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私立中高進学通信

2021年1月号

私学だからできるオリジナル教育

富士見丘中学校

自主研究『5×2』
探究心を育み自己発見

中1生から高2生までが取り組む自主研究『5×2』。1年間、自由なテーマに取り組むことで、将来に向けた夢の実現に向けた意欲を伸ばしていきます。
生徒たちによる『5×2』の研究論文。さまざまなジャンルの論文が発表され、まとめ方もバラエティに富んでいます。論文集が発行され、他の学年の論文も読むことができるので、上級生の論文に下級生が刺激を受け、お手本としています。

生徒たちによる『5×2』の研究論文。
さまざまなジャンルの論文が発表され、まとめ方もバラエティに富んでいます。
論文集が発行され、他の学年の論文も読むことができるので、上級生の論文に下級生が刺激を受け、お手本としています。

四半世紀続く
伝統の「自調自考」

 文部科学省のSGH(※1)指定校、そしてWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業(※2)の拠点校として、革新的でグローバルな人材育成に力を入れ続けてきた同校。多彩な取り組みの中で、25年の長きにわたって行われてきたのが自主研究『5×2(ごかけるに)』です。

『5×2』は、月曜から金曜までの平日5日間の授業から得た知識や考え方を、週末(土日)を使って、生徒一人ひとりが自分の興味や関心を育てていく研究活動です。平日5日間と週末2日間の取り組みを、単なる足し算ではなく、相乗効果で探究の面白さに気づき、主体的な姿勢を育むことを狙いとしています。

 中1から高1までは必修、高2では選択となります。研究テーマのジャンルは自由です。ある年に決めたテーマを翌年継続しても構いませんし、新しいテーマを設定することもできます。

※1 SGH…スーパーグローバルハイスクールの略。国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を重点的に行う高等学校などを、文部科学省が指定する制度。指定校は国内外の大学や企業、国際機関などと連携し、グローバルな社会課題をテーマに探究学習を行います。

※2 WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業…世界で活躍できるグローバル人材を育成するため、これまでのSGH事業の実績などを活用し、先進的なカリキュラムの研究開発・実践を行うためのネットワークづくりをめざす取り組み。

中1~高1の積み上げが
キャリア意識を育てる
毎年、作成される論文集『5×2 Story』。毎年、作成される論文集『5×2 Story』。

 生徒は主に、週末や夏休みなど長期休業中の時間を使って調べ学習や取材、フィールドワークや実験などに取り組みます。年度末には、中学・高校別で優秀賞を決定。『5×2Story』として論文集にまとめられ、春には保護者を迎えての発表会も行います。

 なかには専門家も注目するほどの高度な内容や、しっかりとした構成が練られた研究も見られます。近年は、『5×2』で選んだテーマをもっと深く知りたいと、学校推薦型選抜や総合型選抜(旧AO)入試に論文を利用してアピールし、大学進学を果たす生徒も増えてきました。

 中学校で2021年度から本格実施される新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が重視されています。自分の興味や関心のあることを探究し、そこから知識や技能を獲得し、新たな考え方や自分自身を発見する。そんな本来の「主体性」のあり方を認め、発揮できる場や時間を保障する。これが『5×2』に込められた思いなのです。

 高校生になるとグローバルスタディ基礎・演習という授業が待っています。『5×2』の個別のテーマをグローバル・イシュー(地球規模の課題)に高めた探究学習です。

 社会課題を自分自身で見つけ出し、国内外でフィールドワークを実施してこれを解決する方法をグループで考える。個人で行う『5×2』は社会へ、そして世界へ向けた探究力を培っていきます。

進路につながる『5×2』
自分の興味を突き詰めて
将来の夢や進路を具体化する
2019年度、高校の『5×2』最優秀賞を受賞したFさん(高2)。産婦人科医療の研究は2年がかりになりました。2019年度、高校の『5×2』最優秀賞を受賞したFさん(高2)。産婦人科医療の研究は2年がかりになりました。

