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私立中高進学通信

2024年8月号

実践報告 私学の授業

玉川学園中学部

95年の歴史ある探究型学習
主体的に調べ考え表現する『自由研究』

好きなことを探究し、大学での学びにつなげる
10月の探究学習研究会、3月の『玉川学園展ペガサス祭』には毎年、外部からも多くの来場者が集まります。

発表シーン1
10月の探究学習研究会、3月の『玉川学園展ペガサス祭』には毎年、外部からも多くの来場者が集まります。

『自学自律』の精神のもと、「6年間を通じた探究活動」に、創立以来取り組んできた玉川学園。
長い歴史をかけて培われた探究のスキルや特徴的な授業について伺いました。

中1・中2で興味を引き出し
中3で探究スキルを育成
中3での『学びの技』は、10月の探究学習研究会にて、中間発表をします。ポスターセッションを行うことで、同級生、先輩、保護者、教員などから質問やフィードバックをもらい、集大成の論文作成に活かします。発表シーン2
中3での『学びの技』は、10月の探究学習研究会にて、中間発表をします。ポスターセッションを行うことで、同級生、先輩、保護者、教員などから質問やフィードバックをもらい、集大成の論文作成に活かします。

 豊かな自然に囲まれた61万㎡もの広大なキャンパスで、個性と自主性を育む全人教育を行う玉川学園。1929(昭和4)年の創立当初から、独自の探究型学習プログラム『自由研究』を実践しています。その学びには、95年間にわたって探究教育に取り組んできた、同校ならではの知の蓄積とノウハウが凝縮されています。

 同校の自由研究は6年間で段階的にステップアップしていくのが特徴です。中1・中2では興味・関心を伸ばす教科発展型の探究学習、中3では探究スキルを実践を通して磨き、高校では進路選択につなげる課題研究型の自由研究に取り組んでいます。

「中1・中2の1学期には3~4人のグループで共同研究に取り組み、夏休みからは個人研究に分かれて、成果を3月の『玉川学園展ペガサス祭』で発表します。全学年横断の授業なので、下級生は上級生の研究を学びながら進めることも特徴です」(教務主任/遠藤英樹先生)

 中3では、探究活動を通じて本格的な探究スキルを習得する『学びの技』の授業が行われます。

「探究テーマが決まっても、論題(問い)を立てるのが難しいという声をよく聞きます。本校では、オリジナルのワークシートを活用して、問いの立て方を実践的に学びます。また、一つの結論だけに固執して探究を進めるのは、偏見や思い込みを助長してしまう危険性もあります。そのため、仮説を含む『問い』ができたら、そこに向けて『賛成』『反対』両者の立場から根拠を書いていく『証拠収集シート』を必ず作成します。さまざまな視点から探究を進めることで、フラットなものの見方や論理的思考力を育んでいきます」(国語科・学びの技担当/後藤芳文先生)

 中3の最後には、学んだスキルを活用し、探究の成果を3000字以上の論文にまとめます。

高校では多彩な分野で
より高度な自由研究に

 高校からは、さらにハイレベルな自由研究に取り組みます。研究テーマは、「川の速さと流れの特徴から河川の伝統工法『聖牛』について考える」「チョコレートは国際社会や経済にどう影響するのか」など多種多様で、その分野は、人文科学、社会科学、自然科学、健康・生活、芸術と多岐にわたります。

 同校はスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)指定校として16年目(Ⅳ期目)を迎え、全国でも珍しいサンゴ研究部を有するなど、理数系の探究に強いイメージがありますが、文系や芸術系のテーマの研究もハイレベルです。

「社会科学(経営学)の研究として、キャンパスグッズの開発や販売を行う株式会社を立ち上げた研究室もあり、社長を担う生徒が毎年入れ替わり、継続的に運営しています。このほか、社会科学(模擬国連)の研究として、本校の生徒が他校の生徒と共催で『模擬国連会議』を企画・運営し、1月には首都圏の学校から100名もの参加者を集め、会議を実施しています」(理科・SSH主任/矢崎貴紀先生)

