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私立中高進学通信

2021年神奈川版

実践報告 私学の授業

横浜翠陵中学校

中学3年間の探究で大きく成長
翠陵グローバルプロジェクト

中2の学年末発表会でのプレゼンテーション。中学3年間にわたって、在校生や保護者の前で発表する機会が多く、生徒たちを大きく成長させます。

中2の学年末発表会でのプレゼンテーション。
中学3年間にわたって、在校生や保護者の前で発表する機会が多く、生徒たちを大きく成長させます。

自分の身近な課題から
世界の諸問題を考える

 グローバルな視点で挑む同校独自の課題解決型探究学習『翠陵グローバルプロジェクト(SGP)』は、今年で6年目を迎えました。KP法(※)やディベート、ポスターセッションなど、探究力、発信力を磨くプログラムも組み入れながら、中学3年間、週1時間のSGPの授業を行っています。グローバル社会における課題について、さまざまな角度からアプローチし、社会に出てからも必要となる探究力、プレゼンテーション力を育てます。

 同校では、段階を踏んで生徒の探究力・発信力を伸ばしています。中1の1年間は身近な課題について考え、自分の意見を発表することを繰り返し、探究学習と発表に慣れることを目標とします。中2では、課題解決を意識した学習にステップアップします。昨年は、東京オリンピック開催に向けた日本の課題と、課題解決案をまとめて翠陵祭(文化祭)で発表しました。さらに、その内容を発展させ、学年末の発表会では、日本が抱える課題について発表しました。

 中3では、SDGsについて詳しく学んだうえで、SDGsの17のゴールの中から生徒一人ひとりが自分の課題を選択して研究し、『MyGoal』として5000文字以上のレポートにまとめます。このレポートをもとに、SGPの締めくくりとして3月の卒業発表会で発表します。

※KP法…「紙芝居プレゼンテーション法」の略。手書きで要点を書いたA4の紙をボードに貼り付け、視覚的に整理してプレゼンテーションする手法。スライドを作るより簡便で、並び替えも簡単です。

全員がプレゼンテーション
やり遂げることで力をつける

 SGPのプロジェクト設計と立ち上げを担当した石田幸路先生は、SGPの特徴について次のように話します。

「取り組みやすいテーマを設ける代わりに、中1から発表は必ず1人で行うようにしています。グループ発表にしないのは、与えられた時間の中で資料作りや発表の準備を自分だけでやり遂げることが、生徒にとって大切な経験になると考えているからです。発表や探究が苦手な生徒も、繰り返すうちに興味のあるテーマを見つけて、積極的に取り組むようになります」

 外国語科・高1担当の鈴木絵恋先生も、SGPの授業を通して、生徒の成長を見守ってきました。

「『お寿司が好きだから海を守りたい』と提案をする生徒もいますが、そこがスタート地点でもいいと思うんです。そのような身近な問題から、外へと目を向ける視点を育むことで、やがて自分なりにグローバル社会とつながりを持った課題を発見していきます」

 一人ひとりをていねいに指導する同校の手厚い教育によって、生徒たちの学びの芽はしっかり育っています。

中1のユニセフハウスへの訪問。世界の子どもたちを取り巻くさまざまな問題を学びます。中1のユニセフハウスへの訪問。世界の子どもたちを取り巻くさまざまな問題を学びます。
中3の卒業発表会では、生徒それぞれの個性を発揮したプレゼンテーションが行われています。中3の卒業発表会では、生徒それぞれの個性を発揮したプレゼンテーションが行われています。
SGP
中学3年間の取り組み
さまざまな探究学習、発表の体験を積み上げていくSGP。さまざまな探究学習、発表の体験を積み上げていくSGP。

 プロジェクトの詳細を決めた石田幸路先生は、SGPについて次のように話します。

「SGPは総合学習の時間を使って、プレゼンテーションのスキルや探究力を鍛えて、情報処理能力・意思疎通力・リーダーシップ・論理的思考力・発信力の育成に力を入れています。
 SGPの最終的な目標は、グローバルなリーダーを育てることです。
『グローバルなリーダーとは何か』を突き詰めていくと、『世界をハッピーにするために行動できる人』なのではないかと考えました。
『まずは自分をハッピーにするために、そこから世界をハッピーにするには何をすべきか?』という問いかけが、SGPの基本であり、グローバルな視点で行う探究学習やプレゼンテーションの軸になっています」

