私立中高進学通信
2023年12月号
私たち、僕たちが大好きな先生
ドルトン東京学園中等部
生徒と一緒に学びながら
探究心を育んでいます
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国語科 清水 佑太(しみず ゆうた)先生
国立大学文学部を卒業後、約5年間、転職エージェントにて採用・転職を支援する業務に携わる。
2020年に同校へ国語科教員として着任。授業は中2・中3の国語と、ラボラトリーの“起業ゼミ”を担当。
「人望が厚く、みんなに慕われている」「授業がとても面白い」「先生自ら、熱心に学び続ける姿を見せてくれる」と生徒から尊敬を集め、親しまれている清水佑太先生。そんな清水先生に、社会人を経験をして教員になった経緯や、生徒が自分で作品を作ることを重視した授業について伺いました。
社会人としての経験を
生徒のキャリア教育に活かす
――清水先生は、一般企業での勤務を経て、教員になられたそうですね。
もともと国語は好きな教科で、中高生の頃から自分ならどんな授業をしたいかを考えていました。大学卒業後にいったん就職したのは、ほかの仕事を経験してから教員になれば、より充実した教育ができると感じたからです。
就職して約5年間、働く人と採用する会社の希望をつなぐ転職エージェントに従事したことで、たくさんの方の職業観に触れ、人生設計に関われました。また、多様な業種や、社会に求められる能力について知る機会にも恵まれました。こうした経験を、より実践的な学びの構築や、生徒のキャリア観を育む過程で役立てていきたいです。
――ドルトン東京学園の教員になりたいと思った理由を教えてください。
本校は、Active Learner(自律的な学習者)を育てるメソッドに基づいて、主体的に学び、興味関心のあることと真剣に向き合い、探究・挑戦し続ける生徒の育成をめざしています。そのような学校には、魅力的で面白い教員が集まっているだろうと考えたのが理由の一つです。本校に着任し、今年で4年目です。国語科の教科担当、ハウス(学年縦割りのグループ)のアドバイザー、探究学習担当として、さまざまな場面で多くの生徒と関わりながら、生徒一人ひとりに必要なものは何か、どんなサポートがあればより広く深い学びを得られるか、試行錯誤する毎日はとても充実しています。
実際に作品を作ることを
重視した授業を展開
――授業で大切にしていることは?
今年度は中2・中3を受け持っています。授業で生徒によく話すことの一つが、「文章の細かい表現に気づくことの大切さ」です。物語文でも説明文でも、あらすじを読み取るのは難しくありません。むしろ、細かいことでもハッとするような表現が文章に出てきたら、なぜその表現が使われているのか、なにが含まれているのか、どこへつながるのかなど、考察を広げてほしいのです。もしかしたら、その表現が文章を読み解く鍵になるかもしれません。その気づきこそが文章の面白さ、文章を読む楽しみだと考えます。
――作品を作る授業が多いそうですね。
授業では「創作」も大切にしています。例えば「短歌」の授業では作品読解に加えて、カードを組み合わせて短歌を作るゲームを行い、最終的には生徒が短歌を詠んで、撮影した画像と組み合わせ、短歌集を作りました。小説やエッセイ、詩、説明文などを書く授業も行います。教科書に載っている「名作」を細かく読んでも、なかなか自分事にはできません。「自分にとってどのような作品・文章が魅力的か」「どういう表現をしてみたいか」。こうしたことを深く問い詰めていくことで初めて学びが自分事になります。これは本校の教育理念「汝、自らを求めよ」につながることです。
また、それぞれの作品を読み合う授業で、生徒が「このクラス、天才ばっかり!」と言ったことがあります。通常のテストだと順位付けがなされ、良い悪いが一つの物差しで測られますが、創作の授業だと「隣の席の天才」に気づくことができ、集団としての自尊心が増していくことがあります。そして他者の「想い」を大事にできるから、自分の「想い」も大事にできるようになります。これも創作の授業の好きなところです。
生徒の探究心を育み
学びの集大成を外部へ発表
