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私立中高進学通信

2021年7月号

注目! News and Topics

玉川学園 (中)

企業と連携したキャリア教育と伝統の玉川学園展で
オンラインを活用し探究心を育む

自動販売機の製造会社と運営会社にZoomでプレゼンするクラス代表の生徒。
残されたクラスメートはその様子を教室で見守りました。
企業側は生徒の質問に答えたり、賞を用意してくれるなど、
オンラインを通じて双方向のやりとりができました。

年間を通して構築する
企業と連携したキャリア教育

「全人教育」を理念に、「個性尊重」「自学自律」など12の教育信条を掲げて生徒の育成を行っている同校。オンラインを活用し、年間を通したキャリア教育にも力を注いでいます。

 技術・家庭科を教える山田真也先生は、昨年からキャリア教育の一環として企業と連携したオンライン授業を行っています。

「昨年はコロナ禍の影響もあり、オンラインで生徒に課題を提示することにしました。そんな時、チョコレート菓子のキットカットがパッケージをプラスチックから紙に変えたことを知り、ネスレ日本株式会社に連絡をして、教材として活用させてもらいました」

 中1の技術科では、まず初めにポリエステルやポリエチレンなど「素材」について勉強することもあり、格好の生きた教材になりました。商品のパッケージを変えるには費用がかかります。ではなぜ変更するのか、生徒は各自で問題を発見し、どうしたら解決できるのかを考え、文章で提出しました。

「その次は、生徒にとって最も身近な文房具であるシャープペンシルを分解させ、素材について考える授業を行いました。また、セーラー万年筆株式会社の協力で、生徒が描いた分解図について講評・解説をいただくこともできました」

 コロナ禍の問題もあり、企業の方とはメールでのやりとりとなりましたが、働く意義などキャリアの観点からの質問にも快く応じてくださり、授業で生徒たちにフィードバックできました。

 生徒たちは、パソコンを使った文章の書き方やレポートのまとめ方を学んだ後、次にグループで企業にプレゼンする方法を学びました。

「昨年1年間のまとめに、『未来(30年後)の自動販売機を考えよう』というテーマで自動販売機の製造会社と運営会社にプレゼンしました。9年生(中3)で自動化について勉強するので、その仕組みを調べる授業につなげたいという意図もあり、誰もが使ったことのある自動販売機を取り上げました」

 プレゼン当日は1時間目に各クラスの代表者を決め、2時間目に講堂から、企業の方にZoomでプレゼンを敢行。実りのある授業になりました。

「一年を通して生徒に変化が見えました。今では、街で発見するいろいろなことを私に教えてくれます。たとえば、スターバックスの紙ストローの普及度合いを調べたり、海洋プラスチックごみについて取材してまとめたりと、社会への興味や問題点を見つける芽が育ってきたことがうれしいです。年間を通して取り組み、生徒たちがどう変化したか。そのわだちこそがキャリア教育だと考えています」

伝統の「玉川学園展」も
初のオンライン開催

 同校には、さまざまな分野から自分の興味・関心に沿ってテーマを決め、自発的に研究に取り組む「自由研究」という授業があります。毎年、その1年間の成果を発表する「玉川学園展」を行っていますが、昨年はコロナ禍の影響で初のオンライン開催となりました。

「もともと玉川学園展は、生徒たちの自由研究をパネルやスライドショーにして、保護者や外部の方に見ていただくものです。昨年度は普段のオンライン授業でも活用している学内ネットワークを使ってネット配信しました」(国語科・市川信先生)

 オンライン開催で良かった点は何だったのでしょうか。

「まず、これまでは同じ時間帯に別の教室でプレゼンが重なる場合があり、物理的に見られないことがありました。オンラインでは時間を区切って4~8団体が発表したので、いろいろな自由研究を見てもらうことができました。また、今まではスライドを遠目で見ると文字が読みにくいなどの問題がありましたが、観覧者が各自パソコンで見るので、発表が見やすいという利点がありました」

 しかし、課題もあったそうです。

「観覧者の反応が見えにくいことです。今回は、配信を安定させるために質疑応答の時間を取らずに発表しましたが、リアクションが読めないと生徒のモチベーションにも関わるので、この点は次回の課題ですね」

 玉川学園展で発表する自由研究は、「総合的な学習」の時間にあたりますが、この教科が授業の一環なのは珍しいと市川先生は言います。

「本校には絵画、茶道、統計、プログラミングと多岐にわたりエキスパートの教員がいます。よく『ゴールフリー』という言葉を使いますが、本校は創立初期から、生徒の興味を伸ばすことを大切にしているので、生徒はどこまでも突き進んで研究できます」

 同校は7・8年生(中1・中2)で自由研究、9年生で「学びの技」という研究のノウハウを身につけ、10年生(高1)からまた新たな自由研究に取り組みます。中学年で好きな分野を見つけ、高学年でそのテーマを掘り下げる生徒もたくさんいるそうです。

 コロナ禍というピンチを、オンラインを活用することでチャンスに変えて生徒の探究心を育む同校。あらゆる学びが学園の「全人教育」を支え、「自学自律」の精神を育てています。

技術・家庭科/山田真也先生技術・家庭科/山田真也先生
国語科/市川信先生国語科/市川信先生
オンラインを活用した玉川学園展

「Dream~未来への一歩~」をテーマに、オンラインで配信を行った「玉川学園展」。1年間の研究成果を通して、新しいことに一歩踏み出そうとする姿勢を見せたいという思いが込められた発表の場となりました。

 オンラインでの開催となり、発表する側にも観る側にも制限がある中で、生徒たちの研究に対する姿勢は例年と変わりなく、同時に制限のある中でどのように発表するかといった「開拓者」精神で、果敢にチャレンジする一面を垣間見ることができました。


ICTで企業と連携したキャリア教育
生徒が提出したシャープペンシルの分解図。プラスチックを減らすという視点から代替えできる部品を考え、企業からも講評・解説をいただきました。生徒が提出したシャープペンシルの分解図。プラスチックを減らすという視点から代替えできる部品を考え、企業からも講評・解説をいただきました。
生徒の考えた未来の自動販売機。太陽光パネルや防犯カメラなど、飲み物を売るだけではなく社会に役立つ機能が盛り込まれています。生徒の考えた未来の自動販売機。太陽光パネルや防犯カメラなど、飲み物を売るだけではなく社会に役立つ機能が盛り込まれています。
玉川学園の「全人教育」

 玉川学園の「全人教育」は、創立者・小原國芳が提唱した教育理念です。

 人間形成には「真・善・美・聖・健・富」の6つの価値を調和的に創造することを教育の理想としており、その理想を実現するため、「全人教育」「個性尊重」「自学自律」「能率高き教育」「学的根拠に立てる教育」「自然の尊重」「師弟間の温情」「労作教育」「反対の合一」「第二里行者と人生の開拓者」「24時間の教育」「国際教育」の12の教育信条を掲げた教育活動を行っています。

進学通信 2021年7月号
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