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私立中高進学通信

2021年1月号

自立へのプロセス

世田谷学園中学校

自主性と協働性を育てる学校行事と
「坐禅」が育む“心の自立”

体育祭は学園の一大イベント。中1から高3まで5色の縦割りの組に分かれ、白熱した戦いを繰り広げます。生徒によって自主的に運営され、思いやりある協働の力を育みます。

体育祭は学園の一大イベント。中1から高3まで5色の縦割りの組に分かれ、白熱した戦いを繰り広げます。
生徒によって自主的に運営され、思いやりある協働の力を育みます。

「この世界で、私には私だけが持っているかけがえのない価値がある。同じように、すべての人々にその人だけが持つかけがえのない価値がある」という意味を持つお釈迦様の言葉「天上天下唯我独尊」を、国際的視点から英訳した「Think&Share」を教育理念とする同校。めざす人間像も、「自立心にあふれ、知性を高めていく人」「喜びを、多くの人と分かちあえる人」「地球的視野に立って、積極的に行動する人」という言葉に集約されます。

 同校の自立への取り組みについて、山本慈訓校長先生と、広報部副部長の糟谷肇先生にお話を聞きました。

心のバランスを調えることが
心の自立につながる
自立のための3つのポイント
  1. 他のせいにしない
  2. 自己を見つめる
  3. 感謝を自覚できる経験を重ねる

 まず、同校が大切にする「心の自立」について、山本校長先生は次のように話します。

「中国の『菜根譚さいこんたん』という古典に“払意ふついうれうることなかれ、快心かいしんを喜ぶことなかれ”という言葉があります。思い通りにならずとも、いたずらに心を痛めるな。思い通りになったからといって有頂天になるなという意味の言葉です。
 辛いことの裏には、自分に足りないものへの気付きなど、必ず何かしらの恵みが隠されています。うまくいっているときには驕りや油断など注意するべきことが潜んでいます。
 大切なのは起こる出来事を周りのせいにせず、感謝の気持ちを持って考え方を切り替えることです。
 そのように心のバランスをとって生きていく。それが自立するということではないでしょうか。それは思春期のみならず、人生そのものに通底するテーマです。そこで本校は、心の自立を育む行事や日常の中で自分自身を見つめ直す時間を、より多く設けています」

生徒が自主的に作り上げる
『獅子児祭』での学び
すべての運営は生徒が行い、中学から高校へと段階的に発表テーマを広げて自主的、主体的に参加する心を育みます。すべての運営は生徒が行い、中学から高校へと段階的に発表テーマを広げて自主的、主体的に参加する心を育みます。

「心と行動の自立を促す行事は多数ありますが、とくに体育祭と獅子児祭ししじさい(文化祭)は、生徒自らが主体性、協働性を発揮する場として重視しています。学年ごとにテーマを設定し、生徒の意欲的な参加を促す工夫を凝らしています」

 と、糟谷先生は言います。

 獅子児祭では、中1はクラスごとに国内外の有名美術作品を協力しながら創意工夫して再現する「アートギャラリー」を展示。中2は楽曲をクラスで選んで歌う「合唱コンクール」。中3はクラスごとにダンス、演劇、映画制作など自由にテーマを設けて表現活動を行う「パフォーマンス」を発表。高校になるとクラスや学年の枠を越えて有志がグループを作り、自由発表を行います。過去には、本格的なジェットコースターを制作し、来場者の喝采を浴びたチームもありました。

「心の自立の第1条件は、何事も “他のせいにしない”ということです。起きた出来事を他のせいにしていると負のエネルギーが溜まってしまいます。そうではなく、自ら主人公となって主体性や協働性を発揮することが大切です。主体性や協働性は、教員に教えられるのではなく、自ら発揮することで育ちます。体育祭や獅子児祭はその絶好の舞台なのです」(山本校長先生)

 2020年度の獅子児祭は、コロナ禍のため、11月にオンラインでの開催となりました。

「バーチャル文化祭の実施は、実は教員の提案ではなく、生徒からの強い要望により実現しました。例年通りに開催できないさびしさを一番感じていたはずの生徒たちが、今だからこそ挑戦できることだからと、バーチャルSNSシステム『cluster(※)』やYouTubeなどをフル活用して文化祭を開催したことは、まさに生徒の主体性、心の自立が育っている証拠だと思います」(山本校長先生)

※cluster…バーチャル空間でイベントを開催できるSNSサービス。同校では生徒がclusterを活用して獅子児祭をバーチャル空間で開催。参加者はスマートフォンやパソコン、VR機器などから閲覧しました。

自己を見つめる力を
育てる取り組み
同校の禅堂にて。山本慈訓校長先生(左)と糟谷肇先生(右)。同校の禅堂にて。山本慈訓校長先生(左)と糟谷肇先生(右)。

 心のバランスを調えるには、「自己を見つめる」ことも重要です。同校の大きな特色である『坐禅』は、その絶好の機会です。週1回設けられた『生き方』の授業では、年に数回、校内にある坐禅堂にて、30分間の坐禅を実施しています。週2回実施されている「早朝坐禅会」は希望制で、朝7時からであるにもかかわらず、毎週百人を超える参加者が集まります。

「坐禅は姿勢と呼吸、そして心を調えることで自己を見つめ、負の感情など余計なとらわれに気づく心を育みます。坐禅を経験した多くの生徒は、スッキリすると言います。部屋のゴミを見つければ片付けていくように、心のとらわれも、その存在に気づけば片付けることが可能になります。
 心の中の余計なとらわれを片付けていくと、自然と強まるのは、感謝の気持ちです。大人は子どもに“感謝の気持ちを持ちなさい”とよく言いますが、より重要なのは、感謝を自覚できる経験をしっかりさせてあげることです」(山本校長先生)

 行事においても中1秋の「總持寺参拝」、中2の「永平寺研修旅行」、高3で「總持寺一泊参禅」など、禅の世界に触れることで、衣食住など、普段当たり前になっていることへの感謝を自覚することができます。

「人生で起きるさまざまな出来事にも感謝をすれば、心の自立に必要な、そこに潜む恵みへの気付きが得られます。獅子児祭を訪問くださった保護者の方からは、『生徒が皆、来場者のためにできることを探している様子が伝わってきた』という言葉をいただきます。来場者への感謝の気持ちが表れた行動をとれるのは、坐禅によって、感謝を自覚できる素地ができているからだと思います」(山本校長先生)

自立のための取り組み
「坐禅」が育むさまざまな気づきが
より良く生きる力へとつながる
「禅堂」での所作には細かなしきたりがあり、それを厳密に守りますが、それらは心を静め、坐禅に入るための準備でもあるのです。「禅堂」での所作には細かなしきたりがあり、それを厳密に守りますが、それらは心を静め、坐禅に入るための準備でもあるのです。

 本格的な禅堂で行われる坐禅は、生徒の心のバランスを調えます。

「早朝坐禅会には在校生だけでなく、大学生や社会人になった本校OBや保護者の参加希望者も多くいます。日常の坐禅で培った“自己を見つめる”行為は、永平寺や總持寺での段階的な研修を通じて、さらに生徒の心の成長を促し、感謝の心や自分自身への気づきへと導いていきます。
 本校の卒業生である私自身、坐禅で得られたものの大きさを、社会人になってより自覚しました。生徒にもここで得た気づきを、将来に活かしてほしいと思います」(糟谷先生)

進学通信 2021年1月号
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