私立中高進学通信
2022年7月号
注目! News and Topics
玉川学園 (中)
企業への直接プレゼンテーションが
生徒たちを大きく成長させる

昨年は各クラスの代表2チーム、合計8チームが来園した貝印株式会社の社員の前でプレゼンに挑戦しました。
教科横断で取り組む
企業とのコラボ授業

創立者である小原國芳氏の提唱した「調和ある人格の形成」を理想とする「全人教育」を教育理念に掲げる同学園では、2020年度から企業とコラボレーションした授業に取り組んでいます。
「身の回りにあること一つひとつを『当たり前』と考えず、『なぜ?』という疑問を持つことから学習の一歩が始まると考えています。だからこそ、今そこにある社会で起こっている事象に目を向け、生徒たちの考える力を養いたいと考えたことがこの取り組みのきっかけでした」
そう話すのは、技術・家庭科の技術分野を担当する山田真也先生です。
「最初はチョコレート菓子の『キットカット』の包装を紙製に切り替えたネスレ日本株式会社の協力のもと、『なぜ紙製の包装に変えたのか?』について考える授業を行いました。そうした授業を進める中で、知らない大人たちに自分たちの意見をプレゼンする機会があれば、生徒たちはもっと成長できるだろうと考えて、協力していただけないかと企業に打診しました」
2020年度末は自動販売機を製造・販売する富士電機株式会社と、自動販売機の運用を行う株式会社八洋に協力を依頼し、『未来の自動販売機を考えよう』というテーマで、生徒たちがプレゼンを行いました。
さらに翌2021年度からは、数学科の鈴木孝春先生が加わり、技術分野と数学科との教科横断による取り組みへと進化します。
「数学科として、グラフの活用について話をしました。授業でグラフの描き方や読み方は学習しますが、それが実際にどういう場面で使われるかを学習する絶好の機会だと感じました」
8年生(中2)でデータサイエンスの授業を行うので、この取り組みに参加することで、そこにつなげていきたかったと鈴木先生は話します。
「授業でグラフについて学習しても、その面白さや実用性を実感するところまではなかなかいきません。ですがプレゼンの資料の中でグラフを用いて説明すると、言葉だけよりも説得力を持ちます。そうしたグラフの有用性について、気づいてほしいと思っています」(鈴木先生)
企業へのプレゼン体験が
生徒たちの成長を促す
企業へのプレゼンを経験することで、生徒たちが大きく成長すると山田先生と鈴木先生は口をそろえます。
「昨年は『プラスチックについて、企業が努力をしている部分に目を向けてほしい』と考え、グローバル刃物メーカーの貝印株式会社が開発した世界初の『紙カミソリ®』を7年生(中1)の教材としました。テーマは『紙カミソリ®を広めるためのキャッチコピーを考えよう』。最終的には、貝印株式会社の社員の方々の目の前で直接プレゼンさせていただくことができました。企業へのプレゼンで一位を獲得し、うれし涙を流す生徒もいれば、負けて悔し涙を流した生徒もいました。生徒たちのプレゼンにかける熱意が伝わってきましたね」(山田先生)
そんな貝印株式会社へのプレゼンを経験した今年の8年生は、テーマに即したスライドを用意する段階で、班内の役割分担がすぐに決まって、動き出しが非常にスムーズだったと山田先生は話します。
「ミッション解決に向けて何をしたらいいのかを、互いにわかっているのを感じました。昨年と比べて、生徒たちが大きく成長したことを感じましたね。今年は年度末に8年生がエネルギーについて企業に、7年生は日本初の『プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する条例』を施行した京都府亀岡市にプレゼンを行う予定です」(山田先生)
「企業へのプレゼンでは、『どうしたら売れるのか?』という点に視点を置くことになりますが、行政では福祉も含めて幅広い視点を持つことが必要となります。さらにいろいろな立場の人のことも考える必要があり、国や自治体が福祉や生活などさまざまなことを考えてバランスをとっているからこそ、みんなの生活が成り立っているということを知ってほしいですね」(鈴木先生)





(この記事は『私立中高進学通信2022年7月号』に掲載しました。)
玉川学園 (中)
〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
TEL:042-739-8931
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