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私立中高進学通信

2021年12月号

注目! News and Topics

横浜翠陵中学校

コロナ禍を経て進化した
生徒の学びを止めない授業のあり方

写真左から入試広報部長・保健体育科/庄大介先生、
外国語科で高1担任の鈴木絵恋先生、理科で高3特進コース担任の田島浩平先生。

「考えることのできる人」を校訓に、1986年に創立された同校。新型コロナウイルスの感染拡大という事態を受けて同校に起きた変化について、3人の先生にお話を伺いました。

これまで以上に深く生徒の
ことを考えた休校期間
生徒の健康を第一に考え、対面授業に戻すための道を模索する中で授業の進化が生まれたと先生方は語ります。生徒の健康を第一に考え、対面授業に戻すための道を模索する中で授業の進化が生まれたと先生方は語ります。

 政府からの一斉休校要請が出された2020年2月末から教員たちの試行錯誤が始まったと話すのは、同校の入試広報部長・保健体育科/庄大介先生です。

「その時は教員も自宅勤務を続けながら、勉強会を重ねて生徒の学びを止めないための対策を模索しました。まだ生徒の家庭の通信環境にバラつきがあったので、オンライン授業は時期尚早と判断し、課題を郵送して対応しました。授業動画も撮りましたが、そのときはまだ参考資料という位置づけでした。各家庭に通信環境の整備をお願いしている間に、各担任は生徒たちとオンラインで面談や体調確認を進めて、6月からの分散登校の準備を進めました」

 生徒の学びを止めないために、休校期間中はこれまで以上に生徒のことを考えたと話すのは、理科担当の田島浩平先生です。

「特に高3は受験を控えた大切な1年ですから、リモートでの授業も考えて、動画をたくさん作りました。だから登校が再開して生徒の顔を直接見られた時は、本当にうれしかったですね」

 登校再開後は、3密を避けるため、英語では音読やペアワーク、理科では実験などをふくめ、すべての教科で感染対策に気を配って授業を行ったといいます。そのような中で、いくつかの気づきがあったと外国語科の鈴木絵恋先生は話します。

「対面授業中は生徒たちに声を出してもらいにくい状況だったので、生徒たちに家で音読を録音したデータを提出してもらったのですが、録音なら教員が何度も繰り返し聞いてチェックができるので、より細かい指導ができるようになりました。また中1の前期の英語では、アルファベットの書き方から始めて基礎の基礎を繰り返し学ぶ大切な時期なのですが、それまでは定期試験の範囲を学ぶことに追われてしまっていた部分がありました。それを休校期間中にじっくり取り組めたので、結果的に定期試験の平均点が上がりました。各家庭のご協力があって、生徒が課題をきちんと提出してくれたおかげで、ゆっくりと確実に “土台作り”ができた成果だと思います」

 オンラインの利点に気づけたことも収穫だったと、先生方は口をそろえます。

「生徒たちにチームで協力して英文の要約を作ってもらう課題をオンラインで実施する場合、生徒たちは共有した一つのファイルに自分の考えを書き加えながら改良して要約文を完成させていき、その過程で他の生徒の要約も見ることになります。これまでのように各自で紙に書いて提出してもらうやり方の場合、見られるのは先生からのアドバイスだけでしたが、友達の解答を見ることで生徒はたくさんの刺激を受け、学びを得るようです」(鈴木先生)

「対面授業に勝るものなし」を改めて実感

 こうしたオンラインの利点を活かして授業のアップデートを図る一方で、やはり「対面授業に勝るものはない」と庄先生は話します。

「授業が再開した時の様子を見ていると、先生方の表情がイキイキしているように感じました。コロナ禍の休校期間を経て、『生徒と向き合う』ことの大切さを各教員は改めて実感したのではないかと思います」

「オンライン授業の場合、わかる生徒がわからない生徒に教えるタイミングがありません。先生に教わるだけでなく、友人同士で教え合うのも理解の進捗につながっているので、そうした時間も大切にしたいと思っています。また授業以外の時間でも、雑談する中で生徒がどんなことに悩んでいるかが伝わってくることがあります。そうしたことを考えると、やはり対面に勝るものはないと思います」(田島先生)

「リモート授業の感想を聞いたことがあるのですが、『みんなと一緒に勉強して、わからないところはすぐ質問できる対面の方がいい』という生徒は、やはり多かったですね」(鈴木先生)

 9月30日に終了した4回目の緊急事態宣言中は、高3の授業では対面を基本にしながらも、自宅でのオンライン授業のライブ中継も行ったという同校。感染の心配や基礎疾患を持つ生徒に配慮してオンライン授業と対面授業の選択肢を設けたことは、好評を博したといいます。そうした生徒たちの声を耳にして、教員と同様に生徒たちも対面に勝るものはないと感じていることがわかって、うれしくなったと庄先生は語ります。

「こんな状況だからこそ、本校のモットーである『Think & Challenge! 』の精神が必要なのだと思います。生徒の学びをストップさせず前に進めるために考え、試行錯誤して挑戦する姿勢が、授業を進化させる原動力なのではないでしょうか」

休校期間を経て、授業スタイルが変わったと話す庄先生。休校期間を経て、授業スタイルが変わったと話す庄先生。
コロナ禍をきっかけに対面授業のあり方が進化したと鈴木先生は話します。コロナ禍をきっかけに対面授業のあり方が進化したと鈴木先生は話します。
自分がYouTuberかと思うほど授業動画を作ったという田島先生。自分がYouTuberかと思うほど授業動画を作ったという田島先生。
進学通信 2021年12月号
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