――探究のゼミでは、先生も生徒と同じように参加しているそうですね。
本校の授業は、その多くが探究学習やプロジェクト型学習になっているのが特色です。なかでも「ラボラトリー」の時間は探究に特化しており、生徒は学年で取り組む「基礎ラボ」や、個人の探究を追求する「探究ラボ」で活動しています。
私は「探究ラボ」で「起業ゼミ」を開講しています。スタートアップを支援する企業と連携し、起業に関する知識とスキルを学びます。半年かけて、課題の発見からビジネスモデルの構築、仮説検証を行い、事業案をプレゼンテーションします。将来性を認められた事業案は、連携する企業から出資が受けられます。実際に、飲食店のフードロスを減らすためのアプリを考案した生徒が、出資を受けています。
「起業ゼミ」では、生徒と同様に私も事業案を作成しています。私は「欲望は伝播する」と思っていて、教員が実際に教壇を降りて挑戦したり学んだりする姿を見せることで、生徒を探究に駆り立てることができるようになると考えます。そして、失敗している姿をみせることも大切です。同様に感じている教員が多いからか、それぞれ自分が究めたいことをもっている生徒が比較的多いように思います。
本校では、学びの集大成を外部に発表する"Dalton Expo"を行っています。探究活動や制作の個人発表、学年ごとのプロジェクト成果発表などを通じて、全校生徒がそれぞれの学びの成果を共有し、知的に刺激し合う学びの祭典です。2022年度は、生徒の発案で、来場者も参加できる体験型ワークショップを開催しました。本校での学びが体感できるイベントなので、今年度もぜひ足を運んでいただきたいです。
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「先生の授業を受けてから、国語が好きになりました」と生徒は口をそろえます。
生徒の声
![Tさんの写真です](images/32/05.jpg)
先生が担当するハウスに所属し、起業ゼミにも参加しています。起業ゼミでは、先生は生徒と同じ立場で事業案を作成し、ベンチャー企業の方にプレゼンテーションしています。電車で先生をお見かけした時も、熱心に英語を勉強していて、その学び続ける姿勢は素晴らしいお手本だと感じました。生徒にも保護者にも信頼される先生です。
![Tさんの写真です](images/32/03.jpg)
こんなにフレンドリーで、接しやすい先生は珍しいと思います。授業で印象に残っているのは、ライティングワークショップです。小説やエッセイ、詩、説明文などから3つのジャンルを選んで自由に書くのですが、先生のサポートもあって、かなり長い小説を書くことができました。自分の強みを発掘してもらい、感謝しています。
![Yさんの写真です](images/32/04.jpg)
中学入学時はコロナ禍で、オンライン授業が行われていました。生徒が積極的に授業に参加しにくい状況の中、先生の物語文の授業では、主人公の身体的な痛みと心の動きがどうつながっているのかを巡り、チャット機能を使って活発な論争が起こったのです。クラスのみんなが意欲的に参加して盛り上がった授業はとても面白く、心に残っています。
![Kさんの写真です](images/32/02.jpg)
Dalton Expo2022の実行委員長を務めました。初回のミーティングから、先生に「何をいつまでにやるかリストアップしよう」と言われて驚きました。先生は、スケジュール感や目的意識を明確にして、筋道を立てることを自然に促してくださいました。また、事務的な内容の文章を、読む人が嫌な気持ちにならないように、読みやすく、親しみやすい文章に修正してくださったのですが、その表現や心配りに感動しました。
(この記事は『私立中高進学通信2023年12月号』に掲載しました。)
ドルトン東京学園中等部
〒182-0004 東京都調布市入間町2-28-20
TEL:03-5787-7945
進学通信掲載情報
![進学通信 2023年12月号](/jhs/shingaku_tsushin/images/tsushin-thumb-2312.jpg)
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