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私立中高進学通信

2023年11月号

校長先生はこんな人!

横浜女学院中学校

人は人のなかで育つ
自己受容力を高める環境づくりが
中学・高校の役割

平間 宏一 (ひらま・こういち)校長先生
1957(昭和32)年生まれ。神奈川県出身。
1979年、21歳で受洗。大学卒業後、横浜女学院に英語科教諭として赴任。
1984年に家業を継ぐために離職するが、1987年より再び同校で教壇に立つ。
英語科主任、国際教育部長、広報部長を歴任し、2005(平成17)年より教頭、副校長を経て、2015年より現職。

「この学校で学べて良かった」
と言われたい

 毎朝4時に起床して、犬の散歩をしてから出勤しています。支度をしながら「今日は生徒にどんな話をしようか」「頼まれていた原稿のテーマは」などと考える時間を大切にしています。そうすることで、7時に学校に到着した瞬間から仕事のスイッチを入れられるのです。これは校長になって以来の習慣です。

 校長の仕事とは、簡単に言ってしまうと『決めること』です。ですが、一つひとつの決断には生徒の将来や学校の今後がかかっています。一歩間違えると綻びが生じ、大きな迷惑をかけたり、後から修正したりしなければなりません。生徒や先生方と深く交流しながら、また学校外のいろいろな方にお会いして知見を得ながら、最後は自分で考えて決めています。

 先日、アメリカにいる本校の卒業生から「先生は、何か賞をもらえるとしたら、どんな賞をお望みですか?」というメールが届きました。彼女はその問いかけの後、自分が歩んで来た道のりや、 “何を目的に仕事をしてきたのか”といったことを綴っていました。質問の真意を推し量ることはできませんが、きっと何か悩みを抱えているのでしょう。そこで、私も彼女の問いかけを改めて考えてみたのです。

 出した答えとしては、私はこの仕事を通して賞賛を受けたいとは思いません。ただ、生徒や卒業生から「この学校で学べて本当に良かった」と言ってもらえるのが何よりうれしいのです。そして「先生が寄り添ってくれた」と思ってもらえたらもっとうれしい。そんなふうに思っています。

「受け入れられている」と
実感できる場所でありたい

 人生で我々はさまざまな出来事に直面するわけですが、良い部分も悪い部分も、人は人のなかで育っていくのだと思います。だからこそ今、生徒たちにどのような力を育んでいきたいかを常に考える。これが私の教育の原点です。そして、中高で育てたい力の一つが『自己受容力』です。人は残念ながら、楽をしたいと思ったり、他人をうらやんだり、ねたんだりする生き物です。人に感謝し、思いやりをもって接する気持ちを育むには、自分が愛され、受け入れられている感覚をもつことが重要です。その環境づくりこそが中学・高校の役割だと考えています。『自己受容力』は決して自分ひとりでは得られず、集団の中で育まれるものだからです。

 また、この先の社会を生きていくために、『胆力』や『Grit』(グリット)と言われる “やり抜く力”、困難をしなやかに乗り越え回復する力を意味する “レジリエンス”なども、身につけてほしい力です。中高6年間でさまざまな価値観に触れ、時にはぶつかり合いながら乗り越えて、こうした力を育むのが本校の教育の在り方です。

 こうした力はすでに生徒の内に芽生えています。新型コロナの感染対策を万全にしながら文化祭を開催する方法を、生徒たちは繰り返し企画書を書き、検討し、実現させていきました。その粘り強さは、自分自身を助ける将来の大きな力となるに違いありません。

自己受容力を高める
『哲学対話』を学ぶ授業

 本校では新しい取り組みとして、自分を見つめるための『哲学対話』の授業を始めました。原点は、私が通ったキリスト教系の中高一貫校で受けた哲学の授業です。イタリア出身のガエタノ・コンプリ神父が、最古の宗教と言われるゾロアスター教から、キリスト教、仏教、そしてハイデガーの存在論までを解説。それを基に生徒がレポートを書くというものです。

 レポートのテーマは『生きる』でした。週1度の哲学の授業は高3の冬まで続き、受験準備の傍らに一生懸命レポートを書いたことを覚えています。コンプリ神父から「君はよく考えている」と、いくつも丸をもらえたことがうれしかったですね。

 今の中高生にもこのような感動を味わってほしいと考えています。とはいえ、難しい話から始めるわけではありません。中1では『好きな教科・嫌いな教科』を挙げてもらい、その理由を言葉にして話したり、書いたりするところから始めていきます。クラスメートと語り合い、他者の話にじっくりと耳を傾ける体験の積み重ねは、生徒たちのなかでゆっくりと醸成され、自己を受け入れ、他者とともに協働する土壌となるはずです。

 安心してイキイキと学べる校風のもと、自問自答の姿勢や対話する力を育み、自己受容力を高め、生徒一人ひとりが自分にできることを創造し、発信する力を得られるよう、日々邁進していきます。

[沿革]
1886(明治19)年創立の横浜千歳女子商業学校と1943(昭和18)年創立の神奈川女子商業学校を、1947年、金子正が合併して創立。『愛と誠』を校訓として、 教育理念である『キリスト教教育』『学習指導』『共生教育』を柱に人間教育を行っている。2018(平成30)年より『持続可能な開発のための教育』(EDS)を導入し、問題解決型の思考力を養う探究活動を展開。

進学通信 2023年11月号
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