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私立中高進学通信

2020年12月号

実践報告 私学の授業

横浜女学院中学校

世界の諸問題を理解し
その解決策を探るESDの授業

世界へと視野を広げ、市民的資質を育てる
1人1台配布されるタブレット端末で、研究テーマについて検索していきます。自由な学びと教員の的確なサポートが、生徒たちの意欲を引き出します。

1人1台配布されるタブレット端末で、研究テーマについて検索していきます。
自由な学びと教員の的確なサポートが、生徒たちの意欲を引き出します。

教員のサポートで
中1から高度な学びに取り組む

 生徒の主体性を伸ばす能動的な国際理解教育に、長きにわたって取り組んでいる同校。2016年度からは、毎週『ESD time』の授業を設け、グローバル時代のリーダーを育成する取り組みを行っています。ESD(※1)とは、持続可能な社会を実現するため、世界の諸問題について理解を深め、その解決に向けて行動できる人を育てる探究型学習です。

 テーマを決めた探究学習や、グループワークのほか、国際機関やNPOの職員による専門的なレクチャーを受けたり、外部機関でのワークショップに参加したりと、さまざまな活動を通して、リーダーシップ能力や代替案の提案能力、コミュニケーション能力を育んでいきます。

 取材日の『ESD time』の授業は、中1~高3までの全学年が、文化祭で発表する自分の探究テーマについて検討していました。テーマは、「多文化共生」「生物多様性」「エネルギー」の3つの中から選びます。

 中学生のうちは自分で課題を見つけることが難しいので、ペアワークを通じて意見を交換し合い、何をテーマにするのかを話し合いました。どの教室でも教員が生徒の間を巡回してアドバイスをし、質問にもていねいに対応していました。

「中学生のうちは教員が具体的なキーワードを提示したり、話し合ったりすることで自らの興味に気付かせるなど、生徒の目線に合わせたサポートが必要です。
 探究学習の経験を積むにつれ生徒たちは次第に成長し、高校生になると、生徒自らの気付きをもとにボランティア活動を企画するなど、実際の行動に結びつけることができるようになります」(広報主任/宮下直樹先生)

※1 ESD…Education for Sustainable Developmentの略。世界の人々や次世代、環境との関係性の中で生きていることを一人ひとりが認識し、行動変革するための教育と定義づけられています。

社会問題を解決するために
考える姿勢を育む

「ESDの学びで最も重視しているのは、ただ調べるだけではなく、『課題の解決策まで考える』ことです」と宮下先生は話します。

「生徒たちが考え出す解決策が、最近はさらに深く踏み込んだ内容になってきました。ESDの学びをスタートさせて5年が経ち、我々も生徒にどのようにアプローチすればよいか、コツがわかってきました。年を追うごとに、学びが深まっている実感があります」

 新型コロナウイルスの流行により探究活動が制限される面もありますが、この状況を活かし、海外とオンラインでつないで探究活動を行いたいと宮下先生。

「今後はオンラインを活用して、ほかの国の人たちとディスカッションをしたり、生徒たちの意見を発信したりしていきたいです」

ESD 1
国際的な視野を広げ主体的に臨む
『ESD time』の授業

 取材日の『ESD time』の授業では、11月3日に開催されるオンライン文化祭に向けて、個人研究のテーマ決めの作業が行われました。1人1台配布されたタブレット端末を使いインターネットで資料を検索し、グループで相談し合いながら、研究テーマを決めていきます。

『ESD time』の授業では世界へと視野を広げるように、さまざまな体験型学習も取り入れています。例えば、中1では例年、教育の大切さを世界全体で考える地球規模のイベント『世界一大きな授業』に参加しています。学校に行くことができない世界中の子どもたちの現状を知り、その解決策について考えて発表することを通して、「自分たちにも解決策が生み出せる」と感じ、興味を持って取り組むきっかけとなっています。

