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私立中高進学通信

2023年1月号

キャリア教育の現場から

順天中学校

少人数のワークショップで
国際的に活躍する人材を育成

関心を持つワークショップに参加して豊かな学びと人間関係を得る
グローバルウィークなど、ユニークな取り組みを取材しました。
高校生による英語選抜類型(Eクラス)のガイダンスの様子です。話を聞く中3の表情は真剣です。

高校生による英語選抜類型(Eクラス)のガイダンス。
話を聞く中3の表情は真剣です。

中3学年主任と芸術科を担当している梅沢恒郎先生の写真。中3学年主任・芸術科
梅沢恒郎先生

「順天求合(自然の摂理にしたがって真理を探求する)」を建学の精神に、1834年に創立された順天堂塾を起源とする同校。「英知をもって国際社会で活躍できる人間を育成する」を教育目標に、「進学教育」「国際教育」「福祉教育」を柱としてグローバル社会に対応する多様な教育を行っています。

「毎週土曜日の3・4時限目の道徳とLHRの時間に福祉と進路のプログラムを取り入れているのですが、その一環として中3が中1に勉強法を教えたり、高校進学時に選択することになる『一貫』『理数』『英語』『特進』の各選抜類型について高校生が中3に進路ガイダンスをしたりする場を設けています。失敗談も含めた実体験を聞けるうえに、先輩だから気楽に質問もできて具体的な部分がわかるので、中3生たちは高校生活への不安が払拭されるようですね」

 こう話すのは同校の入試広報委員で中3学年主任の梅沢恒郎先生です。

「ほかにも、さまざまな企業で活躍する社会人をゲストにお呼びして、自身の大学時代や卒業後の経験についてお話を聞く機会も設けています。世代や職種も異なる多様な方々の『社会に出たら、英語がすごく必要になった』『文系なのに会社で理数系の仕事もしなくてはいけなくなった』といった貴重な体験談は、まだ将来の方向性が定まらない中学生にとっても参考になるようです」

国際部長と数学科を担当している中原晴彦先生の写真。国際部長・数学科
中原晴彦先生

 こうしたゲストの話を聞く際に、講義形式をとらないのも特徴です。クラスを5~6人のグループに分け、グループの数だけゲストを呼んで、各グループでゲストに順番に話をしてもらうスタイルをとっています。

「講義形式だと、興味のある生徒はいいのですが、そうでもない生徒は話に身が入りにくい。少人数のワークショップ形式だとざっくばらんに話せるせいか、活発に質問や意見が出やすくなり、より有意義なものになりますね」(梅沢先生)

 同校ではこのワークショップ形式を活用し、国際社会で主体的に活躍するための資質・能力の育成をめざすイベント、「グローバルウィーク」を毎年開催しています。

「2014年に文部科学省が国際的に活躍する人材を育成する高校を指定するスーパーグローバルハイスクール(SGH)に、本校が認定されたことをきっかけに始めたものです。多数の、NPO法人で活躍する方や大学の先生にご来校いただき、ワークショップを開催してもらっています。生徒は学校が用意した各講座の中から、自分の関心に合ったものを選んで参加しています」

 そう話すのは、同校の国際部長の中原晴彦先生です。

「グローバルウィークは、3つの目的をもって開催しています。まず1つ目は、『自分の課題研究のために情報を仕入れる』こと、2つ目は『同じ話題に興味を持つ人が集まる』ことです。“教える人と教えられる人の関係”を超えて、同じ興味を持つ者同士が“対等な立場で意見交換をして互いに学び合う”ことが大切だと考えています。そして3つ目は、『自分の課題を一緒に考えてくれる人との関係を構築する』ことです。

 生徒たちは大学生や社会人になってもさまざまな解決すべき課題に直面します。そうした時に『グローバルウィークで来てくれた先生に話を聞いてみよう』となるかもしれません。そうした関係を築くことが理想ですね」

 2022年は89のワークショップが開かれたという「グローバルウィーク」。高1と高2は5日間の開催期間中に2~5つ、中3は1つ以上のワークショップに参加します。

「ワークショップは本校から各大学を通じてお声がけをしたり、教職員のネットワークで選定しています。こちらからお声がけをする際には、『高校生と共有したい話題をお持ちの方』から幅広く選定しており、国際問題やSDGs関連、料理、人間関係の構築法、バラエティ番組の作り方、性教育まで、本当に多彩なジャンルの話題が毎年集まります。中には卒業生や在校生自身から『やりたい!』と声が上がることもありますね」

 “立場を超えて多様性を追求する”ことを掲げるグローバルウィークですが、多様なのはワークショップの内容だけにとどまりません。グローバルウィークには、保護者の参加も可能なのです。

「保護者にとって授業参観は、ただ見ているだけのものですが、グローバルウィークでは生徒と同じ立場で参加できます。そうした機会はあまりないので、保護者の方にも非常に好評ですね」

 数多くの話題から自分が関心を持つものを選んでワークショップに参加し、自分の課題探究のヒントや協力者との関係を構築するグローバルウィーク。今後の課題は、多彩なワークショップの数の調整と内容の進化だと中原先生は言います。

「これ以上増やすと教室が足りなくなるんです。そうしたこともあって、2018年には郁文館グローバル高等学校と連携して開催したのですが、学校間の連携の難しさを実感しました。またコロナ禍の2020年には、オンラインのワークショップも導入しました。オンラインの活用も含めて、今後も生徒たちの多様な学びを実現するために、我々教員も努力を重ねたいと思っています」(中原先生)

2022年のグローバルウィークで行われた国連UNHCR協会・天沼耕平さんによるワークショップ「難民支援と私たちにできること」の様子を撮影している。2022年のグローバルウィークで行われた国連UNHCR協会・天沼耕平さんによるワークショップ「難民支援と私たちにできること」
横浜市立大学大学院・石井伴直さんによる「データサイエンスを体験してみよう」の様子を撮影している。横浜市立大学大学院・石井伴直さんによる「データサイエンスを体験してみよう」
KIT虎ノ門大学院・三谷宏治先生の「社会で役立つ発想の鍛え方」講座の様子を撮影している。KIT虎ノ門大学院・三谷宏治先生の「社会で役立つ発想の鍛え方」講座
少人数のグループに分かれて行ったワークショップの様子です。
少人数のグループに分かれて行ったワークショップの様子です。
少人数のグループに分かれて行ったワークショップの様子です。

ビジネスの最前線で働く企業人によるワークショップ。
少人数のグループワークで活発な質問が飛び交います。

進学通信 2023年1月号
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