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私立中高進学通信

2023年12月号

実践報告 私学の授業

佼成学園中学校

段階的に深化する探究プログラムで
専門性の高い論文を書く力を養成

学外の探究コンクールにも続々と入賞者を輩出

『第8回高校生国際シンポジウム』で藤山慶人さん(当時高2)は、
『カルシウムがザリガニに与える影響』と題した発表を行いました。

中学では“体験”を通じて課題意識を育み、高校では興味を追求して専門性の高い探究テーマに挑戦。論文執筆を到達点とする、自由度の高い探究プログラムを実践しています。

中学から探究学習に取り組み
高校では大学生レベルの論文を執筆

 佼成学園の探究プログラムでは、数多くの問いを創出し、自分なりの答えを見いだす学びを実践しています。統括するのは、理科教諭で探究学習推進委員会の委員長を務める上野裕之先生です。

「学年ごとにプログラムは異なりますが、6学年の状況報告や授業への意見は、探究委員会を設けて全校でシェアし、意思統一を図っています」

 より良い探究学習のため、探究テーマも段階的に深化させています。

「中1では紙飛行機を遠くに飛ばす方法を試行錯誤するところから始まり、地域の自然を考えるなど自然科学系テーマに進んでいきます。中2では人文・社会科学系から社会課題の解決に向けたテーマを自由に選んで探究。2月にはフィリピン語学研修もあるので、年度の後半は他国の歴史文化と日本の比較などにも踏み込みます。
 その2年間を経て中3では、フリーテーマによる論文作成に挑みます。自作した曲をギターで演奏し、その楽譜を論文として提出するなど、生徒は自由に発想を膨らませています」

 高校では将来のキャリアを見据えつつ、専門性を高めていきます。

「高校からは自らの興味を“問”へとつなげる意識を強め、より高度な探究学習を進めます。
 高入生が一貫生とともにクラスを編成する高1では、外部の探究テキストなども活用し、中学で学習した課題の立て方やデータ分析のメソッドなどを改めて学び直し、各生徒が自分に合った研究方法を確立します。高2では精度を高め、探究テーマをより絞り込んで高度な論文作成・発表を行い、その成果を論文集としてまとめます」

 上野先生は、探究学習で大切なのは“書くこと”だと強調します。中学では短い文章しか書けなかった生徒が、高校では大学生レベルの学術的な課題に挑戦し、長編の論文を書き上げる例も増えています。

「本校は男子校であり、男子はもともと自分の“好き”を突き詰める力に長ける傾向があります。中学から好きなものを題材に探究学習を積み重ねることで、楽しみながら前向きに課題へと取り組む力が育ちます。仕上げた論文を、大学受験で総合型選抜入試の提出物として活用する生徒も多くいます」

第8回高校生国際シンポジウムに参加した生徒の写真です

『第8回高校生国際シンポジウム』には3名が参加。
クオリティの高い探究内容が高く評価され、全員が賞を獲得しています。

学外コンクールに挑戦し
優秀な成績を収め海外でも発表

 探究プログラムで作成した論文の優秀作は、各種の学外コンクールにも出展され、優秀な成績を残しています。2023年2月、初参加した『第8回高校生国際シンポジウム』では、当時高2生の藤山慶人さんが『カルシウムがザリガニに与える影響』を発表し、生物学分野の最優秀賞と、グランプリにあたる文部科学大臣賞を受賞。同学年の上村遼さんは『天守の意匠としてなぜ鯱を据えたのか』をテーマに、人文科学・教育分野の最優秀賞を受賞。同じく奥田太陽さんは『乳幼児連れの親が安心・快適に航空機を利用してもらうためには』を発表し、社会科学・環境・防災分野の優良賞を受賞しました。最優秀賞を受賞した2名はこの夏、アジア地域の中高生が集う探究・課題研究の国際大会『Global Link Singapore』にも参加を果たしました。

「どの生徒の論文も、趣味や興味、実生活での問題を突き詰めた内容です。探究学習というとテーマを世界規模の社会課題に求めがちですが、本校の探究学習は身近な将来につながる“自分のやりたいこと探し”であるべきだと考えます。興味が続くからこそ、生徒は学びを通じて主体性にめざめ、変容していけるのです」

グループワークを行なっている写真です

個別テーマの探究・論文執筆のほか、意見を交わしながら課題発見、課題解決を行うグループワークによる授業も実践。
さまざまな視点から、思考力を高めていきます。

生徒インタビュー
『高校生国際シンポジウム』で文部科学大臣賞を受賞!
藤山慶人さん(高3)の研究について聞きました
ザリガニを300匹飼育して仮説~実験を繰り返した
藤山さんと上野先生の写真です藤山慶人さん(高3/左)と、指導にあたった理科(生物)教諭/探究学習推進委員長/サイエンス部顧問の上野裕之先生。

 2023年2月に行われた『第8回高校生国際シンポジウム』にて、高2時に生物学分野の最優秀賞と全分野のトップとなる文部科学大臣賞をダブル受賞。加えて、8月には『第13回高校生バイオサミット決勝戦』でも環境大臣賞を獲得したという藤山慶人さんに、お話を聞きました。

―藤山さんの研究発表テーマである『カルシウムがザリガニに与える影響』とは、どんな内容ですか?

「中1の時にアメリカザリガニを解剖したところ胃石が出てきて、調べてみたら炭酸カルシウムが主成分だとわかりました。ですが、胃石の構造や成分の研究はあるものの、カルシウムと胃石との関係についての先行研究はありませんでした。ぜひ調べてみたいと思い、実際にアメリカザリガニを300匹ほど飼育して、上野先生に相談しながら、ザリガニに与えるカルシウム量と胃石の大きさ、脱皮の回数、ザリガニ自体がカルシウムを求めて行動するかどうかなどを実験しました。そして炭酸カルシウムが胃石の大きさや脱皮と関係があることをまとめたのが、この論文です」

―中学の探究プログラムの課題として始めたのですか?

「はい。中2のフリー探究テーマとして取り組んだのが最初です。その後は、途中から実験範囲が広がったこともあり、顧問の上野先生の指導を仰ぎながら、サイエンス部の活動として進めていきました」

―今回の研究で苦労したこと、楽しかったことは?

「相手が生き物なので、思い通りの実験を成功させることがとても難しく、試行錯誤の連続でした。でも、ほかの人がまだやっていない研究は、自分が“世界を作っている”感覚になれます。大変だけど、とても楽しかったです」

―学外コンクールでの受賞や海外大会への出場を通じて、今思うことは?

「夏に『Global Link Singapore』に参加するため、シンガポールのナンヤン工科大学に行ったのですが、研究設備がすごく整っているし、僕の研究発表を見てくれた教授の皆さんもとても面白い方々で、すごく刺激をもらいました。高3の今はまず国内の大学に進学し、将来は海外でポストドクターとして研究をしたいです。ザリガニの研究もライフワークとして続けたいです」

シンガポールで『Global Link Singapore』に参加した様子の写真ですシンガポールで『Global Link Singapore』に参加する際、ナンヤン工科大学の教授がサポートしてくれました。
『Global Link Sin-gapore』に参加した際の写真です『Global Link Sin-gapore』には、『第8回高校生国際シンポジウム』において『天守の意匠としてなぜ鯱を据えたのか』と題した発表で、人文科学・教育分野の最優秀賞を受賞した上村遼さん(高3/写真右)も参加しました。

(この記事は『私立中高進学通信2023年12月号』に掲載しました。)

進学通信 2023年12月号
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