私立中高進学通信
2019年11月号
本音で語る保護者座談会
横浜女学院中学校
父親が学校と直接かかわり
生徒の世界を広げる

ファーザーズクラブは、中1~高3の父親の有志が参加する保護者会です。
5年前に活動を開始して、会員数は約170名。
学校行事のサポートと、キャリア教育に結びつく教養講座の講師が主な活動です。
この会の運営の中心的役割を担うお父さま4人にお話をうかがいました。
今回のメンバー

22年前にPTA会長を務めた、FC創設者の一人。
「数ある女子校の中で、父親が頻繁に通う学校はそうはないですね」

高3生の父であり、PTA会長を務める。前キャプテン。
「土曜教養講座で3回講師を務めた経験は貴重です」

中3生の父であり、FCのキャプテンを担当。
「母親からクレームが入るくらい、父親同士のつながりは強いですね」

中2生の父であり、FCでは中2リーダー。
「父親と母親、娘のファミリー全員で学校と関わっています」
学校行事などを
サポートするFC
――ファーザーズクラブ(FC)とはどのような会なのでしょうか。
蓮實さん
在校生の父親による有志の集まりです。子どもが卒業しても、引き続き会に在籍して運営をサポートする方もいます。学年ごとにまとめ役であるリーダーを立て、学年の中で懇親会を行ったり、連絡事項を発信したりします。全リーダーを統括するのがキャプテンです。リーダーやキャプテンの会合は、学校で定期的に行っています。
――FCはどんな活動をしていますか。
杉山さん
主に、なでしこ祭(文化祭)の手伝いと、土曜教養講座という自由講座の講師を務めることです。
蓮實さん
なでしこ祭では模擬店を出店し、フランクフルトソーセージとお好み焼きロール(お好み焼きを串に巻いた料理)を販売しています。学内で火を使った料理を出しているのはFCの店だけなので、寒い日にはとくに人気があります。昨年度は2日間で3500本も売れました。
河野さん
昨年度は順番待ちの行列ができ、導線が紛らわしく、混乱を招きました。今年度は誘導係と導線の工夫を中2の父親が担当します。
髙瀨さん
毎年反省を踏まえてマニュアルを改善しています。50ページはありますよね。
蓮實さん
マニュアルを見れば、なでしこ祭のあらゆるノウハウがわかります。ただ、フランクフルトソーセージの焼き加減がわかりづらいので、今年は動画レシピを用意しています。
髙瀨さん
発想が専門的になってきていますね。当初は、なでしこ祭の主役は生徒なので、父親はなるべく目立たないようにしようとしていたのですが、これだけ規模が大きくなると、注目されますよね。
蓮實さん
なでしこ祭では、場内の警備も担当しています。チームを組んでパトロールするという取り組みを活動2年目から始め、昨年度は不審者をゼロにすることができました。
杉山さん
あとは閉会後の片付けです。力仕事などはFCが率先して手伝うようにしています。FCとPTA、同窓会が三位一体となってなでしこ祭を支援できていると思います。
――土曜教養講座では、何を学ぶのですか。
蓮實さん
父親が講師となって、自分の仕事を例に、働くこととは何か、社会人に期待すること、職務に関係した専門的な技能などの講義を土曜日に行います。参加は任意で、保護者も受講できます。講座内容は、FCが考えます。FCで挙げられた講座を学校に提案し、最終的な採用の決定は学校が行います。今年度は『プレゼンの極意』や『スマホはなぜつながるのか』といったテーマの講座があります。
髙瀨さん
学校でもキャリア教育を実施していますが、FCは父親の数だけ、約170の職業サンプルがあるので、これを利用しない手はない。学校の外にはいろいろな仕事や世界があることを伝え、社会に興味を持つきっかけにしてほしいという願いから始めました。
河野さん
FCの父親は大体40歳以上で、責任ある立場にいる専門家。体験に裏付けされた講座は興味深いものばかりですね。
髙瀨さん
講師の我々自身も勉強になります。参加者は中1~高3と年齢の幅があるので、わかりやすい表現にするために、改めて自分の仕事を調べると思わぬ発見があったり。
蓮實さん
講座後、生徒にアンケートを実施し、それをフィードバックしていきます。生徒からは「初めて聞く話でとても勉強になった」という感想が多いですね。
河野さん
私の娘は国際教養クラスなので、『海外に目を向ける』講座を2回受けていました。講座を通して、英語を勉強する目的を少しずつ理解しているようです。
杉山さん
同じ話を父親がしても聞いてくれませんが、同級生や先輩の父親という立場で話されると、素直に受け入れられるのでしょうね。
髙瀨さん
学校で学んだことを社会で活かすヒントにしてほしいですね。講座で聞いた話から、進路の選択肢の幅が広がることを期待します。
生徒と先生の距離が近く
アットホームな校風
――学校行事などでお子さんの成長を感じることはありますか。
髙瀨さん
FCで学校を訪れた際に娘と会った場合は無視されます。でも、先生方やほかの友達から娘の話を聞いて、家とは違う姿を知ることができます。昨年は、なでしこ祭の実行委員長を務めていて、みんなをきちんとまとめる姿を見た時は感心しました。
河野さん
私も学校で部活動をしている娘と偶然目が合った時は、そらされますね。家では学校の様子をほとんど話さないのですが、同じ部活動に所属している同級生のお母さん経由でいろんな話を聞いています。家での静かな様子とはまったく違って、学校では活発で友人たちとうまくやっているようですね。
――学校の魅力はどんなところでしょうか。
杉山さん
私の娘が通っていたのは20年以上前ですが、生徒はまじめでおしとやかというのが第一印象です。先生方もまじめで、生徒との距離が近く、アットホームな雰囲気が特徴でしょうか。
髙瀨さん
娘の入学を決めた理由が、生徒と先生の距離が近いところです。職員室には壁がなく、生徒と先生の仲が良いように見えましたし、娘も職員室を見て、入学を決めました。生徒、保護者、先生が一緒に同じ方向に進んでいると感じられます。
蓮實さん
上の娘もこちらでお世話になりました。中学入学前はおとなしくて人前で話もできなかったのに、高校卒業時には自信を持って自分を前面に出せるようになりました。その成長の理由は、生徒が行事に常に全力、本気で取り組む姿勢にあります。意見がぶつかる時は涙を流すくらいに熱いんです。そうやって自分を素直に出せる環境がここにはあります。
河野さん
魅力は先生が熱心なところです。生徒を褒める時もしかる時も本気で接しています。また、親は勉強だけでなく部活動にもしっかり取り組んでほしいと考えるものですが、わざわざ言わなくても子どもはわかっているんです。それは、先生方が日頃から勉強と部活動の両立を指導しているから。先生方は、常に生徒のことをしっかり考えてくれていますね。



(この記事は『私立中高進学通信2019年11月号』に掲載しました。)
横浜女学院中学校
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