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私立中高進学通信

2023年12月号

実践報告 私学の授業

横浜女学院中学校

生徒が先生役となり英語で授業
生徒主催の『Learning by Teaching』

生徒の挑戦を後押しする主体性を育む学校風土

英語に特化した多彩な学びを実践する『国際教養クラス』の高校生が自主的に立ち上げた課外活動をリポート。生徒が社会課題をテーマに英語で授業をします。

高い英語力を備えた高校生が
英語による授業に挑戦!

 英語教育・国際理解教育に力を入れ、高い英語運用能力を備えた生徒を育成している横浜女学院。『国際教養クラス』の4名の高校生が、生徒が英語で授業を行う課外活動『Learning by Teaching』を主体的に立ち上げました。2022年秋にスタートし、これまでに4回開催しています。

 中高一貫の『国際教養クラス』は、オールイングリッシュの授業や英語でのディスカッション、全員参加のニュージーランドセミナーなど、多彩な取り組みで中1から英語力や思考力を鍛えています。特に英語で他教科を学ぶ『CLIL』(※1)の授業では、国際的な社会課題をテーマにディスカッションやプレゼンテーションを多く盛り込むなど高度な学びを実践しており、こうした日々の学びが『Learning by Teaching』立ち上げにつながったようです。

 活動を主催する高2生のMさん、Sさん、サポートした英語科の鯉渕健太郎先生に話を伺いました。

「高1の夏休みに学校の『英語キャンプ』に参加したのですが、そこで外国人留学生と3日間にわたり密度の濃いディカッションを重ね、刺激を受けました。英語キャンプ主催者である嶋津幸樹さんの著書『Learning by Teaching』を読み、"教えることでより学びが深まる"という考えに共感し、『自分たちもやってみたい』と4人で意気投合したのが始まりです」(Mさん)

 Mさんたちから相談を受けた鯉渕先生は、すぐに背中を押したと話します。

「横浜女学院では生徒たちの主体性を大切にしています。実際にアクションを起こし、開催にこぎつけた彼女らを見て頼もしいな、よくやったなと思いました。その最初の勇気あるチャレンジが2回目、3回目へとつながりました」

※1 CLIL…「Content and Language Integrated Learning」の略称。英語以外の教科やテーマを英語で学ぶ授業。英語を使いながら学ぶ体験的な学習が行える。

資料作りから集客まで
すべて生徒が企画・運営

 初回開催までの2カ月間は、授業の内容決めや資料作りなど、初めての経験ばかりで大変だったとSさん。

「4人で話し合いを重ね、先生にも企画内容や資料を見てもらいました。最初は集客にも苦労し、何度も校内放送で流したり、Microsoft Teamsで告知したり。その甲斐あって初回は中3と高1の約40名が参加してくれました」

 1回目はメンバーが英語でプレゼンテーションと質疑応答をする授業スタイルで開催。リハーサルを重ね、Sさんは長く続けている『書道の魅力』、Mさんはマンガを読んで興味をもった『社交ダンス』をテーマにスピーチしました。本番後は大きな達成感を感じつつも反省点も多かったとMさん。

「私たちが一方的にプレゼンをすると、参加者は聞くだけになってしまいます。そこで全員が能動的に参加できるよう、英語でのディスカッションを取り入れ、CLILの授業で扱った『平和』『ジェンダー平等』などをテーマに設定し、自分たちのオリジナリティも加えて2回目・3回目を開催しました」

 最初は「テーマが難しい」と感じた参加者たちも、自由に意見を交わすうち、話し合いが活発化していったとSさんは言います。

「回を重ねるごとに『私もプレゼンしたい』『活動に参加したい』という中学生も増えてきました。毎回参加してくれる人もいて、少しずつ活動の輪が広がっていると思います」(Sさん)

「教員は、資料の内容やプレゼンに関してアドバイスをするなど、要望があればサポートをしていますが、基本的にあえて何もしないというスタンス。そのほうが生徒たちの成長につながりますし、それだけのスキルをもっていると信じています」(鯉渕先生)

