Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

ツイッター フェイスブック

私立中高進学通信

2023年12月号

実践報告 私学の授業

田園調布学園中等部

『デザイン思考』を体験・実践し
課題解決スキルを身につける『探究』

実社会と関わりをもって具体的な課題にアプローチ
生徒たちが『株式会社プロジェクト』に取り組んでいる様子の写真です

中3の『探究』授業風景。
グループで、ものづくりをする会社の設立をシミュレーションする『株式会社プロジェクト』に取り組みます。

ビジネス界でも注目されてきた『デザイン思考』をベースに、課題設定・課題解決スキルを育成。企業とのコラボレーションも実現しています。

地域との関わりを重視した
企業コラボにも挑戦
長岡敬佑先生の写真です教務部探究係主任/数学科主任 長岡敬佑先生

 田園調布学園では、変化する現代社会を生きていくために、『デザイン思考』を採り入れた探究学習を通して、自ら考える力を養っています。

 デザイン思考とは、ビジネス分野の製品開発などで注目されている思考法です。顧客の需要変化に対応すべく、ニーズを調査・分析し革新的なアイデアを創出することで、前例のない課題や未知の問題に対し、最適な解決を得る思考のアプローチです。

「『探究』の授業を週1コマ行い、中1では、2学期から身近な課題の解決をテーマにデザイン思考の基礎を学びはじめます。中2~中3では、企業や社会に関わる課題に取り組む学外での実践を通して、より深く課題発見・課題解決力を養います」(教務部探究係主任・数学科主任/長岡敬佑先生)

 学外と連携する探究学習のポイントは『地域との関わり』です。2022年は中2・中3合同で、学校近隣の複合商業施設『二子玉川ライズ・ショッピングセンター(以下、二子玉川ライズ S.C.)』協力のもと、平日の来館客者数を増やすための施策を、ユーザー視点で考える課題に取り組みました。

「平日は休日より小さいお子さん連れの顧客が多いので、洋服店の試着室に赤ちゃん用の固定チェアを置く、夜は塾帰りの生徒や仕事帰りの家族が合流して買い物や食事を楽しめるように、荷物を預けるスペースを設置するなど、社会課題にもつながる、さまざまな案が生まれました」

 そこから2023年秋に実現したのが、二子玉川ライズ S.C.の『秋のグルメ&スイーツ2023』キャンペーン内の『新たな魅力発見!スイーツ』企画です。

「生徒たちの中で、本校の男性教員にヒアリングをした際に出た"男性ひとりではスイーツ店に入りにくい"という悩みに着目したグループがありました。そこで、そのグループは居酒屋などでもスイーツメニューを提供して、新たな顧客を開拓しようというアイデアを出し、それを二子玉川ライズS.C.がプロ視点でブラッシュアップしてくださり、実現に至りました」

 企画したグループの生徒たちは、実際にスイーツキャンペーンのメニュー開発にも参加。デザイン思考による探究学習の醍醐味を実感しました。

デザイン思考の習得が
高校での探究学習につながる

 中2での企業コラボレーションでの経験は、中3の2学期後半からはじまる『株式会社プロジェクト』につながります。会社経営に必要な資金繰りの仕組みや知識などを学びながら、デザイン思考をもとに、自分たちが社会に提供したい、より実際的な製品やサービスを考え、実際に運営します。

「高1・高2の『探究』では個々にテーマを見出して、自分の好きなことや得意なことを掘り下げてBOTTO(没頭)する『BOTTOプロジェクト』に取り組んでいます。『株式会社プロジェクト』を含め、デザイン思考を基礎から実践まで徹底的に身につける中学での探究学習は、高校での探究学習の布石となっています」

 高校では、海外で社会課題に向き合う起業家による各種ワークショップ、学外コンテストやシンポジウムへの参加、バリ島海外宿泊研修など、幅広いプログラムを通じて生徒の探究スキルが向上します。

「デザイン思考による探究学習は、あらゆる課題を"自分ごと"として考え、隠れた問題に気づいて解決に導く力を養います。学習の質の向上にも応用できますし、将来の社会生活では働くうえでの問題解決にも役立ちます。
『探究』を通じて、教科学習では発揮できなかった能力が引き出され、生徒が新しい可能性に気づく機会も多くあります。生徒の潜在的な力を引き出し、自己肯定感を高められる『探究』を、これからも充実させていきます」

生徒インタビュー
担当チームに聞きました! 中2・中3合同の『探究』授業から実現
生徒発案で生まれたスイーツキャンペーン
コラボメニューは3種類の写真ですコラボメニューは3種類。キャンペーンビジュアルにも生徒の意見が採り入れられました。

『探究』の課題として『二子玉川ライズ S.C.の平日顧客を増やす』施策に取り組んだ当時中2のO・Yさん、S・Yさん、S・Rさん、N・Mさん。チームでプレゼンした『流行のスイーツをアレンジして、今までスイーツ専門店に入店しづらかった人にも食べてもらおう』というアイデアが採用され、2023年秋のスイーツキャンペーンとして実現しました。

 チームメンバーは、3種のコラボメニュー開発やキャンペーンポスターのビジュアル案にも参加。コラボメニュー試食会は2回実施し、味や素材への意見もメニューに反映されました。

 生徒たちは「とても貴重な経験ができた」と楽しそうに話してくれました。

コラボメニュー試食会の様子の写真です

コラボメニュー試食会の様子。

O.Yさんの写真です

 担任の先生を取材して「パンケーキが大好きだけど、お店に入りにくい」という話を聞いたところから企画がはじまりました。ひとりで考えることはあまり得意ではないですが、グループだとアイデアが多く出るので楽しいです。(O.Yさん/中3)


S.Yさんの写真です

 複数のお店で使える割引チケットを出す案をプレゼンの時に少しお話ししたら、それもお食事券プレゼントという形で実現して良かったです。『探究』ではみんなと話す時間も増えて、考えが広がるのがとても面白いです。(S.Yさん/中3)


S.Rさんの写真です

 私は自分ひとりで考えてアイデアを出すのが苦手でした。グループで意見を出し合いながら、みんなで考えた新しいアイデアを形にできた二子玉川ライズ S.C.さんとのコラボで、『探究』の楽しさをより知ることができました。(S.Rさん/中3)


N.Mさんの写真です

『大学芋と抹茶アイス』は最初バニラアイスでしたが、流行っている抹茶アイスに変更してもらえました。グループで話し合える『探究』の授業は、みんなからいろいろな意見が聞けて、プレゼン資料作りもとても楽しいです。(N.Mさん/中3)

ココも注目!
田園調布学園の『探究』の成果とこれから

 この2年間、探究学習が活発になったことで、生徒の活動の幅が広がりました。探究的なコンテストに限らず、学外の教科に関わるコンテストにも参加する生徒が増えています。また『探究』に協力してくれた企業に、授業で取り扱う前に独自取材を行う生徒もおり、生徒自身の“机上だけでなく生きた課題創出・課題解決を体験したい”という学習意欲も高まっています。

 現在は、既存の探究プログラムを専門家の指導により実施していますが、今後は、知見を活かしたオリジナル探究プログラムの作成にも着手したいと考えています。(長岡先生)

中3『探究』での『株式会社プロジェクト』の様子の写真です

中3『探究』での『株式会社プロジェクト』は、中学でのデザイン思考習得の集大成です。

進学通信 2023年12月号
紹介する学校
共学校 共学校   女子校 女子校   男子校 男子校
この号のトップに戻る 進学通信一覧を見る
ページトップ