触れて感じて表現する
コスモスウィークの活動

お話を伺った中学部長の中西郭弘先生（右）と、第8学年主任の小林潤先生（左）。

　創立以来、「全人教育」を教育理念の中心に教育活動を行っている玉川学園。3年前からは11月第2週を「コスモスウィーク」と命名し、生徒たちの教養を深めるために数多くのアカデミックな行事を設定しています。

「計9教科の勉強だけではなく、幼稚園から大学まで一つのキャンパスに集まる本校だからこそ学べるような中学の行事を以前から実施してきたのですが、学年別で時期もバラバラに行っていました。それらのイベントをブラッシュアップしつつ、11月第2週に集約させて『コスモスウィーク』と名付け、この期間は基本的に3学年が縦割りで活動します」（中学部長／中西郭弘先生）

　コスモスウィークでは、学園の歩みについて学んだり、カウンセラー講座を受講したり、スケッチ会を実施したり、プラネタリウムを鑑賞したりなど、触れて、感じて、表現するさまざまな活動を行います。

「チームづくり、チャレンジ精神の育成、仲間との信頼関係の構築を意図したTAP（玉川アドベンチャープログラム）も実施します。TAPでは7mから12mの高さに設置されたワイヤーを渡るなど、野外のアドベンチャー設備に挑戦するのですが、仲間の応援によって、自分の “コンフォートゾーン（快適な空間）”から一歩を踏み出す、チャレンジ精神を鍛えることができるのです」（第8学年主任／小林潤先生）

　美しいキャンパスづくりに一役買っている地下道など、インフラ設備の裏側も見学します。

「学園内は電線が地下埋設化（共同溝）されていることによって、豊かな自然環境と美しい景観が保たれているだけではなく、風水害や雪害などで電線が切れる心配がなく、安全対策面においても有効です。また、学園内の水は井戸水を浄水して利用しており、敷地内にある浄水場も訪問します。こういった学園内の施設を見学することで、生徒たちは自分たちがいかに素晴らしいキャンパスで学べているかを実感したようです」（中西先生）

「夢フォーラム」の講師は
卒業生と保護者

　コスモスウィークで行われる「夢フォーラム」は、中2対象のキャリア教育プログラムです。

「今年は夢フォーラムを2日間行い、1日目は日本テレビのアナウンサーで卒業生の梅澤廉さんに講義をしていただきました。梅澤さんが来校するのは3年連続で、『母校の役に立てるなら毎年来たい！』と熱意を見せてくれます。生徒たちも “しゃべりのプロ”のアナウンサーの話に、興味深く聴き入っていました。梅澤さんのほかに、プロバスケットボール選手やダンサーになった卒業生にご講義をいただいた年もありました」（中西先生）

　2日目は、中2の保護者数名が講師を務めました。

「事前に保護者の方にアンケートを取って協力者を募り、自身の職業やその職業に就くまでのプロセス、ご自身が中2の頃は何を考え、感じていたかなどを話していただきます。今年は保険会社やシンクタンクの会社員、教師、会計士、ホテルマン、スポーツ選手の代理人など、8名の方にお話をしていただきました」（小林先生）

　生徒たちはグループに分かれて、講師である保護者の話を聴きました。

「生徒たちはグループごとにその職業を深掘りする事前学習を行い、質問事項などを考えて講義に臨みました。生徒たちも友達の親が講師ということで親近感を持って話を聴けたようで、保護者の方々も『通常はここまで話さない』というところまで打ち明けてくださるなど、毎年好評です」（小林先生）

「夢フォーラム」は、職業が多様化する生徒の将来を見据えて行っています。

「一昔前と比べて職業観や働き方が変わり、AIの普及でなくなる職業もあると言われています。そんな未来を念頭におき、自分がスキルアップするイメージをつかめるような『夢フォーラム』にしていきたいです。勉強や課題を楽しみながら前向きに取り組めば、どんな仕事に就いても大成功間違いなしというメッセージを大事にしていきたいと思います」（中西先生）

（この記事は『私立中高進学通信2024年12月号』に掲載しました。）