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私立中高進学通信

2023年12月号

探究の花が咲く

富士見丘中学校

ハワイ語消滅の危機を探究し
ハワイ語で作る川柳コンテストを創設!

上智大学国際教養学部1年生の後藤さん(左)と上智大学外国語学部1年生の中村さん(右)。
バックに映し出されているのは、富士見丘在学当時に作成した、探究成果を報告するプレゼンテーションスライド。

ハワイ大学の教授によるオンライン講義を基に、在校時に「ハワイ文化川柳コンテスト」を実施した、卒業生の中村さんと後藤さん。探究活動で視野が広がった2人にお話を聞きました。

 凛としたたたずまいで朗らかに探究活動を振り返ったのは、2023年3月に同校を卒業した中村さんと後藤さんです。

後藤
「富士見丘では中1から『自主研究5×2』という探究活動が行われています。興味・関心のあるテーマを個人で設定し、深掘りすることでそのテーマについて探究していくプログラムです」

中村
「高1では、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の大川恵子教授のご指導のもと、社会課題を総合的に考える『グローバルワークショップ』が実施され、グループ単位で探究活動を行いました。高2では観光に興味をもつメンバーとともに、月に1度、ハワイ大学のラッセル・ウエノ教授によるハワイの文化についての講義をオンラインで受講しながら探究に励みました。その際に、ハワイの固有文化であるハワイ語が消滅の危機にあると知り、衝撃を受けました。ハワイ語が消えることは、その背後にある歴史や文化、アイデンティティも失われていくことにつながって、観光地としての魅力も損なわれてしまうように感じました」

後藤
「そこでハワイの固有文化のひとつであるハワイ語を守るために、私たちにできることはないかと考えて、『ハワイ文化川柳コンテスト』を企画しました」

ハワイと日本
固有の文化を融合

後藤
「はじめは、WEBサイトを通じてハワイ文化を広めようと考えたのですが、具体的に何を発信したらいいかとても悩みました。そのなかで、ハワイ語の使用機会を作るため、日本固有の文化である川柳を、世界中の人々から広く募集しようと中村さんが発案したのがこのコンテストです」

中村
「ハワイ語の存続を訴える活動を私たち日本人が行うことは、同時に日本人のアイデンティティや文化を世界の皆さんに知ってもらう機会になると思いました。そこで、川柳とハワイ語を組み合わせてみたらどうかとひらめいたんです。川柳には季語が必要なく、常夏のハワイの人々にも気軽にトライしていただけるのではないかと思いました。ユニークな発想が解決策につながるかもしれないという期待もありました。
 作品の募集や受付はインターネットを通じて行うことにしました。そこで誰でもアクセス可能なWEBサイトを日本語と英語で制作しました。WEBサイトには、例としてaloha(こんにちは)やmahalo(ありがとう)といった比較的メジャーなハワイ語の単語を例として掲載しましたが、それ以外の単語を取り入れた川柳も集まりました。作品を投稿してくださった皆さんが、このコンテストをきっかけにさまざまなハワイ語を調べたようで、ハワイ語に対する関心の高さが伝わってきてうれしく思いました」

後藤
「私はWEBサイトの英語版を作成しました。小学生の頃アメリカに5年間住んでいて、帰国生入試で入学したため、中・高を通じてネイティブの先生によるオールイングリッシュの授業を受けていました。だから英語には自信があったんです。英語版のWEBサイトを通して、富士見丘の姉妹校であるハワイ・カラニ高校の生徒やハワイ大学の学生から、英語の音節を5・7・5に区切った川柳が投稿されました」

 さらに、ハワイ文化川柳コンテストのホームページは、ハワイ州観光局の協力も得ました。

中村
「ハワイ大学のラッセル教授の講義を受講するなかで、ハワイ州観光局の動画などを拝見する機会がありました。そこでハワイ州観光局の日本支部にアポイントを取り、私たちの活動を観光局のホームページに掲載していただきたいとお願いしたんです」