 自由研究の成果は、毎年『玉川学園展ペガサス祭』で発表するほか、高3で8000字程度の論文にまとめます。

「大学生レベルの論文を書き上げる生徒もおり、興味ある分野に没頭するパワーには驚かされます」(矢崎先生)

自由研究の経験から
文理選択や大学選びがスムーズに
左から、教務主任/遠藤英樹先生、理科・SSH主任/矢崎貴紀先生、国語科・学びの技担当/後藤芳文先生。左から、教務主任/遠藤英樹先生、理科・SSH主任/矢崎貴紀先生、国語科・学びの技担当/後藤芳文先生。

 中高ともに自由研究のテーマや分野に応じて、担当教員がつき、きめ細かな支援を行うことも特徴です。

「探究学習では、要所要所で生徒の特性を見極め、ていねいに伴走することが必要なため、教員にも高い指導力が求められます。本校の教員の専門外のテーマや、より高度なテーマの場合は、玉川大学の先生や他大学の先生に入っていただくケースもあります。基本的には、どんなに高度でも、どんな分野でも、生徒が出してきた研究テーマを尊重しています」(矢崎先生)

「好きなことを好きなだけ」探究できる自由な環境が、生徒たちの本当の意味での「主体性」を育んでいる同校。

「中学から興味に従って探究を進めるため、文理選択や大学選びに悩む生徒は少ないですね。何より、学力レベルや偏差値で大学を決めるのではなく、『○○が学びたいからここに行きたい』という純粋な学びの欲求から進路を決める生徒が多くいます」(矢崎先生)

 体系化されたプログラムと教員の優れたサポートで成り立つ高度な『自由研究』のあり方は、長年にわたって探究教育に取り組み、試行錯誤を重ねてきた同校だからこそ確立できたもの。取り組みのエッセンスを学ぶために毎年全国各地から視察が来るとのこと。2024年の夏には、外部の学校を招いて行う発表会も予定しています。

探究レポート
高校の自由研究や大学での学びに活かせるスキルを習得 探究スキルを培う中3『学びの技』
『学びの技』の授業で、マインドマップについて学びます。探究シーン1
『学びの技』の授業で、マインドマップについて学びます。

 中3で週2時間行われる『学びの技』は、探究活動に必要なスキルを基礎から学ぶ授業です。生徒たちは、さまざまなスキルを体系的に学びながら、研究テーマを決定し、1年間をかけて探究を進めていきます。

「本校では、探究を①周辺知識を得る、②論題(問い)を決める、③情報を収集する、④情報を取捨選択する、⑤創造する、⑥発表・論文作成する、⑦評価する、の7つのステップに分け、それぞれのステップで必要となる具体的なスキルを、実践を通して学んでいきます」(後藤先生)

『学びの技』の授業で学ぶ内容は、研究テーマの決め方(マインドマップの作成)から「問い」の立て方(証拠収集シートの作成)、図書館の使い方、本や新聞、雑誌などから情報を探す方法、インタビューやアンケートの方法、電話のかけ方、メールの書き方、参考文献の扱い方、スライドの作り方、プレゼンテーションの方法、論文の書き方、ポスターセッションでの質問の仕方に至るまで、具体的ですぐに役立つものばかり。高校での自由研究はもちろん、大学での学びや社会に出てからも活かすことができます。

 同校が培ってきた貴重な『学びの技』のスキルや指導法は、『学びの技 14歳からの探究・論文・プレゼンテーション』(玉川大学出版部)として書籍化され、公表されています。

テーマ決めから発表までのプロセスを、実践しながらていねいに指導。探究シーン2
テーマ決めから発表までのプロセスを、実践しながらていねいに指導。
高校の自由研究では教員が指導する探究グループがあり、大学のゼミや研究室のように、所属しながら個人研究を行うことも可能です。探究シーン3
高校の自由研究では教員が指導する探究グループがあり、大学のゼミや研究室のように、所属しながら個人研究を行うことも可能です。
中学の自由研究で立体造形(陶芸)に取り組む生徒たち。探究シーン4
中学の自由研究で立体造形(陶芸)に取り組む生徒たち。

(この記事は『私立中高進学通信2024年8月号』に掲載しました。)

玉川学園中学部  

〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
TEL:042-739-8931

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