私立中高進学通信
2021年12月号
これからの国際交流
佐野日本大学中等教育学校
SDGsをテーマに大学や企業と連携
問題を解決できるグローバル人材を
ベジファーム
SDGsの目標2「飢餓をゼロに」について考える「ベジファーム」。
食べ物をつくる大変さを知るために「GLOBE」のメンバーが校内で野菜を育てています。
写真は左から、C・Tさん[3年(中3)]、H・Kさん[4年(高1)]、
S・Kさん[4年]、R・Tさん[3年]、丹野隆史先生、J・Yさん[4年]。
左の「VegeFarm」の看板は、書道が得意なS・Kさんの作品です。
ユネスコスクール(※)の同校では、SDGsへの取り組みを積極的に行っています。その一つが『Professional Talk×SDGs』。ボランティアグループ『GLOBE』が会場のセッティングなどの準備をしています。
※ユネスコスクール…ユネスコ憲章に示されたユネスコの理念を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校。
大学の教授をはじめ
各分野の第一人者と討論
『GLOBE』の主な活動は国際交流活動などをサポートすること。顧問を務めるグローバル教育センター長の丹野隆史先生にお話を聞きました。
「コロナによって本校の国際交流や海外研修がすべて中止になりました。しかし、どの国のどの場所にいても課題を発見でき、さまざまな価値観をもつ人たちと話し合って、答えを導き出せる人材の育成が、グローバル教育です。そこで、日本大学をはじめとする大学の先生方など各分野の第一人者と討論するオンライン講演会『Professional Talk×SDGs』を、本校の大会議室で全学年の希望者に向け、これまで5回開催しています。『GLOBE』のメンバーはその準備などの手伝いをしています」
今年3月には日本大学理工学部海洋建築学科の教授の方々が「海洋建築とSDGs」などをテーマに語りました。
「波の上にどうすれば安定した建物を建てられるかというお話を聞き、本校の医学部志望の生徒が『海上の建物で手術などの医療行為は可能ですか?』と質問するなど討論が白熱しました」
この講演会に参加した『GLOBE』のR・Tさん[3年(中3)]は「波力発電について聞き、海の可能性を改めて知りました」と話しています。
よくない習慣を変えることは
文化の否定にはならない
7月には日本大学大学院国際関係学研究科の青木千賀子講師が「社会開発とジェンダー~ネパールのフィールドワークから:SDGsの推進~」をテーマに講演。
「インドには女性が結婚する際、相手の男性の家庭に多額の持参金を渡すダウリーという習慣があります。そのため、インドの医師は妊娠中のお母さんに生まれてくるのが男の子か女の子かを告げないそうです。女の子だとわかると、母親が失望するからです。私たち教員は『相手の国の文化を否定してはいけない』と生徒に教えています。しかし、青木先生は『よくない習慣を変えることは、文化の否定にはならない』と述べたのです。この意見に多くの女子生徒が共感していました」
『GLOBE』のほかメンバー3名もこの講演を聞いて感銘を受けました。
「カースト制度の不平等さを詳しく知って、国際問題にますます関心をもちました」[H・Kさん・4年(高1)]
「私も衝撃を受け、自分に何ができるかを考えるようになりました」[J・Yさん・4年]
「世界に目を向けると、さまざまなことで苦しんでいる人が多くいることがわかりました。今の私が日本で何不自由なく暮らせることに感謝しようと思いました」[S・Kさん・4年]
宇都宮大学国際学部の准教授の
「Professional Talk × SDGs」
第1回目の『Professional Talk×SDGs』は、宇都宮大学国際学部の准教授の「ジェンダーと社会」をテーマにした講演。昨年11月に行われました。質問する生徒も聞く生徒も、その表情は真剣そのものです。
海洋建築学科の教授らの
「Professional Talk × SDGs」
日本大学理工学部海洋建築学科の居駒知樹教授が「海洋建築とSDGs」などを、同学科の野志保仁助教が「沿岸域環境の実態」をテーマにそれぞれ語り、生徒たちと熱い討論をオンラインで交わしました。
国際総合政策学科の教授の
「Professional Talk × SDGs」
日本大学国際関係学部国際総合政策学科の眞嶋麻子助教が「国際協力の未来について…貧困/ファストファッション/SDGs」をテーマに今年6月に講演。参加した生徒の視野は世界に向けて広がりました。
受講した生徒のメモ
『Professional Talk×SDGs』を受講した生徒は講義や討論の内容を細かくメモしていました。講演後にこのメモを見た大学の先生は「大学生より細かくメモを取っている」と驚いていたそうです。
ベジファームでの収穫
ベジファームで育てたさつまいも。こうして収穫した野菜を用いて、近隣にある佐野日本大学短期大学で栄養士をめざす短大生を招き、『GLOBE』のメンバーと調理実習会を行う予定です。
「届けよう! 服のチカラプロジェクト」
ユニクロとのコラボにより、不要となった服を集めて、難民キャンプなどに送るプロジェクト」。そのポスターに『GLOBE』のC・Tさん[3年(中3)]の絵(写真右)が選ばれました。Tさんは、このプロジェクトの説明会の司会も務めています。「この絵で明確に伝えたかったのは、服を受け取ると、心から喜んでくれる子どもたちがいるということです」と語ります。
(この記事は『私立中高進学通信2021年12月号』に掲載しました。)
佐野日本大学中等教育学校
〒327-0192 栃木県佐野市石塚町2555
TEL:0283-25-0111
進学通信掲載情報
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