 Fさんが高1の時に選んだテーマは「産婦人科医療」でした。自分自身が低体重児として生まれ、そのことを母親から聞いていたFさんは「出産って奇跡なんだ」と思うと同時に、助産師という職業にも関心があったことから、産婦人科の仕事について研究を進めました。

 高2での『5×2』でも、引き続き産婦人科医療をテーマに選んだFさん。その大きなきっかけになったのは、昨年夏、病院で看護師をめざす高校生向けの「1日看護体験」への参加でした。

「実際の看護師の仕事や、病院の仕事を知ることができました。患者さんの様子を細かく時間単位で観察し、把握する姿を見て、『ここまで患者さんを詳しく見ているんだ』と驚かされました」

『5×2』のレポートには、看護体験の内容や感想だけでなく、自宅で家族をモデルに「足浴」を再現して画像を撮影し、より詳しい解説も加えました。胎児の成長過程なども調べるうち、育児への社会的な配慮に乏しい日本の現状など、社会的な課題にも視野が広がりました。

 ナースの白衣を着て、患者さんと触れ合う体験を経て、将来への夢が、看護学科に進学するという具体的な進路として固まりました。

バインダー1冊がいっぱいになるほどの成果は「調べていたら自然とそうなった」とFさん。

バインダー1冊がいっぱいになるほどの成果は
「調べていたら自然とそうなった」とFさん。

探究のだいご味を知る『5×2』
自分の中にある興味や関心を
とことん探究する方法を知る
中学の『5×2』最優秀賞を受賞したSさん(高1)。「今年度は地震をテーマに研究を進めています」中学の『5×2』最優秀賞を受賞したSさん(高1)。「今年度は地震をテーマに研究を進めています」

 Sさんは昨年、火山をテーマに探究しました。タイトルは「火山の恩恵に迫る!」です。

「噴火という自然災害をもたらす火山にマイナスのイメージをもっていましたが、プラスの部分もあるのではないかとテーマに選びました」

 振り返ってみると中1の『5×2』のテーマは「温泉」でした。「単に、自分が温泉好きだったから」という理由で選んだものの、その時から少しずつ火山との関連も気になっていたそうです。

 そうした話を家族にしていたところ、夏休みの家族旅行を阿蘇山にしようという計画が持ち上がりました。現地の阿蘇火山博物館を訪れ、火山灰による土壌の変化が農業にもたらすメリットや、地熱発電などの利用方法も知ることができました。

 何より阿蘇の雄大な風景を目の前にして感じ取ったことが、研究のまとめを大いに進めてくれたそうです。ここから「恩恵」というキーワードが生まれました。ネットや資料で調べるだけでなく、フィールドワークを行ったことが高く評価され、中学校の最優秀賞を受賞しました。興味を深堀りすれば、自ずと道は開ける、そんな研究のだいご味を今まさに味わっています。

テーマは自由。
だからこそ見いだせる何かがあります
関根淳先生(教務部長・広報)関根淳先生(教務部長・広報)

 興味をもったことをどこまでも学べるのが『5×2』の特色です。春に担任が面接をしてテーマ設定のアドバイスを行いますが、「こうしなさい」と強制することはなく生徒に任せています。だからこそ、生徒は自分で何かしらのテーマを見つけてくるのです。

 そこには、何らかの理由が存在しますし、そのテーマを突き詰めるほど、研究対象の向こう側にある自分自身の探究につながります。それが、『5×2』が進路につながる理由だと思います。

 最初から進路に活かす目的を持って研究に入る生徒もいれば、調べているうちにだんだんと興味がわいて将来の進路につながる生徒もいます。取り組み方や入り口のスタンスもさまざまで自由なのが、『5×2』の良さだと考えています。

毎年4月に、前年度『5×2』の最優秀賞、優秀賞受賞者のプレゼンテーションを聞く『5×2セレクション』が開かれます。研究の方法や進め方を、みんなで共有することができます。

毎年4月に、前年度『5×2』の最優秀賞、優秀賞受賞者のプレゼンテーションを聞く
『5×2セレクション』が開かれます。研究の方法や進め方を、みんなで共有することができます。

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