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私立中高進学通信

2023年12月号

実践報告 私学の授業

実践女子学園中学校

常識を揺さぶり
自分の枠を越える『未来デザイン』

教員の力を結集させたオリジナルの探究授業

普段何気なく口にしている水を通して、環境問題を考える授業。
活発に意見を交わしながら水を味わう生徒たち。

中1から高2まで、独自の探究授業『未来デザイン』を行っている同校。興味のあるテーマを深掘りする中3の授業をレポートします。

教員がアイデアを持ち寄り
カリキュラムを作成

『女性が社会を変える、世界を変える』を建学の精神に創設された実践女子学園。感性表現教育・グローバル教育・探究教育を三本柱に、生徒一人ひとりが自分だけの花を咲かせられるようなカリキュラムを組んでいます。そうした学びを土台に、2020年度からスタートしたオリジナルの探究授業が『未来デザイン』です。

「中1から高2まで、5年間をかけて自分の好きなことを掘り下げつつ、そこでの学びを各教科の学習や修学旅行にも結びつけています。めざしているのは、生徒たちの"当たり前"を揺さぶり、考える力を養うこと。教科も経験も異なる多様な教員たちが集まり、アイデアを持ち寄ってカリキュラムを構築しました」(高等学校教頭・国語科/城礼子先生)

今後の社会で求められる
『違いをつなぐ人』を育成

 中1では『探究入門』として、デジタルツールの使い方や校祖である下田歌子先生の生き方を学習します。中2では『国際・異文化理解』『環境』『社会・経済』の3テーマから世界の課題を考え、中3では7つのテーマから2つを選んで探究活動を行います。

 高1になると、自分が暮らす自治体の問題について調査・発表を行います。さらに、シンガポール・ニュージーランド・沖縄の3コースから選択する年度末の修学旅行でも、環境・異文化・平和について学びます。高2では、自分の探究テーマに基づいて修学旅行で学んだことを発表。その後も進路に合わせて探究を深めていきます。

「国連などが推進するESD(持続可能な開発のための教育)と地球市民教育をベースに、『自立』『尊重』『創造』を重視した授業を行っています。地球上で暮らす人々は、それぞれ違いがあって当たり前です。生徒たちが"普通"だと思っていることも、世界全体を見渡せば全く"普通"ではありません。これからの社会で求められるのは、自分の常識を飛び越えて新しい価値を生み出し、こうした違いをつなぐ人物です。自分の枠を越えることで、めざすキャリアも見えてくると考えています」(ESD推進部部長・数学科/渡辺大輔先生)

 こうした活動が実を結び、昨年11月に同校は『ユネスコスクール』に認定されました。

「『未来デザイン』は、教科教育・キャリア教育・国際教育の中心軸となる活動です。自分はなぜ学ぶのか、学ぶ楽しさはどこにあるのか、それらもこの授業を通して見えてきます。生徒たちの成長の機会として、今後もさらに『未来デザイン』を発展させていきたいと考えています」(渡辺先生)

授業レポート
中3の『未来デザイン』をレポート
関心あるテーマを掘り下げる探究活動

 中3の『未来デザイン』では、7つのテーマのなかから興味がある2つを選び、それぞれ10回の授業を受けられます。各教科の教員が趣向を凝らし、教科書では学べないユニークなテーマや社会課題を扱っているのが特徴です。どのテーマも体験を重視し、グループワークやプレゼンテーションを通して自分自身で考える力を養っています。

Report 1『水から学ぶ』

 この授業では、水をテーマに世界の諸問題を考えます。この日は、水道水やミネラルウォーターなどを飲み比べ、生徒たちが一番おいしいと感じたものを選んでいました。意外にも水道水の人気が高く、飲み慣れない硬水のミネラルウォーターは口に合わなかったようです。ここから話題を発展させ、ミネラルウォーター採水地での工場建設や輸送による環境負荷について考えを深めていきました。

学生が水を飲んでいる写真です

実際に水を飲む体験をすることで、机上の学習とは違った気づきが得られます。

Report 2『世界遺産から見えるもの』

 世界遺産に込められた意義や価値を学ぶことで、文化や歴史の大切さ、価値観の多様性について考える授業です。この日は、夏休みの宿題として考えてきた「次の世界遺産に推薦したい場所」について発表。単にお薦めの場所を紹介するのではなく、歴史的価値、既存の世界遺産との比較など多角的に検証し、プレゼンテーションしていました。

授業の様子の写真です神社仏閣や城だけでなく、渋谷のハチ公像や美術館などユニークな案が飛び出しました。
授業の様子の写真です写真や文章で資料をまとめる力、プレゼンテーション能力も向上します。
Report 3『アート思考とデザイン思考』
授業の様子の写真です

人が使うものについて、作る立場から考察。
この日は、自習室の壁を塗る実習を前に、適した配色について意見を出し合いました。

Report 4『演劇とCOVID-19』
授業の様子の写真です

演劇という表現を通して、コロナ禍を経た今の自分について考えます。
生徒たちの手で3~5分のミニドラマをつくるのが目標です。

Report 5『身の周りの異文化を発見しよう!』

 身の周りを見渡し、自分の知らない世界を発見します。渋谷や自宅周辺を歩いて異文化に触れ、理解を深めていきます。

Report 6『これが私のライフスタイル ~エシカル消費を考えよう~』

 食を切り口に、エシカル消費について学びます。食品ロスや食糧自給率に目を向け、自分自身のライフスタイル確立をめざします。

Report 7『ONE EARTH, ONE TEAM ~この地球を守る、一つのチームへ~』

 スポーツの実技実習を通して、環境問題や気候変動、障がい者やジェンダー、地域交流などについて広く学ぶ授業です。

生徒に聞きました
“なぜ”と考える機会が増えた
Nさんの写真です

 英語が好きで、海外留学にも関心があるので、このテーマを選択しました。私が世界遺産に推薦したのは、静岡県のベルナール・ビュフェ美術館。世界遺産の基準を満たしているかを調べ、ルーヴル美術館との比較や、独自の魅力についてまとめました。

『未来デザイン』の授業を受けたことで、“なぜ”と考える機会が増えました。例えば、試験前に机に向かう時も、なぜ勉強するのかを考えます。一度立ち止まって考える習慣がついたのかもしれません。最近は将来について考えることも増え、海外と関わりのある仕事にますます興味が湧いています。(Nさん/中3)

ココも注目!①
挑戦心をもつ生徒が増加
城礼子先生の写真です

 生徒が自分の好きなことを見つけられるように、本校ではいろいろな種をまいています。興味のあるテーマを探究するなかで自信をつけたのか、挑戦心をもつ生徒が増えてきました。ハイレベルな模擬国連や北京大学の高大連携プログラムも、最近はすぐに希望者が集まります。卒業後も情熱としなやかな強さを持ち味に、夢を叶えてほしいです。(高等学校教頭・国語科/城礼子先生)


ココも注目!②
教室の外へと活動を広げたい
渡辺大輔先生の写真です

『未来デザイン』では、教員陣が七転八倒しながら授業をつくっています。その熱量を伝えることで、生徒たちの興味や知的好奇心を呼び起こしたいですね。今は教室内にとどまっていますが、今後は学外に活動の場を広げることも考えています。生徒たちには、もっと尖ってもらいたい。そして、リーダーシップや社会を変える力をもってほしいと願っています。(ESD推進部部長・数学科/渡辺大輔先生)

(この記事は『私立中高進学通信2023年12月号』に掲載しました。)

実践女子学園中学校  

〒150-0011 東京都渋谷区東1-1-11
TEL:03-3409-1771

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