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私立中高進学通信

2021年1月号

私たち、僕たちが大好きな先生

城北中学校

身近に使われている実例を挙げることで
数学の学問としての面白さを伝えたい

数学科 村上雄太先生
慶應義塾大学大学院理工学研究科数理科学専修を卒業し、城北に赴任。
8年目を迎えた2020年度は、高2のクラス担任を務めています。
また中学・高校を通じてバスケットボールで鍛えた経験を活かして、
中学のバスケットボール部の顧問として指導を行っています。

「身近な物事にも使われる数学の学問としての面白さを伝えたい」という村上雄太先生。“わかる”ではなく“できる”実力を育てるために、村上先生が授業で実践する指導法と、育てていきたい生徒像について伺いました。

恩師と映画の影響で
決めた数学科教員の道
「卒業生が文化祭に彼女を連れてきて紹介してくれたこともあります。あの時はうれしかったですね」と話す村上先生。「卒業生が文化祭に彼女を連れてきて紹介してくれたこともあります。あの時はうれしかったですね」と話す村上先生。

――教員になろうと思ったきっかけを教えてください。

 高校で所属していたバスケットボール部の顧問の先生の影響が大きかったと思います。

 とても厳しい先生だったのですが、部活動を引退した後も一緒に旅行に行ったりと、先生とは交流があり、その中で「先生が厳しかったのは、我々のことを考えてくれていたからなのだ」と気がつきました。その時に、私も同じ立場に立てたら素敵だなと思うようになりました。

――なぜ数学科の教員をめざしたのですか?

 中高生の頃は、それほど数学が得意というわけではなく、むしろ英語の方が成績は良かったかもしれません。

 そんな私が数学の道を選んだのは、『博士の愛した数式』という映画がきっかけでした。小川洋子さんの小説を映画化した作品で、事故で80分しか記憶を維持できない数学者と、母子家庭の親子との交流を描いた作品です。この映画の中に「友愛数」や「完全数」「オイラーの等式」といった数学の知識が出てくるのですが、そうしたところに受験用の問題を解くだけではわからなかった数学の学問としての面白さを感じたのです。

 数学は、好き嫌いの分かれる学問だと思いますが、実は想像以上に身の回りのことに使われている学問でもあります。私が大学4年の時、東日本大震災が発生しました。それをきっかけに、大学院では「波のモデルの方程式」について研究しました。波の高さは数学の計算によって導き出すことができます。緊急地震速報などで通知される波の高さも、方程式を用いて計算された数字なのです。

 身近な物事を数式で表すことができる数学の面白さを生徒に伝えたいと思いました。

“できる”学力を
身につけるための授業

――“数学の面白さ”を、生徒たちにどう伝えていますか?

 生徒たちは大学受験を控えていますから授業中に脱線ばかりはできませんが、折に触れて身近な物事と数学の関係について話をしています。例えば決まった2点の間を結ぶ曲線に沿ってボールを転がした時に、ボールが一番早く転がり落ちる「最速降下曲線」というカーブがあります。高校の数学では、この最速降下曲線の長さを求める問題に取り組みますが、それがトンネルやジェットコースター、雨水を早く落とすためお寺の屋根などに使われていることまではあまり知られていません。授業で問題を解説する時にそうした話を付け加えると、生徒たちの反応が違ってうれしくなりますね。

――数学を途中であきらめてしまう生徒もいますが、その点はどうお考えですか?

「私立文系を選択して翌年は数学を学ばない高2生の中には、数学の授業へのモチベーションを保てない生徒もいます。そうした生徒のやる気を引き出すことは難しいのですが、ここが教員の腕の見せどころと思って授業に取り組んでいます。

 私は教科書をそのまま教えても面白くないと思っているので、黒板に書いた問題を解説する間は、生徒たちにノートをとらせません。解説が終わってから、生徒には黒板を見ずに問題に挑戦してもらうのです。そうすることで黒板をただ写すだけでは得られない理解が深まりますし、文系の生徒たちも「ちょっとやってみようかな」と興味を持ってくれるようです。

 私は“わかる”と“できる”は異なると思っています。

 私は高校生時代、手を動かすことが面倒で問題集の解答をただ読んでいました。そうすると書かれている内容は理解できるのですが、改めてその問題を解こうとすると手が進まない。その時に、 当時の数学の先生が言っていた“わかる”と“できる”は同じではないという話に納得がいきました。

 そうした自分の体験を踏まえ、教室にはメモ用の白紙を大量に用意しています。それを使って手を動かして1問でも多く問題を解くように指導しています。

 これは数学だけの話ではありません。画数の多い難しい漢字は、見ているだけで書けるようにはならないし、英語のスペルなどもそうだと思います。

自らの経験を伝えて
人間力を鍛える

――生徒たちには、どのような人物に育ってほしいですか?

 人間的に“面白い”人になってほしいと思っています。勉強の偏差値ではなく人間力の高い人になってほしいのです。

 そのためには“コミュニケーション能力”が大事だと思います。言葉の選び方や人に話を聞いてもらう力は一朝一夕で身につくものではありませんが、そうした点は本校が男子校であることがプラスに働くと思います。女子を意識して格好をつける必要がないので、ときには自分の弱い部分も見せながら周りと付き合って人間力を鍛えてほしいですね。

――人間力の高い生徒を育てるために注意していることはありますか?

 私は教員であると同時に、人生の先輩として、また“兄貴”として生徒たちと話す部分があってもいいと思っています。生徒たちは受験のことや大学生活のこと、この先の人生のことについて知りたい時期ですから、一番身近なロールモデルになれたらいいと考えています。そのためにも、私自身の大学時代の話は格好をつけずにオープンに話すようにしています。

 そうして巣立った生徒たちが、卒業後に成長した姿を見せてくれると、とてもうれしく思います。それと同時に、彼らの成長過程にかかわれたことを教員として誇りに思います。

自分の学生時代についても気楽に話すという村上先生。「男子校のためか、同世代の女性との接し方がわからないと悩む生徒もいますが、『人として魅力があれば大丈夫!』と話しています」(村上先生)自分の学生時代についても気楽に話すという村上先生。「男子校のためか、同世代の女性との接し方がわからないと悩む生徒もいますが、『人として魅力があれば大丈夫!』と話しています」(村上先生)
文系の生徒にもやる気をもって数学の授業を受けてもらうために、村上先生はさまざまな工夫をしながら授業に取り組んでいます。文系の生徒にもやる気をもって数学の授業を受けてもらうために、村上先生はさまざまな工夫をしながら授業に取り組んでいます。
進学通信 2021年1月号
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