私立中高進学通信
2024年8月号
校長先生はこんな人!
芝浦工業大学附属中学校
理工系人材をさらに多く育成し
グローバル社会へと送り出したい
柴田 邦夫(しばた・くにお)校長先生
1967(昭和42)年、東京都出身。
芝浦工業大学柏中学高等学校に2年間、芝浦工業大学附属中学高等学校に23年間勤務。
学習指導部長として、学校全体の授業運営の改善に取り組み、ICT教育の土台作り、
環境整備を行う教務部長として、同校独自の新カリキュラムを立案。
芝浦工業大学の附属校であることを最大限に活かし、理工系教育・STEAM教育をさらに推進して「ワクワクする学校」
さらには「オンリーワンの魅力ある学校」をめざしている。
芝浦工業大学と連携した
STEAM教育を実践
2022年に本校は創立100周年を迎えました。本校の前身は『東京鐡道中学』です。この100周年を記念して、鐡道中学時代に活躍していた403号蒸気機関車が本校に寄贈され、現在、敷地内に展示されています。この機関車は、ものづくりや理工系教育を柱に据えた本校を象徴するモニュメントになっています。
私は、こうした本校ならではの伝統と校風を守りつつ、本校の理工系教育をさらに力強く推進していきたいと考えています。
本校が第一に掲げる目標は、中高大の一貫教育によって、科学者や技術者といった理工系人材を育成し、グローバル社会に送り出すことです。その根幹をなすのが、本校に隣接する芝浦工業大学の全面協力を得たSTEAM教育です。
大学との連携授業は、本校に入学するとすぐにスタートします。そのひとつが中1の『工学わくわく講座』です。芝浦工業大学の先生方による指導のもと、学部生や大学院生のサポート受けながら『パスタ・ブリッジ』に挑戦します。これは、食用の乾燥パスタを速乾性の接着剤を使って結合させ、橋の模型を作り、その強度を測る取り組みです。この講座によって、ものづくりの楽しさを知ってもらいます。
中2では『ロボット講座』を実施します。同大教授の説明を受け、同大が開発した初心者向け教育用ロボット『ビートル』を、生徒一人ひとりが1台ずつ組み立て、障害物競走を行います。毎年、本校から同大に進学した大学生も応援に駆けつけてくれます。
中3では、同大デザイン工学部の先生方による指導でデザイン工学の面白さが体感できる、『3Dプリンタをつかったものづくり体験』『リサイクルしやすいペットボトルをつくろう』『ペットボトルプロペラを飛ばそう』などの5講座に参加できます。
理工系の知識で
課題を解決できる力を育む
こうして生徒たちは、ものづくりの楽しさを知るとともに、『SHI-BAURA探究』に取り組みます。この活動は、ITリテラシーを活用して社会課題を解決する『IT』(Information Technologyの略)と、グローバルな視点を養ってPBLに取り組む『GC』(Global Communicationの略)を盛り込んでいます。この2つを両輪にコミュニケーション力、発想力、創造力などのスキルを高め、理工系の知識で課題を解決できるようにすることが目標です。
2年半にわたって『IT』『GC』で能力を育んだ後、中3では『総合探究』に専念します。同種のテーマを扱う仲間とグループを組んで、探究をより深いものにしていくのです。最近では、鯉の生態から調理法までを探究してプレゼンした生徒たちもいました。
こうした中学での準備期間を経て、高1・高2では個人で探究する『SHIBAURA工学探究』へと歩を進めます。中学での探究活動は試作品の製作段階でしたが、『SHIBAURA工学探究』では実装と検証の段階に移り、ひとつのプロジェクトを遂行していくのです。
自立自習のための授業
『SD』を導入
探究活動以外の大きな特色のひとつに、知識を定着させる『SD』=『Self Development』があります。中学3年間の時間割の中に、自立自習のための授業を週2~3時間組み込んでいます。
この時間は教員による座学はなく、生徒はひたすら自立学習に打ち込み、授業で学んだ知識を、問題集を解くなどしてアウトプットしていきます。自分に足りない部分を見極め、自ら主体的に計画を立てて学習する。そのプロセスが生徒の力を伸ばすうえで必要と考え、この『SD』を導入したのです。
さらに本校では、大学との連携の一環として『大学先取り授業』を行っています。高3の成績優秀者が、本校で平日午前中の授業を受けた後、豊洲や大宮にある同大に移動して、午後から大学の授業を受講できるシステムです。学期末には大学生と同様に試験を受け、合格すれば、同大進学後に単位として認定されます。高3次に大学の単位を取得しておけば、進学してから自由に使える時間が増え、ほかの学習や課外活動に充てることもできます。
本校は、こうして中高6年間をかけて理工系のスペシャリストを育て、芝浦工業大学の各学部に送り出しています。現在、6割を超える生徒が内部推薦などによって同大の各学部に進学し、優秀な成績を収め、総代を務めた卒業生も出ています。このように、これからの社会に大きく貢献できる科学者や技術者を、さらに数多く育てていくことが本校の目標です。
[沿革]
1922(大正11)年、東京鐵道中学として開校。1953(昭和28)年に経営が芝浦学園へ移され、芝浦工業大学附属高等学校へと移行。1982年に板橋区坂下へ移転。2017(平成29)年に豊洲へ移転し、高校を男女共学化。2021(令和3)年度から中学も女子を受け入れて中高一貫の男女共学校となる。
(この記事は『私立中高進学通信2024年8月号』に掲載しました。)
芝浦工業大学附属中学校
〒135-8139 東京都江東区豊洲6-2-7
TEL:03-3520-8501
進学通信掲載情報
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