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私立中高進学通信

2024年8月号

実践報告 私学の授業

横浜女学院中学校

体験と学術的な学びが詰まった
『鳴子スタディツアー』

新たな視点を獲得し、進路選択の幅を広げる取り組み

探究シーン1
「木を切ることは、木の命をいただくこと」。その言葉を心に留め、チェーンソーの扱い方など注意事項を確認し、
生徒たちは伐倒体験を行いました。
伐倒後、切り株に触れた生徒たちは、
切り口のみずみずしさから木が生きていたことを感じ取りました。

学校生活で利用している机と椅子、そのルーツを訪ねる宿泊研修を取材しました。
木の伐倒体験や林業を営む方々との交流、東北大学の最先端研究にも触れる貴重な機会となっています。

社会課題への
学問的アプローチを学ぶ
教務部長・進路指導部長・社会科主任/鈴木俊典先生教務部長・進路指導部長・
社会科主任/鈴木俊典先生

 グローバルな視野をもち、持続可能な社会の実現に貢献できる生徒の育成を推進する横浜女学院。2023年秋に始まった『鳴子スタディツアー』は、高2の希望者を対象に、森林の伐倒と、東北大学との連携による学術的な学びを体験できる宿泊研修です。

「この宿泊研修は、本校の机と椅子に使用されている宮城県鳴子町の木材から始まりました。作り手の大場隆博さんは、かつてアラスカの木を用いていましたが、現地での森林伐倒が環境破壊につながると知り、日本の木材を用いつつ環境にも配慮した林業へとシフトしたそうです。同時に東北大学とも協働し、木の有効利用や再生可能エネルギーの生産にも尽力されています。
 大場さんの想いが、経済活動と持続可能な未来につながる現場を、生徒に五感で体感してもらいたいと考えたのです」(教務部長・進路指導部長・社会科主任/鈴木俊典先生)

東北大学主催の
起業プロジェクトに挑戦

 2023年度の鳴子スタディツアーには21名の高2生が参加し、そのうち10名は東北大学が主催する『地域課題解決アントレプレナーシッププロジェクト』に応募しました。フィールドワークや現地の方への聞き取り調査など半年近くの準備期間を経て、2024年3月、同プロジェクトのビジネスプラン発表会本選での熱いプレゼンテーションが実を結び、2グループが見事1位と2位を獲得しました。

「東北大学の大学院生にメンターとして付いてもらうのですが、最初のうちは何度もダメ出しをされ、案を練り直していました。現地の方にヒアリングし、県庁で資料やデータを見せてもらって調査を進めるうちに、現地の方々の想い、歴史や文化などを理解していったようです。
 受賞はもちろん素晴らしいことですが、何より大きな成果は、現地の方々や地域とのつながりを経験できたことです。ある生徒のチャレンジを全生徒で共有したいという気持ちから始まった『Assembly(アッセンブリー)』でのスピーチも良い波及効果を生んだようで、今年度のスタディツアー参加希望者は定員を大きく上回りました。今後も生徒の視野と可能性を広げる宿泊研修へと進化させていく予定です」

東北大学主催『地域課題解決アントレプレナーシッププロジェクト』にて、同校の「ONSEN」チームが「宮城県鳴子町_ペットを連れた温泉宿」で最優秀賞を、「let’s integral」チームが「宮城県鳴子町高校生向けドローン研修」で優秀賞を受賞しました。探究シーン2
東北大学主催『地域課題解決アントレプレナーシッププロジェクト』にて、同校の「ONSEN」チームが「宮城県鳴子町_ペットを連れた温泉宿」で最優秀賞を、「let’s integral」チームが「宮城県鳴子町高校生向けドローン研修」で優秀賞を受賞しました。
鳴子の木を使って大場さんの手で作られた同校の椅子と机。探究シーン3
鳴子の木を使って大場さんの手で作られた同校の椅子と机。
探究レポート
森林伐倒からナノテラス見学まで 濃密な学びと体験が詰まった3日間
探究1日目森林の命に触れる体験
チェーンソーで木を切るのは初めての体験。真剣に説明に聞き入ります。チェーンソーで木を切るのは初めての体験。真剣に説明に聞き入ります。

 2023年秋、鳴子スタディツアーの参加者21名は、初日に大場さんが扱う木材で建てられた『子ども園』を訪れました。

 生徒たちは、園長先生から育てた鶏を食べる農業学校の授業についての説明を聞き、命をいただく意味を考え、木を切ることも同じなのだと実感。そのうえで、木の伐倒を体験しました。

 作業後は近隣の東北大学に移動し、木材を燃料に発電と熱供給を同時に行う画期的なCHPシステムについて、教授から専門的な解説を受けました。


探究2日目伐倒した木が建材になる様子を見学
木が建材へと加工されていく過程を見学。木が建材へと加工されていく過程を見学。

 2日目は、廃校になった小学校の建物を活用して作られた宝来工場を訪れ、生徒たちが伐倒した木が工場に運ばれ、建材になる様子を見学。木材の加工や家具の製作工程について説明を受けたほか、製作途中である同校の机の天板も見ることができました。

 続いて東北大学川渡フィールドセンターを見学。農耕地や草原、森林なども有する大規模な大学附属農場です。「生ごみからエネルギーを作ろう」をテーマに、再生可能エネルギーについての授業も受講しました。


探究3日目次世代放射光施設「ナノテラス」+東北大学を見学
普段は入ることのできない「ナノテラス」を見学。普段は入ることのできない「ナノテラス」を見学。

 3日目は、東北大学青葉山新キャンパス内にある、「ナノテラス」を見学。世界最高水準の分析性能を誇り、多分野での活用が期待されている施設です。周辺には関連企業も進出しており、最先端テクノロジーによる企業活動も目にしました。

 水谷正義教授の研究室も訪問し、超精密加工を駆使した最新技術についてのレクチャーも受けました。未来を変える可能性を秘めた研究に触れたことで生徒たちの知的好奇心は刺激され、目を輝かせながら聞き入っていました。

ココも注目!
テーマは“挑戦”
全生徒が体験を共有する『Assembly』
自らの経験を、振り返って発表する貴重な機会となっています。自らの経験を、振り返って発表する貴重な機会となっています。

 生徒活動報告会『Assembly』は、校内外のイベントに参加した生徒が、その経験を全校生徒の前で発表する新しい取り組みです。月に1度開催され、今回は「地域課題解決アントレプレナーシッププロジェクト」を経験した生徒や、『日経ストックリーグ』で審査員特別賞を受賞した生徒などが、自主的に発表を行いました。

「受賞経験だけでなく、“挑戦”の経験談を語った生徒もいました。慶應義塾大学の小論文コンテストに応募したものの入賞には至らず、それでも彼女は『8,000字の小論文を書き上げ、応募したことが私の成功体験』と堂々と発表していました。
 会場の生徒も、彼女自身も、言語化することでその経験を改めて実感できたはずです。
 こうした体験の共有が、生徒のチャレンジ精神を刺激してくれることを期待しています」(鈴木先生)

(この記事は『私立中高進学通信2024年8月号』に掲載しました。)

進学通信 2024年8月号
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