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私立中高進学通信

2025年1月号

私学の英語最前線

明治大学付属明治中学校

TOEIC点数アップに直結
英語多読で培う真の英語力

易しい洋書をたくさん読む“英語多読”。英語の自然な言い回しや表現・感覚を体得し、英語を英語のまま理解する能力を育成しています。
生徒に合う洋書を薦めてくれる司書教諭の江竜珠緒先生。2018年、英語科の村松教子先生との共著『学校図書館員と英語科教諭のための英語多読実践ガイド』を出版するなど、英語多読の研究を続けています。

生徒に合う洋書を薦めてくれる司書教諭の江竜珠緒先生。
2018年、英語科の村松教子先生との共著『学校図書館員と英語科教諭のための英語多読実践ガイド』を出版するなど、
英語多読の研究を続けています。

1日10分継続することで
確実に英語力が向上

 2008年の校舎移転に伴い、明治大学付属明治では『英語多読』を本格導入しました。移転され広くなったガラス張りの開放感あふれる図書館には、8000冊もの洋書が並びます。

「英語多読は以前から細々と行っており、洋書はたくさんあったのですが、専用ルームに鍵をかけて保管されていました。移転後、図書館スペースの拡大を機に英語科と図書館の連携を進め、生徒がいつでも洋書にアクセスできる環境を整え、本格的に英語多読をスタートさせました。
 基本的な英語力が身についた中3から高3の生徒を対象に、放課後や帰宅後、毎日少しずつ読むよう指導しています」

 そう話すのは、幼少期を図書教育が盛んなカナダで過ごし、英語多読の効果を自身が体験してきた英語科・国際連携主任の村松教子先生です。

「生徒が取り組みやすいよう、自分の好きな洋書を選び、『1日10分程度、1週間で5000語を読む』というゆるやかなルールを設けています。
 生徒は読んだ本の簡単なあらすじと語数を『Reading Log』に記入し、教員が定期的に確認します。『このレベルのほうが読みやすいよ』など、アドバイスをすることもあります。
 導入して以降、英語多読に関するさまざまなデータを取っています。そこから難しい本を読むより、本人が読みやすい、簡単な洋書をたくさん読んだほうが、英語力の向上が見られることがわかりました。そのため、生徒には自分のレベルより2ランク下げた難易度の本を読むように薦めています。
 個人差はありますが、英語多読にきちんと取り組んだ生徒は、約3カ月でTOEICや英語検定の結果に成長が現れます」

英語4技能がバランスよく伸び
学校全体の英語レベルが向上

 生徒が自分に合ったレベルの本をすぐに見つけられるよう、図書館の洋書は難易度別に5つに色分けされ、表紙には総語数が記載されています。洋書選びに迷う生徒には、司書教諭の江竜珠緒先生が「このシリーズは簡単な文法で書かれているから読みやすく、ストーリーも面白いよ」などのアドバイスをしてくれます。

 英語多読の成果は、リーディングはもちろん、スピーキング、リスニングでも発揮されていると村松先生。地道に培った真の英語力は、海外研修などの英語体験の場にも現れています。

「夏休みに実施する希望制のカナダ研修は、かつては初級・中級の2コースから選択する形式でした。多読を始めてから初級コースを選ぶ生徒が激減し、中級コースのみになりました。学内で行う英語スピーチコンテストのレベルも上がり、英語の流ちょうさに加え、内容も個人的なものから社会課題を扱った高度なテーマへと変化しました。個人レベルでは、高3の夏に受験を決めて英語多読を頑張り始めた生徒が、『共通テストでわからない単語がなかった』というくらい、短期間で英語力を高めた例もあります。
 英語が苦手で留年してしまったある生徒は、このままでは大学の内部推薦も危うくなると危機感を覚え、毎日、英語多読を行い、数カ月後には内部進学の条件をクリアするTOEICスコアをマークし、大学進学後は英語ディベート部の部長を務めるまでになりました」

 日頃の授業でも、英語多読がもたらす利点は大きいと語る村松先生。

「高校の英語の授業では哲学的な内容の原書を扱う時間もあります。その際、日頃から洋書に親しんできた生徒たちは抵抗なく授業に参加しています。また探究学習で調べ物をする際も、英語の文献にアクセスできると、得られる情報・知識量は格段に増えます。将来グローバル社会で活躍する生徒たちにとって大きな財産となるでしょう」