 受験準備に集中するため、MさんとSさんは4回目を最後に引退し、後輩にバトンを渡します。

『Learning by Teaching』主催を実現できたのは、主体性を尊重し伸ばしてくれる教員と学校文化にあると語る2人。「先生のサポートが手厚く、やりたいと思ったことを応援してくれる学校」とMさん。Sさんは「この学校に入っていなければ、こんなに英語力を伸ばせていなかったし、積極的に行動できる自分はなかったと思います」と力を込めて語ってくれました。

生徒インタビュー
ファシリテーターとして英語で他生徒をサポートすることも!
英語力も思考力も鍛えられ、成長を実感
Mさんの写真ですMさん(高2/国際教養クラス理系)

『Learning by Teaching』を通じて自身の大きな成長を実感しているというMさんとSさん。プレゼンスタイルから、テーマを決めてディスカッションするスタイルに変更したことで、さらに学びが深まったと言います。

「回を重ねるごとに語彙力、読解力、英語でのプレゼン力など、総合的な英語力が高まっていると思います。各グループの様子を見て、必要であれば話し合いが円滑に進むようサポートに入ったり、欠席者が出た時には参加者としてディスカッションに参加したり、サポート力や臨機応変に行動するスキルも身につきました。
 企画の内容に関して立ち上げメンバー4人で行ったディベートも、英語力向上に役立っています」(Mさん)

Sさんの写真ですSさん(高2/国際教養クラス理系)

「『CLIL』の授業で学んだことを、『Learning by Teaching』でも取り上げることで英語力も思考力も高まり、先生役として英語で授業をすることで、会話力・表現力も向上します。
 いかに効果的に伝えるかという視点も意識するようになり、先生から『こうしたほうが伝わるのでは?』とアドバイスをもらったことで、内容がより良くなりました。
 物事を多角的に見る視点や、ほかの人に意見を仰ぎ、素直に受け入れる姿勢も学ぶことができました」(Sさん)

 2人は現在、運営からは退きましたが、「『Learning by Teaching』の学びには受験に役立つ内容も含まれるので、今後も参加者として積極的に関わっていきたいです」と話してくれました。

グループディスカッションの様子の写真です活動シーン1
開催2回目のテーマは『PEACE』。放課後の時間を使い、主催の高2生が先生役となってオールイングリッシュの授業を実施。社会課題をグループでディスカッションし、解決策を探りました。
グループディスカッションの様子の写真です活動シーン2
主催者はグループディスカッションのサポートにも入ります。「中学生も参加しているので、難しい英単語や表現はわかりやすい英単語・表現に置き換え、必要なら日本語で説明するなど工夫しています。おかげで私たちの語彙力や言い回しのバリエーションも増えました」(Mさん)
グループディスカッションの様子の写真です活動シーン3
立ち話をする感覚で気軽に意見を言い合えるよう、立ち上がってグループワークを行うことも。「ライブ感ある授業にしたいなと思い、さまざまな工夫を凝らしています」(Sさん)
グループディスカッションの様子の写真です活動シーン4
『国際教養クラス』は中3で全員が3週間ニュージーランドに滞在して学びます。その時の経験を語り、関連テーマを話し合う機会も設けました。
ココも注目!
生徒の主体性を伸ばすため
教員は見守る立場を貫きます
鯉渕健太郎先生の写真です

 本校が育てたいのは、「自己受容力を高め、多角的かつグローバルな視野をもち、社会貢献を果たすことができる生徒」です。『Learning by Teaching』にはその全てが含まれています。私も毎回参加していますが、彼女たちが回を重ねるごとに成長し、スキルアップしているのを実感します。

 参加する生徒にとっても大きな学びとなっており、「あの子たち、すごいな」「あんな風になりたいな」と刺激を与えるロールモデルともなっています。運営に参加したいという生徒も出てきて、好循環が生まれつつあるので、今後はそんな後輩たちがすそ野を広げながらこの活動を続けてくれたらうれしいですね。(英語科主任/鯉渕健太郎先生)

進学通信 2023年12月号
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