中学の『国際教養クラス』(※2)では、ネイティブ教員も『ESD time』の授業を担当します。教員と英語で会話しながら、探究テーマについて考えていきます。中学の『国際教養クラス』(※2)では、ネイティブ教員も『ESD time』の授業を担当します。教員と英語で会話しながら、探究テーマについて考えていきます。
メディアセンター(図書室)で資料探しをするクラスもあります。生徒は自分の探究テーマに合わせた本を選び、友達とも議論しながら学びを進めていきます。メディアセンター(図書室)で資料探しをするクラスもあります。生徒は自分の探究テーマに合わせた本を選び、友達とも議論しながら学びを進めていきます。
高校生になると、探究の内容もより高度になります。教員への質問も鋭く、専科の教員がフォローに入る場面もあります。高校生になると、探究の内容もより高度になります。教員への質問も鋭く、専科の教員がフォローに入る場面もあります。
ペアワークで議論を深めます。友達の意見を聞くことで、視野も広がりますペアワークで議論を深めます。友達の意見を聞くことで、視野も広がります

※2 国際教養クラス…同校の中学に2018年より設置された英語・国際教育に特化したクラス。ネイティブ教員による英語の授業や、ドイツ語、スペイン語・中国語などから選択した第二外国語の習得を必修にするなど、国際系大学や海外大学をめざします。

ESD 2
ESDの学びに刺激され
社会的な活動にも積極的に参加
2019年は同プロジェクトの東京湾大感謝祭に参加。生徒のアイデアで実施した、お菓子の袋をポーチにリメイクするブースには、多くの来場者が訪れました。2019年は同プロジェクトの東京湾大感謝祭に参加。生徒のアイデアで実施した、お菓子の袋をポーチにリメイクするブースには、多くの来場者が訪れました。

 同校でのESDの学びは、社会的な活動への参加にもつながっています。2019年度には高1生が環境問題のプロジェクト『Blue Earth Project』(※3)に参加し、10月には地元・横浜港で開催された東京湾大感謝祭でプラスチックゴミに関する研究と、ゴミを減らすための取り組みについて発表しました。

 また、学んだ内容を発展させ、問題解決の一助として募金活動をする生徒や、校外のボランティアへ参加する生徒も見られます。課題解決への具体的な行動が、ESDをより深いプログラムにしています。

※3 Blue Earth Project(ブルーアースプロジェクト)…女子大学生や女子高校生が主体的に活動するNPO法人。環境や食の諸問題について啓発活動などを行っています。

生徒の声
“気付き”を与えてくれるESDの授業
「『ESD time』は、別の角度から物を考えるきっかけを作ってくれます」とK.T.さん(中2)。「『ESD time』は、別の角度から物を考えるきっかけを作ってくれます」とK.T.さん(中2)。

 中2のK.T.さんは、オンライン文化祭のテーマとして生物多様性を選び、外来種について調べていました。

「私自身は、生物の世界では外来種は害悪だと考えていたのですが、グループワークで友達の意見を聞き、自分の意見が覆される体験をしました。ESDの授業では、こうしたさまざまなことに気付くことができました」

 ある生徒からは、「もともとは理科が好きではなかったのですが、ESDの授業を通して、理科に関連することも異なる視点から見ることができ、興味を持ちました」「新型コロナウイルスに関連して、パンデミックについても調べています」との声も聞かれました。

2020年度より
『学びプロジェクト』がスタート
休校中の『学びプロジェクト』では、調べ学習をした成果をビデオチャットで発表するなど、オンライン環境にありながら本格的な探究学習を行いました。休校中の『学びプロジェクト』では、調べ学習をした成果をビデオチャットで発表するなど、オンライン環境にありながら本格的な探究学習を行いました。

 コロナ禍による休校中、課外活動として希望制の『学びプロジェクト』をスタートさせました。オンラインを使って、休校中でも探究学習を行っていこうという取り組みで、オンライン授業が終了した後の時間を使ってディスカッションやディベートを行い、他校の生徒や、同志社大学の学生と意見の交換をする活動も行いました。

 取り上げるテーマも、「サマータイムを導入すべきか」「死刑制度について」「日本の幸福度はなぜ低いのか」など、答えのない問いを選び、じっくりと議論を深め、探究する学びとなっています。休校中に生まれたこの活動は、休校解除後も引き続き放課後に行われています。

進学通信 2020年12月号
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