私立中高進学通信
2023年12月号
注目! News and Topics
和洋九段女子中学校
3つの大学と高大連携協定を結び
実践的で教科横断的な視点を養う
長野県の地方創生がテーマの研修旅行。正式に高大連携を締結した成城大学の境教授(左上)も同行しています。
大学教授の指導のもと
研修旅行でPBL学習を
「和」と「洋」の相対する考えを融合させ、「伝統を重んじる姿勢×最先端の学び」を大切にしながら、新たな価値を生み出す"和洋流"教育を実践する同校。成城大学を皮切りに、東洋英和女学院大学、専修大学との間で高大連携に関する協定を結び、さらなる教育環境の充実を図っています。
「本校では、5年ほど前から高1が長野県北部にある飯綱町と芋井地区(長野市)で民泊体験と農業体験を行う研修旅行を実施し、地方創生をテーマとしたPBL(問題解決型学習)に取り組んでいます。研修には、成城大学経済学部の境新一教授をアドバイザーにお迎えして、現地の特産品を使った新商品の提案や、名産品のアップルシードルのラベルをデザインするコンテストの企画など、地域活性化のために自分たちに何ができるのかを考える実践的な学びを行っています」(主幹教諭/水野修先生)
同校では、生徒たちがさまざまな大学の授業を体験するイベントを毎年実施していますが、境教授も同校の体験授業で経済学の講義を行ったことがきっかけで、研修旅行のアドバイザーとして迎えることになりました。
「研修旅行で境先生からご指導いただくのは、飯綱町・芋井地区の交通などのインフラや高齢化問題、地場産業についてなど、さまざまな角度から地域を見つめる視点です。先生の講義や現地にお住まいの方々との交流を通じて、生徒たちは自らアイデアを生み出し、地域創生について考えていくようになります。先生のゼミの学生の方々も同行され、一緒に取り組むことで、本校の生徒たちはもちろん、大学生の皆さんにとっても研究を深める良い機会になっていると思います」
この研修旅行での協力体制をもとに、2020年に成城大学と正式に高大連携協定を結んだ同校は、さらに研修プログラムの進化を図っています。
2022年3月には、東洋英和女学院大学と高大連携協定を締結しました。
「東洋英和女学院大学には、中3グローバルクラスの生徒を対象に、国際的な視点から考える世界の課題をレクチャーしていただく社会学系の講義をお願いしています。2022年には長谷川かおり准教授を本校にお招きして企業CSR・CSVの講義を、2023年度は望月克哉教授による中東・アフリカにおける経済状況についての講義を開講していただきました」
さらに2022年4月には、専修大学との連携協定もスタートしました。
「専修大学商学部と提携して、実際に大学構内で大学生と一緒に講義を受け、ゼミに参加する機会をいただいています。高校生の希望者が対象で、『メディア経営』などの講義を受講する生徒が多いですね。本校は専修大学がすぐそばにある立地なので、放課後に生徒たちが専修大学のキャンパスを訪れ、大学の5限の講義を受けさせてもらう形をとっています」
高度な講義がもたらす
生徒たちの変化
大学の講義では、専門分野の知識だけではなく、幅広い知見をもって研究を進めていくことが求められます。
「大学の講義は教科横断的な視点で行われ、さまざまな知識が必要になります。中高でも教科横断的な学習が始まり、例えば社会科の授業であっても、数学的な思考や国語力、理科の視点なども求められるようになりましたが、大学の講義を体験することで、本校で受けている教科の授業がどういう学びにつながるのかが実感できると思うのです。この取り組みにより、本校での授業もより有意義なものになっていますし、実際に大学の講義の雰囲気を肌で感じることで、生徒たちは卒業後の大学進学についてもイメージしやすくなっていると思います」
今後は理系大学との連携にも取り組んでいきたいと水野先生は語ります。
「理系大学が女子学生を積極的に受け入れる動きになってきたことで、本校のサイエンスコースの生徒たちも実際に大学へ呼んでいただき、講義を受ける試みが始まっています。サイエンスコースには、高度な専門知識を吸収したい、モチベーションの高い生徒が多く在籍しているので、彼女たちのやる気をさらに刺激するためにも、理系大学との連携も視野に入れ、プログラムを充実させていきたいと考えています」
グローバル化、デジタル化のスピードが増していく社会を見据え、生徒たちの考える力を育む同校。高大連携の取り組みは、さらに加速していきます。
(この記事は『私立中高進学通信2023年12月号』に掲載しました。)
和洋九段女子中学校
〒102-0073 東京都千代田区九段北1-12-12
TEL:03-3262-4161
進学通信掲載情報
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