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私立中高進学通信

2024年7月号

羽ばたけ! 国際人

富士見丘中学校

中高時代に育んだ探究心と
英語コミュニケーション能力
でグローバルに活躍!

イギリス短期留学時に姉妹校の生徒たちと。

SGH(※1)指定校としての5年間を経て、WWL(※2)指定校として、21世紀のグローバル社会を生きる力を育む同校。薬学の道という中高時代からの希望進路を実現し、現在は製薬メーカーの社員としてアメリカに駐在、国際的なフィールドで活躍している卒業生の酒井栞里さんに、同校で過ごした10代の日々について聞きました。

※1 SGH…Super Global High Schoolの略称。文部科学省がグローバルな社会課題を発見・解決できる人材、グローバルなビジネスで活躍できる人材の育成に取り組む高等学校を指定する制度。

※2 WWL…World Wide Learningの略称。これまでのSGH事業の実績や教育資源を活用し、国内外の大学、企業、国際機関等が協働し、高校生国際会議の開催など高校生へ高度な学びを提供するネットワーク形成をめざす取り組み。

現在の海外勤務は
中高の英語教育の賜物
短期留学の一環でUAEを訪問。現地UAE大学の学生と交流を深めました。短期留学の一環でUAEを訪問。現地UAE大学の学生と交流を深めました。

「忠恕の心を持つ国際性豊かな若き淑女の育成」をスクール・ミッションに掲げる同校。酒井栞里さんは、同校から東京薬科大学薬学部に進み、薬剤師免許を取得。大学卒業後は外資系大手製薬メーカーに入社し、現在はアメリカ本社に勤務しています。グローバルに活躍するその姿は、スクール・ミッションをまさに体現しています。酒井さんにとって、現在のキャリアを築くうえでの確かな土台になっているという中高時代。入学のきっかけは、お父様のすすめがあったからといいます。

「入試当日、私を待つ父一人のために、当時の教頭先生が校内を案内してくださったそうです。生徒一人ひとりの居場所をつくることを大切にしているというお話を伺い、父はとても感銘を受けたといいます。実際、入学してからも印象は変わらず、先生方のサポートも手厚く、居心地の良い学校で、楽しい中高生活を送ることができました」

 アメリカ駐在の現在は、職場の同僚から大切な顧客まで英語ネイティブに囲まれる環境。シビアなビジネスの現場では、高度なコミュニケーション能力が求められますが、今の仕事に従事するうえで、同校の「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能および、コミュニケーション能力を重視する英語教育が大きかったと語ります。

「本当に感謝の一言に尽きます。アメリカで仕事をする機会をつかめたのは、富士見丘の英語教育のおかげだと思っています。実は入学当初、英語が苦手でした。英語をコミュニケーションスキルとして身につけたいと思うきっかけとなったのが、中3のオーストラリア修学旅行です。ホテルの部屋でトラブルがあり、フロントの方につたない英語で伝えたところ、それが通じたことがうれしくて。外国語でコミュニケーションがとれる楽しさを知って苦手意識がなくなり、高1の3月にはイギリス短期留学も経験しました。大学受験に必要なスキルも含め、英語4技能は全て学校の学習で身につけられました」

探究活動を重ねたことで
将来の進路が明確に

 理数教育にも定評のある同校。中学の理科では、毎週実験を行うことで仮説→実験→論考を重ね、高校では、大学での研究・リポート作成の基礎技術を指導し、世界で活躍できる研究者の素地を形成するプログラムを実践しています。また、グローバルな視点から世界の課題について考察を深める探究活動のプログラムも豊富です。小学生の頃から薬学に興味を抱いていたという酒井さんも、同校の理数教育で学び、探究活動に注力することで、自らの未来を確固たるものとしていきました。

