私立中高進学通信
2021年12月号
未来を切り拓くグローバル教育
田園調布学園中等部
新カリキュラムによる
『探究』が新たにスタート
社会とつながり、課題解決を実践する体験型探究プログラム
SDGsについて『コアプログラム』で探究した成果をプレゼンテーションする高1生。
このプログラムを母体とした新たな『探究』が2022年度から始まります。
自ら課題を設定して
探究活動に取り組む
グローバル化がますます進む現代社会を生きていく生徒たちは、基礎的な学力や教養はもちろん、思考力や課題解決力、創造性なども求められています。同校ではそうした力を育むため、19年前から多彩なジャンルの体験学習を行う『土曜プログラム』を実施。時代に合わせて内容も進化させ、現在は学年ごとにテーマに沿って体験や研究を行う『コアプログラム』と、170もの講座から自由に選んで受講できる『マイプログラム』の2つを中高6年間で取り組んでいます。
こうした多ジャンルに触れる学びに加え、「数学×物理」「音楽×数学」「地理×数学」といった教科と教科をつなぐ教科横断型授業も実施して生徒の興味を多方面に広げ、思考力・表現力を育てる学びも実践してきました。
このような学びをベースに、さらに課題解決・探究型の学びを強化するため、同校では2022年度から大幅にカリキュラムを改訂。土曜プログラムを継続しつつ、平日に週1コマの『探究』の授業を新たに創設。中1から高2までの5学年で実施します。
大学、企業と連携して
プロジェクトを実践
「中等部の『探究』の授業では『デザイン思考』(※1)を学び、課題解決のためのスキルを身につけていきます。高等部では世界へと視野を広げ、生徒が自分で興味ある分野の中から課題を設定して探究活動を行っていきます」(入試広報室長/細野智之先生)
高等部の『探究』の授業では、インドネシアやバングラデシュ、イスラエル、南アフリカ、ルワンダなどの世界の起業家から、世界の環境・貧困・飢餓・経済の現状を聞く機会を設けます。
「気候変動のスペシャリストや、野生動物の保全活動従事者、海洋プラスチックの問題に取り組む企業など、ジャンルも多彩です。
世界のさまざまな現状を聞くことからスタートし、生徒それぞれが解決すべき課題を発見、課題解決のためのプロジェクトをそれぞれが立ちあげていきます。
プロジェクトの実践は、30以上の外国の機関や国連WFP(※2)、国内の地域企業や大学と連携しながら、進めていく予定です。課外活動も想定しています。社会とかかわりながら、課題解決力・探究力を伸ばしていきます」(副教頭・教務部長/入英樹先生)
プロジェクトの活動を論文にまとめ、発表する機会も設ける予定です。
生徒それぞれの思いを社会へと広げる新しい『探究』。将来の夢や進路を決定するきっかけともなります。『探究』の学びで得た経験は、生徒たちが大きく羽ばたいていくための翼となることでしょう。
※1 デザイン思考…「理解と共感」→「問題の定義」→「アイデアの発想」→「プロトタイプ&テスト」というステップを何回も繰り返しながら、問題を解決していく思考法。
※2 国連WFP…飢餓のない世界をめざして活動する国連の食料支援機関。
Interview新しい『探究』での挑戦
目的を持って臨み振り返りを次に活かしてほしい
土曜プログラムで培ってきた体験型探究学習。これをさらに進化させ、中1〜高2で新しく『探究』の授業がスタートします。
なかでも企業や大学との連携で実践的なプロジェクト学習を行う高等部の『探究』には、注目が集まっています。新しい『探究』について副教頭・教務部長の入先生にお話を伺いました。
「高等部の『探究』では、生徒一人ひとりが自分で課題を見つけ出し、問いを立てます。そしてその解決のためにどんなプロジェクトが必要なのかを考案、企画した後は『環境に関する課題ならこのグループ』というように、課題のカテゴリーでチームを組み、協働しながら、自らの課題に向き合い、探究を深めていきます。
課題の対象は、国内外を問いません。海外の多彩な機関にも協力を仰ぎ、国内では宿泊行事でお世話になっている地域の方々にも協力していただく予定です。
大学との連携は理系分野なら東京工業大学や東京理科大学、文系なら法政大学や国際教養大学など、いずれも本校の卒業生が進学している大学が候補です。
高2ではプロジェクトの成果を論文にまとめる予定です。英語でエッセーを書く生徒は、海外の起業家の方々に内容を見てもらいながらまとめていきます」
「数学×物理」の教科横断型授業の様子。
「こうした教科横断型授業での体験を『探究』に活し、物事を複眼的に見ることで課題の解決法を考えてほしいと思っています」
Interview学校ルーブリックを刷新
相手の意見を聴いてこそ思考力や表現力が鍛えられる
新カリキュラムでは、学校ルーブリック(※3)も刷新。生徒に身につけてほしい力を明確にして、それを目標に勉強や行事に打ち込み、自らの行動を振り返りやすくしました。入試広報室長の細野先生に聞きました。
「自己肯定感や自立心、協調性、意欲など、テストの得点では数値化できない力を『非認知能力』と呼びますが、これらはこれからの社会でますます必要とされる力です。こうした力をこれまで以上に高めるために、学校ルーブリックが指針となるのです。
新しい学校ルーブリックは、生徒がイメージしにくかった箇所をよりわかりやすくしました。たとえば「多様性を認める姿勢」には「相手の魅力を見つけようとする」というように、より具体的な表現にしています。
また表現力は「対話する力」としています。相手の意見に耳を傾けてこそ、思考力や表現力、プレゼンテーション力が鍛えられていくからです」
田園調布学園の新しい学校ルーブリック
※3 ルーブリック…主に教育の場面で用いられる評価手法の一種で、学習者の理解度や技能の到達度を測るための指標。
Action Report File001
視野を世界に広げ問いを立てて探究
高等部の『探究』の流れ
(この記事は『私立中高進学通信2021年12月号』に掲載しました。)
田園調布学園中等部
〒158-8512 東京都世田谷区東玉川2-21-8
TEL:03-3727-6121
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