 2024年には、スマートフォンなどデジタル端末を用いて、幅広い洋書を自由に読むことができる英語多読システム『XReading』を導入しました。生徒は膨大な量の洋書から、自分のレベル、好みのジャンルに合わせた、自身に最適な本に瞬時にアクセスでき、音声を聞くことも可能です。

「読みたい洋書が貸し出し中という問題が解消され、より手軽に洋書に触れる環境が整いました。相乗効果でさらなる英語力の向上を期待しています」

洋書には一目見てレベルと総語数がわかるよう色分けされたテープが貼られています。「自分の英語レベルより低い本を繰り返し読むことで英語力がアップしていく」と村松先生。洋書には一目見てレベルと総語数がわかるよう色分けされたテープが貼られています。「自分の英語レベルより低い本を繰り返し読むことで英語力がアップしていく」と村松先生。
自然光が降りそそぐ明るい図書館。放課後や昼休み、図書館で英語多読に取り組む生徒も。自然光が降りそそぐ明るい図書館。放課後や昼休み、図書館で英語多読に取り組む生徒も。
読んだ語数と簡単なあらすじを書き込む『Reading Log』。教員が定期的にチェックし、生徒の多読をサポートします。読んだ語数と簡単なあらすじを書き込む『Reading Log』。教員が定期的にチェックし、生徒の多読をサポートします。
POINT
続けるとスラスラ読めるように!
TOEICスコアも100点アップ
Nさん(高3理系)

 英語多読を始めた当初は、週5,000語を読むのは大変でした。続けるうちにスラスラ読めるようになり、自分でも驚きました。高2からはさらに多読に力を入れると、TOEICスコアが100点アップ。今は江竜先生に勧められた『XReading』の『Foundations Reading Library series』が面白いです。同じシリーズを読み続けると、同じ言い回しが出てくるので自然と覚えます。理系に進むつもりですが、将来は英語で論文を書いたり発表をしたりする力が必要だと思うので、今後も多読を続けて英語力を高めていきたいですね。


好きな時に好きな本が読める
『XReading』で多読がさらに楽しく
Cさん(高3文系)

 英語に苦手意識がありましたが、先生のアドバイスに従い、自分のレベルより簡単な洋書をたくさん読むことを繰り返すうちに理解が進み、物語自体を楽しめるようになりました。学校の海外プログラムで海外の生徒とのオンライン交流やオーストラリア研修を体験したことも相乗効果となり、英語に自信がもてるようになりました。『XReading』は膨大な洋書の中から好みの本をすぐに探し出せ、隙間時間にスマートフォンで読めるので、自然に読書量が増え、前回のTOEICスコアから70点アップしました。今後さらに多読に力を入れたいです。

担当の先生より
英語多読の効果をデータ化し
生徒に示してモチベーションを向上
国際連携主任・英語科教諭/村松教子先国際連携主任・英語科教諭/村松教子先生

 適正レベルの洋書を多読した生徒は、読解力はもちろん、リスニングやスピーキングの能力も高まります。毎日10分間、図書館で読んで帰る生徒もいますし、通学時間に読む生徒もいます。個人差はありますが、きちんと取り組むと、約3カ月で効果が出てきて、それに比例してTOEICスコアも伸びています。そのデータを示し、『これくらいやるとここまで伸びるよ』と繰り返し伝えているので、生徒は納得して主体的に多読に取り組んでいます。


英語力向上とともに、
多様性が学べる本選びを意識
司書教諭/江竜珠緒先生司書教諭/江竜珠緒先生

 図書館の洋書は、和書で人気のあるジャンルや、英語圏の子どもたちに多く読まれている本を中心に選んでいます。日本で流通している洋書はアメリカやイギリスのものが主流なので、オーストラリアやカナダ、シンガポールなど、そのほかの英語圏の本も集めています。

 生徒に人気の『Foundations Reading Library series』は、多様な人種の子どもが織りなす群像劇です。多様な文化・価値観に触れ、「海外に留学したらこんな感じかな」と想像しながら読んでほしいと思っています。

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