「理数系の学習に苦手意識をもったことはありませんが、それは富士見丘に専門性の高い先生方が多く在籍されているからだと思います。理数系大学の受験準備に際しても、各教科の先生方が入試に即した対策をしてくださり、その科目を受ける生徒がどんなに少人数でもしっかりとフォローしてくださいました。
 薬学に興味を抱いたのは、幼い頃に『全ての薬が飲みやすい甘いシロップでないのはなぜだろう』と素朴な疑問をもったことがきっかけです。富士見丘には中1から高2まで『自主研究5×2』という探究活動があり、私は脳やがんについてなど毎年医療系のテーマに取り組みました。医療系の探究を重ねていくうちに、見た目は同じ白い錠剤なのに、それぞれ異なる症状に効果がある薬の不思議さに強く魅了され、薬学の道に進もうと決意が固まりました。
 今振り返ると印象深いのが、高1の担任の先生です。薬学部志望の私に、薬学や医療に関する最新の新聞記事の切り抜きをいつも渡してくださるなど、心強い後押しをしていただきました。
 進路指導でも先生方が私の将来を見据え、どのような選択肢が最適か時間をかけて一緒に考えてくださったことが忘れられません」

海外交流で身についた
共通性を重視する姿勢
酒井栞里さん酒井栞里さん
「国際人として活躍するために必要な能力は、適応力と自分だけの強みが大事だと考えています」

 高2で2回目の短期留学を経験したほか、海外交流の活動を通じて異文化を体感したことは、10代の酒井さんにとって視野を広げる絶好の機会となりました。

「さまざまな国からやって来た留学生と触れ合い、海外で暮らし、異なる言語で生活することの本質を知り、自分の見えていなかった世界が見えてきたと感じました。
 2回目のイギリス短期留学では、帰国前にUAEを訪問し、その後UAEの大学生が来日した際は、交流会の進行を担当しました。日本とは文化が異なる中東の方との交流は、自分の人生で本当に大きなことでした。信仰に基づく生活文化をもつ中東は日本とは異なる文化のようですが、考え方が似ている部分もあり、違いではなく共通点に目を向けることの大切さを高校時代に学べたことは、アメリカで暮らす今、得難い経験だったとなおさら実感しています」

 日本のプレゼンス(存在感)を世界に広められる、国を問わず活躍できる人材になることが目標という酒井さん。母校の魅力を端的に表すと3つあると語ります。

「まず、生徒が居場所を見つけられる学校です。クラス、委員会、部活動など在学中はもちろんですが、多くの卒業生たちが訪問する、第2の実家といえる生徒思いの学校です。
 次に生徒の個性を大事にして、強みを伸ばしてくれます。スポーツ、文学、音楽、語学などさまざまな生徒が主役になれる機会が平等にあります。一人ひとりが輝くことで、さらに強みを伸ばせる環境が整えられています。
 そして社会に出るための、女性として身につけておくべきマナーや知識を中高6年間で培うことができます。『若き淑女=ヤングレディの育成』という言葉は今でも心に残っています。学習以外でも成長できる学校なんです」

UAEの大学生を日本に招いた交流会では、民族衣装に身を包み、会の進行を務めました。UAEの大学生を日本に招いた交流会では、民族衣装に身を包み、会の進行を務めました。
卒業後の2016年、UAE大学の学生と一緒に同校で行ったプレゼンテーションの様子。卒業後の2016年、UAE大学の学生と一緒に同校で行ったプレゼンテーションの様子。
在校時は海外からのビジターに校内を案内する役も務めました。在校時は海外からのビジターに校内を案内する役も務めました。
南カリフォルニア大学の学生に実験を教える酒井さん。現在、心不全の治療薬を担当し、アメリカで医療従事者向けのマーケティングを行っています。南カリフォルニア大学の学生に実験を教える酒井さん。現在、心不全の治療薬を担当し、アメリカで医療従事者向けのマーケティングを行っています。
おもな略歴
2019年3月 東京薬科大学薬学部卒業
薬剤師免許取得
2019年4月〜 MSD株式会社入社
MR 岡山県内基幹病院担当
(感染症・麻酔・肝細胞癌領域)
2022年1月〜 東京本社 Japan Leadership Program Oncology Marketing (デジタルマーケティング)
2023年1月〜 東京本社 Japan Leadership Program 財務部門
2024年1月~現在 Merck US本社 Japan Leadership Program US Marketing(心不全)

※Merckはアメリカ・カナダでのMSD社の名称であり、新卒から同じ会社に勤務

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