私立中高進学通信
2021年12月号
未来を切り拓くグローバル教育
実践女子学園中学校
中1も参加! 英語で学ぶ
体験学習『AEキャンプ』
楽しみながら英語力×グローバルな感性を伸ばす
渋谷区にある同校の校内で草木染めに使う植物を集め、植物を煮て、染色液を抽出します。
手順の説明はすべて英語で行われましたが、中1~中3の生徒たちはしっかりと英語で
コミュニケーションを取りながら染色体験を行いました。
体験学習を通して英語の力を高めていく
英語教育に定評があり、『英語の実践』と呼ばれる同校。多彩なカリキュラムで確かな英語力と異文化理解力を身につけさせています。なかでも、中学生の希望者を対象にした『AE(Advanced English)キャンプ』は、英語力を伸ばしたい生徒たちが毎年楽しみにしているプログラムです。
従来は夏休みを利用して、箱根にある同校の施設にて2泊3日で開催されてきましたが、2021年度は新型コロナウイルス感染予防のため、学校に通学する形で実施されました。オールイングリッシュのプログラムであるため、英検3級以上を取得した生徒を対象としています。
「今年は、草木染めやパソコンを使った映像編集などを体験しました。ネイティブ教員と英語のみでコミュニケーションしながら英語で学びますが、英語力の伸長だけでなく、普段できないような体験学習をできる点も魅力です」(グローバル教育部部長/東敬祐先生)
グローバル教育を支える10名のネイティブ教員
同校にはネイティブ教員が10名在籍しており、普段から日常的に生徒と関わっています。AEキャンプでもネイティブ教員が1グループに1名付き添い、1日目は植物の草木染めを、2日目にはパソコンで映像編集にチャレンジしました。
日本人の教員もサポートに入りますが、基本の会話はすべて英語です。マニュアルも英語で書かれたものを使用し、最終日のプレゼンテーションも英語で行いました。
「ネイティブ教員は英会話の授業にのみ関わる学校も多いかと思いますが、本校ではグローバル教育全体に関わってもらっています。
AEキャンプでは手を動かす体験学習であるためか、座学の授業に比べ、より話しやすい雰囲気で、ネイティブ教員も上手に英語での会話を引き出してくれます」(東先生)
AEキャンプには中1生も参加しましたが、「英語の説明もわかりやすく、とても楽しかった」「英語が好きで入学したので、こうした国際的な活動がたくさんできてうれしいです」と大満足な様子でした。
同校ではネイティブ教員が常駐する校内の異文化交流空間『English Café』や、希望制の放課後英語講座『サバイバルイングリッシュ』など、授業以外でも英語に触れる機会をふんだんに設け、学校全体でグローバル教育を進めています。
「グローバル教育を通じて異文化に触れ、生徒たちには今、世界がどのような状況であるのかを知り、視野を広げ、世界に生きる一人として何ができるかを考えてほしいと思っています」(東先生)
英語力のみならず、視野の広いグローバル教育が大きく展開されています。
Action Report File001
『AEキャンプ』で環境や世界とのつながりを実感する
敷地内の植物を採取して草木染めにチャレンジ
AEキャンプは、英検3級以上の生徒を対象とした短期集中型のプログラムです。キャンプ1日目は、学校敷地内の植物を採集するところから始まりました。全員が軍手を着け、英語で説明を受けながら、ネイティブ教員とともに草木染めに使う植物を集めます。その後は家庭科室で植物を煮て、染色液を抽出。英語でジョークを言い合いながら、楽しく作業を進めていました。
この日に染めた布は、翌日に生徒たちがミシンがけをしてティッシュケースを制作。出来上がったティッシュケースは同校の事務室で販売され、売り上げはすべて慈善団体に寄付されます。
「身のまわりにある物が、視点を変え、手を加えるだけで商品となり、それが世の中のためになるということを、プログラムを通じて実感してほしいと思っています。本校はESD(持続可能な開発のための教育)を教育の柱の1つにしていますので、身近な自然を使った取り組みをすることで、生徒たちに自然に対する理解を深めてほしいと考えています」(東先生)
草木を煮だした抽出液に布を入れていきます。
生徒たちは植物の力にびっくり。家庭科教員もサポートに入りました。
作業後は、英語のワークシートにまとめを記入しました。
授業や行事でも関わるネイティブ教員と、リラックスして会話していました。
Action Report File002
同校生徒が日本人で唯一の受賞者に!
ハーバード模擬国連2021にて奨励賞を受賞
第15回全日本模擬国連大会にも出場!
国内外の模擬国連への参加を目標に活動する同校のグローバル研究会は、これまでにも何度も受賞者を輩出してきた模擬国連の常連です。2021年度はオンラインで開催されたハーバード模擬国連にて、グローバル研究会に所属する高2生が見事、奨励賞を受賞しました。今大会、唯一の日本人受賞です。また11月13日・14日に淡路夢舞台で開催された模擬国連全国大会にも出場しました。
グローバル研究会では今年からチャリティプロジェクトも立ち上げ、9月には食品回収ボランティアを実施。「セカンドハーベスト・ジャパン」の活動に参加し、校内で生徒や教職員から、家庭で余っている食品の寄付を募る活動を行いました。
今後は定期的にチャリティ活動を行っていきたいと、指導を担当するネイティブ教員のロバート・キンブル先生は言います。
「今年度は残念ながら感染予防のためにチャリティ活動はこの1回になりそうですが、来年からは『実践チャリティマラソン』など、さまざまな企画を考えていきたいです」(キンブル先生)
世界の高校生たちとの政治的な交渉もすべてオンラインを通じて、英語で行われます。
食品回収ボランティア
「もったいないをありがとうに!」を合言葉に、動画や校内放送で活動を告知し、当日は多くの食品を回収できました。
先生から一言
教室以外にも学びの機会がたくさんある
ロバート・キンブル先生
AEキャンプやグローバル研究会の指導のほか、普段の授業でも生徒と多く関わりをもっているネイティブ教員(グローバル教育部副部長)のロバート・キンブル先生にお話を伺いました。
「本校で8年間、主に上級者の生徒を教えています。生徒たちに英語を教える時に大事にしていることは、読んだり聞いたり理解したりすることだけでなく、発信する力をつけていくこと。自分の意見をきちんと表現するためのスピーキング、ライティングの技術を身につけてほしいと思っています。そこを中心にしながら、授業は堅苦しくならないように、英語を話すことが楽しくなるような工夫をしています。
英語力を高めるために大切なのは、音楽を聴きたいとか、映画を見たいとか、何かやりたいことのためのツールとして英語を考えること。模擬国連もそうですね。テストに合格するとか、ちゃんと勉強しないと怒られるというのは外からのモチベ―ション。それも役に立つのですが、1人1人が自分のゴールをもつことが、一番強いモチベーションになります。
私の哲学は『英語は教室の中だけで学ぶものではない』ということ。本校は英語を学ぶのにたくさんの機会がある学校なので、ぜひ活用してください」
(この記事は『私立中高進学通信2021年12月号』に掲載しました。)
実践女子学園中学校
〒150-0011 東京都渋谷区東1-1-11
TEL:03-3409-1771
進学通信掲載情報
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