、気合を入れて参加したそうです。

「恥ずかしがりやで前に出られる性格ではないのですが、高1のカナダ短期留学の時は、意識して自分から話すように心がけました。
 帰国してからも表現力を高めるために職員室に通って、BC州のネイティブの先生にディスカッションしてもらい、放課後も残って勉強していました。朝から夜までずっと学校にいたような気がします」(関口さん)

 勉強面ではハードでしたが「クラスメートもみんな、がんばって勉強をする雰囲気なので、自ずと勉強に打ち込めました」と言います。

 関口さんの担任を務めていた三間先生は、高2の修学旅行での出来事がとても印象に残っていると話してくれました。

「修学旅行でイタリアを訪れた時、帰国後すぐに英検準1級の二次試験が予定されていました。そのため、修学旅行の最終日には、関口さんも含め何人もの生徒たちが私のホテルの部屋に来て、一晩中、面接の練習をしたことがとても印象に残っています。みんな、一生懸命でしたね」

 三間先生は、現在、DDコース高2生の担任を務めています。

「英検などの資格取得は、大学入試において非常に重要です。そのことは常に生徒に伝え、サポートしています」

カナダ短期留学では、BC州の一般家庭にホームステイします。関口さん(右)は、ホストファミリーとも楽しい時間を過ごしたそうです。カナダ短期留学では、BC州の一般家庭にホームステイします。関口さん(右)は、ホストファミリーとも楽しい時間を過ごしたそうです。
三間理恵子先生(現DDコース高2生担当・左)と卒業生の関口真琳奈さん(上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科に在学・右)。三間理恵子先生(現DDコース高2生担当・左)と卒業生の関口真琳奈さん(上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科に在学・右)。
DDコース
高校3年間の流れ
高1 4月入学前 英語オリエンテーションキャンプ(2泊3日)
7月 カナダ短期留学(5週間、「Social Studies10」(社会科)の単位を取得)
高2 4月 理系・文系に分かれる
2月 海外修学旅行(予定)
高3 7月〜 BC州の卒業試験「Provincial exams」(計4回の受験が可能) 海外大学入学準備
9月~ 国内大学総合型選抜入試の準備(面接、論文など)
2月~ 国内大学一般入試
3月 卒業式

必要に応じて随時、英検、IELTS(※3)、TOEFL(※4)などを受検

※3 IELTS…海外留学をめざす場合などに英語力を証明するために利用するテスト。カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・アイルランドなどを中心に入学認定試験として認められています。

※4 TOEFL…英語を母語としない人のための英語力を判定するテスト。海外留学をめざす場合の合否判定に利用されます。

高1のカナダ短期留学での関口さん(右)。
授業やフィールドワークのほか、アクティビティも楽しみました。

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