中1
  • 目標をみんなで描きだす『Be-ing』によるクラス目標作り
  • 教育が受けられない世界の子どもたちの問題を考えるワークショップ『世界一大きな授業』への参加
  • 『ユニセフハウス』を訪問し、その活動について学ぶ
  • ワークショップ『世界がもし100人の村だったら』を通してグローバルな課題に触れる
  • SGPで探究したテーマについて、翠陵祭(文化祭)で個人プレゼンテーション
  • 学年末発表会で調べた国の「Good商品・制度・サービス」をまとめるポスターセッション
中2
  • 生徒一人ひとりが世界を良くするために達成したい『マニフェスト』を作成
  • 『世界一大きな授業』への参加
  • ディベートの練習スタート
  • 「日本における」課題を探究する『Japan Innovation』スタート
  • 『Japan Innovation』について翠陵祭にて中間発表をプレゼンテーション
  • 日本と世界の水事情を学ぶワークショップ『水から広がる学び』をスタート
  • 学年末発表会で1年間の成果をプレゼンテーション
中3
  • クラス『Be-ing』
  • 個人目標ポスター作成
  • SDGsの中から自分の課題を見つけてレポートを書く『My Goal』の探究をスタート
  • 卒業研究に向け、教員メンター制度スタート
  • 5000文字以上の論文『My Goal』を完成
  • 卒業発表会にて『My Goal』をベースにしたプレゼンテーションの準備
  • 卒業発表会で3年間の成果をプレゼンテーション
中1からのていねいな指導が生徒の力を伸ばす
学年末発表会における中1・国調べのポスターセッション。「モンゴルの教育制度の課題」など、興味深いテーマも飛び出しました。学年末発表会における中1・国調べのポスターセッション。「モンゴルの教育制度の課題」など、興味深いテーマも飛び出しました。

 同校ではプレゼンテーションやグローバル教育に初めて触れる中1での学びを大切にし、生徒自らが興味を持って取り組めるように、工夫しています。

「まずは気楽に自分を表現できるように、iPadのロイロノートを使った簡単な自己紹介から始めています」と鈴木先生は話します。

 グローバル教育についても、『世界一大きな授業』への参加や『ユニセフハウス』訪問の機会を設け、体験授業を通して世界の問題を身近なものとして考える視点を育てていきます。

 学年末には、生徒一人ひとりが興味のある国の魅力を調べ、ポスターセッションでプレゼンテーションします。すべての生徒が緊張の中、1年間の成果を発揮する機会となります。

中3の卒業研究、生徒一人ひとりに「メンター教員」
メンター教員が生徒一人ひとりの個性を活かし、探究心を引き出しながら、卒業研究をサポートしていきます。メンター教員が生徒一人ひとりの個性を活かし、探究心を引き出しながら、卒業研究をサポートしていきます。

 中3の卒業研究では、生徒一人ひとりを個別にサポートするメンター教員を置いています。メンターの教員は生徒の担任教員と協力し、卒業研究を内容から進行状況まで綿密にサポートしていきます。

 中3の教員だけでなく、中1・中2の教員や高校の教員もメンターを務め、全校を挙げて中3生の取り組みをバックアップしています。

先生から一言
SGPで得た力が高校での躍進につながる
SGP設計・高3担当 石田 幸路 先生SGP設計・高3担当
石田 幸路 先生

 私は、SGPの立ち上げからかかわっています。中1の時から発表する機会を多く設けていたためか、学年全体に活気があり、生徒会長、文化祭の実行委員長をはじめとする責任ある活動に対しても物怖じせず、非常に積極的です。自信をもって自己アピールができる生徒も多く、SGPの成果を感じています。総合型選抜(AO)入試にも、十分対応できる力がついていると思います。

構えずに取り組むことで伸びる探究力
外国語科・高1担当 鈴木 絵恋 先生外国語科・高1担当
鈴木 絵恋 先生

 中1のうちはわかりやすさを心がけ、世界の国々を調べる時も、「その国の強み」というと難しくなるので、「魅力」と言い換えて探してもらうなど、できるだけ身近に感じられるよう、工夫をしています。

 探究学習に対して、構えずにのびのびと取り組むうちに生徒たちの発想も広がって、予想以上の発表ができるようになります。その成長にはいつも驚かされています。

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