後藤
「ハワイ州観光局の本局の職員の方には、公式ロゴマークの使用を許可していただいたほか、英語版WEBサイトの掲載内容について、ディテールの監修もしていただきました。観光局の方には私たちの取り組みを高く評価していただき、やりがいを感じることができました」

グローバルな視野を体得し、
進路にも好影響

 こうして実施したハワイ文化川柳コンテストは、「SDGs探究AWARDS 2021」の審査員特別賞を受賞。さらに、「WWL・SGH×探究甲子園2022」の探究活動プレゼンテーション部門への出場権も得ることができました。

中村
「私たちが立ち上げた『ハワイ文化川柳コンテスト』を、高校生をはじめ国内外の多くの方々と共有する機会を通して、いろいろなご意見をいただき、問題点や改善点がはっきりしました」

後藤
「私は他校生徒の探究活動を見て、刺激を受けました」

 探究活動を通して、世界の文化についてさらに学びを深めたいと考えた2人は高校卒業後、グローバルな研究活動を展開する上智大学に進学しました。

中村
「この探究を通して学際的な視点が培われるとともに、もともと興味があった外国語をさらに学びたいと考えるようになりました。大学では、また新たな言語にチャレンジしたいと考え、ポルトガル語を専攻しています」

後藤
「この探究を通して、固有文化について考え、さらに深く世界のさまざまな文化を学びたいと思うようになり、国際教養学部に入学しました。リベラルアーツ教育を学んでいる現在は、社会学や人類学など、幅広く授業を選択しています。大学2年の後期からは比較文化コースを専攻して、さまざまな国の文学や経済など、グローバルに学んでいきたいと考えています」

 同校で探究活動に打ち込み、グローバルな視点を培った2人。この先の国際社会での活躍が期待されます。

Hawaii Culture Senryu ContestのWEBサイトの写真ですHawaii Culture Senryu ContestのWEBサイト。
プレゼンを行う高2時の中村さんと後藤さんの写真です「ハワイ文化川柳コンテスト」を通してまとめた研究成果の、プレゼンを行う高2時の中村さんと後藤さん。
中村さんと後藤さんと英語科主任の田中裕樹先生の写真です探究学習を進めるにあたって、英語科主任の田中裕樹先生の助言も仰ぎました。
私たちの探究「ハワイ文化川柳コンテスト」
Hawaii Culture Senryu Contest
探究の軌跡

中1

富士見丘に入学。中村さんは一般コース、後藤さんは英語特別コースに在籍。「自主研究5×2」というプログラムを通じて、個人で探究活動に取り組む。

高1

グループによる探究活動がスタート。慶應義塾大学大学院の大川恵子教授の指導のもと、社会課題を総合的に考える「グローバルワークショップ」に参加。

高2

ハワイ大学のラッセル・ウエノ教授によるオンライン講義を受講。観光に興味をもつ仲間と「ハワイ文化メディアチーム」を結成し、ハワイ文化川柳コンテストを実施。「SDGs探究AWARDS 2021」の審査員特別賞を受賞。

高3

中村さんは指定校推薦で上智大学外国語学部ポルトガル語専攻に合格。後藤さんはエッセイやIELTSの公式スコアおよび書類選考により、上智大学国際教養学部国際教養学科に合格。

どんな探究でしたか?

 ハワイ大学のラッセル・ウエノ教授によるハワイ文化についての講義をオンラインで受講した際に、ハワイ語が消滅危機にあることを知り、ハワイ語の保全活動に取り組もうと決意。探究活動を進めるなかで、ハワイ語と日本固有文化の川柳を掛け合わせた「ハワイ文化川柳コンテスト」を企画・実施。日本語と英語でコンテストを告知するWEBサイトを作成。国内はもちろん、ハワイ在住の方からも川柳が投稿され、「SDGs探究AWARDS 2021」の審査員特別賞を受賞した。

進学通信 2023年12月号
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