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私立中高進学通信

2023年8月号

中1の始め方

女子美術大学付属中学校

一人ひとりの個性を尊重
豊かな感性と創造力を伸ばす

スケッチ旅行で制作した作品を手にするMさんとKさん

スケッチ旅行で制作した作品を手にするMさんとKさん

「美術を通して感性を磨き、文化を担う人材を育てる」というミッションのもと、美術教育を基幹とする同校。個性豊かな新入生たちが学校になじみ、のびのびと過ごすためのサポートについてご紹介します。

お互いを知り
違いを認め合うことから

「絵を描くのが好き!」「ものを作るのが好き!」。そんな生徒たちが集まる同校は「梅」「松」「竹」「桜」の1学年4クラス編成です。各クラス36名、計144名で中1生の学校生活がスタートします。

 4月の入学式後、まずは自分のことをみんなに知ってもらい、クラスの仲間を知ることから始まります。名前に加えて、自分が好きなモノやコト、最近では“推し”などの情報を書いた名刺を手作りして、自己紹介とともにクラス全員で名刺交換をします。

「また、先日は班ごとにゲーム形式でお互いを知る時間を設けました。『朝起きる時間』『好きなアニメ』など6つの質問と各班で独自に設定した質問の計7つに、それぞれ回答していきます。小さなことでも友人との共通項を見つけて『同じだね!』と言い合ったり、違いを知ったりすることがコミュニケーションをとるきっかけになっています。特に個性豊かな一人ひとりが、クラスの仲間としてお互いの個性を認め、尊重することは、その後の友人関係を深めていくためにはとても重要です」と中1学年主任の村上奈緒子先生は話します。

春季の「スケッチ旅行」で深まる学びへの意欲

 毎年恒例の学年行事「春季旅行(スケッチ旅行)」。コロナ禍以前は毎年軽井沢で実施していましたが、2022年からは旅行先を神奈川県の箱根とし、2023年も1泊2日で行われました。

1日目 写生実習

 芦ノ湖周辺で写生エリアを設定し、生徒たちはそれぞれ気に入った場所で周辺の山々や湖などの風景をスケッチします。その日のうちに水彩絵の具で色塗りまで仕上げました。

2日目 美術館見学

 2023年は箱根にある『ポーラ美術館』と『彫刻の森美術館』を訪れました。

参加した生徒の感想

「スケッチでは、風景の中で光って反射している部分があり、その描き方が難しかったです。大規模な屋外展示の美術館に初めて行きましたが、迷路になっている展示がとても楽しかったです」(Kさん)

「私は草間彌生さんが好きで、訪れた美術館に作品がありました。実際に間近で見ることができて、とても感動しました」(Mさん)

描き上げた作品を講評描き上げた作品を講評
制服のリボンに込められた「ものづくり」精神を学ぶ
制服は、ブラウスにジレ(ベスト)とジャケット。スカートに加え2023年よりスラックスも加わりました。制作の授業では「仕事着」と呼ばれる薄いブルーのスモックを着用します。制服は、ブラウスにジレ(ベスト)とジャケット。スカートに加え2023年よりスラックスも加わりました。制作の授業では「仕事着」と呼ばれる薄いブルーのスモックを着用します。

 同校の制服の襟元を飾る織りのリボンは、中学生がエンジ色、高校生は紺色です。このリボンは同校の卒業生で現在も女子美術大学に在職する工芸作家による作品です。毎年一人で1年生144人分のリボンを制作するのですが、糸の染色から始め、一つひとつ織り上げていく工芸作品です。中1では、この制作工程についてのお話を、実際に制作した作家の方から聞く授業があります。糸を染める色合いの微妙で繊細な調整や、伝統的な木製の織機を使った織り作業についてなど、ものづくりに対する親しみと尊敬の心を養うことにつながっています。

アートイングリッシュ
(Mさん/中1)(Mさん/中1)

 同校にはオリジナルプログラム「アートイングリッシュ」という英語の授業があります。これは、グローバルな活躍を見据え、美術用語も含めた英語力を養う授業です。

「学校見学会で『手紙魔のゴッホに英語で手紙を書こう』という授業を見学したのですが、今、実際に入学して自分たちがこの授業を受けています。難しそう……と心配でしたが、やってみると面白くて勉強になります。美術以外の授業もとても充実していると思います。ユニークで個性的な先生が多くて楽しいです」

専門的な指導と学びの環境
(Kさん/中1)(Kさん/中1)

 同校の特色として、専門性が高くわかりやすい美術指導と、デザイン室やアトリエなど美術関連の環境設備が充実している点が挙げられます。

「小学校では1週間のうち2時間しか絵を描く時間がなかったけれど、入学したら、たくさんの時間と教室が美術のためにあってうれしいです。今は、“副都心を描く”というテーマで、屋上から新宿方面の景色を描いていますが、遠景や近景、角度などで表す描き方を先生がわかりやすく教えてくださいました」

感性豊かな生徒たちが
安心して学び羽ばたける学習環境です
学年主任/村上奈緒子先生学年主任/村上奈緒子先生

 今年も繊細な感受性やさまざまな価値観をもつ生徒が入学しています。皆「美術が大好き」という共通の想いをもった多彩な生徒です。入学後、「みんなと仲良くなれるだろうか」と不安を感じている生徒も少なくありません。こうした生徒たちも含め、思いっきり好きな美術に集中し安心して学べるよう、各クラスが担任と副担任の2人体制で指導していきます。多感な時期をコロナ禍で過ごしてきた生徒たちですが、最近はカフェスペースで明るい表情でランチタイムを過ごしている様子が見られるようになりました。これからも生徒たちの成長を見守っていきます。

ユニークな学校案内に注目

 女子美の魅力を伝える学校案内『JOSHIBI 2024GUIDE BOOK』は、常に時代の先端を意識する同校らしく、カラフルでユニークな仕様です。レインボーにきらめく透明バッグに入った学校案内には、卒業生で同校の教員であり、現役の漫画家でもある井田葉子さんの「ジョシビきせかえ」が添えられています。昭和レトロふうタッチの着せ替え人形が描かれ、裏面には同校の校章や制服についての由来などが紹介されています。

「突出した発想、独創的なアイデアをもつ人材が、今後は一層求められる社会になるでしょう。美術を通して創造性豊かな人材を育成する本校の教育にとっては、時代の追い風が吹いているように感じます」(広報担当/並木憲明先生)

進学通信 2023年8月号
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