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私立中高進学通信

2023年8月号

中学入試のポイント

横浜富士見丘学園中学校

聴く力・書く力を重視した
「表現力入試」を新設

中1・中2を対象とする独自のプログラム「国語ディクテーション」に取り組み始めた同校。2024年度入試から、その「国語ディクテーション」への入り口となる「表現力入試」が新設されます。そのねらいと特色を紹介します。
オリジナルの
「国語ディクテーション」

 2024年度入試から、2月3日(土)の午後に「表現力入試」を新設する同校。「表現力入試」は、同校独自のプログラム「国語ディクテーション」へつながる入試となっています。どのような内容なのか、国語科教諭の阿武泉教頭、理科教諭で入試広報部長の山家剛仁先生に伺いました。

「本校は、2023年度から国語教育の新しい取り組みとして、中1・中2を対象に『国語ディクテーション』をスタートしました。ディクテーションとは、英語学習でよく使われる音声を聴いて書き取るトレーニング方法ですが、これを日本語に転用しています。母語である日本語ならそれほど難しくないと感じるかもしれませんが、実際に音声を正しく聴き取り書き出そうとしてみると、簡単ではないことがわかると思います。
 中1の導入期では、授業の冒頭に教員が文章をゆっくり、文節ごとに読み上げます。生徒は聴き取りながらメモをしていくのですが、最初はひらがなだけでも良いのでスピード重視で書き出し、再度文章を聴き取って、メモを修正します。最後に教員が読んだ文章を提示し、生徒は書き取りできなかった部分や書けなかった漢字を補いながら清書します。中2では長文に取り組んだり、音読用に収録された音声を聴き取ったりして、内容をレベルアップします。
『国語ディクテーション』の狙いは、生徒に他者からの情報を正確に、かつ迅速に理解するための聴く力、書く力を養いながら、集中力や読解力、語彙力を伸ばすことです。この取り組みは、国語力の向上にとどまらず、全教科の底上げに役立つと考えています。
 また、人の話をよく聴くということは、相手を敬うことにもつながります。他者とのコミュニケーションを円滑にするためにも必要な力となるはずです。
 本校独自のプログラムのため、生徒の様子を観察して、フィードバックをしながら授業を行っていますが、『国語ディクテーション』で培われる力は、将来、生徒がどのような道に進んだとしても、彼らを助ける大切な力になると確信しています」(阿武教頭)

国語力と表現力を
評価する入試

 2024年度から新設される「表現力入試」は、「国語ディクテーション」の理念を反映させた入試となるそうです。

「『表現力入試』は2月3日(土)の午後に実施します。
 2つのテストで構成される試験で、1つは聴く力、書く力、読解力、論述による表現力を確認する『国語力のテスト』です。100字程度の文章で聴き取りと書き取りを行い、さらにその文章に付随した長文を聴き取って問いに答え、文章の内容に対する意見を50〜100字で論述します。
 もう1つはプレゼンテーション力、コミュニケーション力を確認する『プレゼンテーションのテスト』で、受験生1名と面接官2名で行います。最初に、自分が力を入れてきたことや好きなことなどの自己PR、特技を披露してもらい、面接官と質疑応答を行います。
 評価は①読む力・書く力、②読解力・表現力、③プレゼンテーション力、④コミュニケーション力の4項目それぞれの達成度を、ルーブリックで行います。
 本校は2科4科、英語2科4科など、さまざまな形式で入試を行っていますが、『表現力入試』は『国語ディクテーション』の導入になる入試と位置づけています。国語が好きな人はもちろん、探究学習やスポーツなどの習い事に力を入れてきた人、発表するのが好きな人にも注目してほしい入試です。
 もし興味をもっていただけたら、日々の生活の中で家族との対話を大切にする、ニュース番組などをしっかり聴いてメモを取る、意識的に音読を取り入れた学習をするなど、聴くこと・書くことに意識を向けてみてください。そのような力をつければ、国語だけでなく、ほかの教科学習にも役立ちますし、さまざまな方面に興味・関心が広がるきっかけにもなります。
 学校説明会やオープンスクール、入試対策会などで、『表現力入試』のサンプル問題を配付し、実際に挑戦する機会も設けているので、ぜひ体験してみてください」(山家先生)

(この記事は『私立中高進学通信2023年8月号』に掲載しました。)

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