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私立中高進学通信

2023年12月号

探究の花が咲く

大宮開成中学校

高2で研究・執筆した論文は
学校の勉強にも大学受験にも役立ちました

群馬大学医学部2年生の佐野さん。中学生の時に訪れた群馬県上野村で、医療過疎の実状に直面。
ゆくゆくは過疎地域の医療にも携わってみたいと語ります

中1からSDGsをテーマとするプレゼンテーション学習に取り組み、高2で論文執筆に取り組んだ、卒業生の佐野綾音さんにお話を伺いました。

医師を夢見て
中高一貫校に進学
佐野さんの写真です両親の影響で、小学生の頃から医師になることを夢見ていたという佐野さん。

「両親がともに医療従事者なので、家族で集まると、自然と医療に関することを話していました。小学生の頃には医師になりたいという夢をもつようになり、その夢の実現に向けて中高を駆け抜け、今も歯を食いしばりながら頑張っています」

 柔和な雰囲気をたたえつつも、芯の強さをのぞかせる佐野綾音さんは、昨年3月に同校の中高一貫部・英数特科コースを卒業。今は群馬大学医学部に在籍しています。

「医師になりたいという夢をかなえるために、中高一貫で先取り教育を行っている本校に入学しました。私は群馬県高崎市在住なので、ターミナル駅の大宮駅が最寄りというアクセスの良さも魅力でしたね。正直に言えば、中学受験時は小学生でしたし、学校選びは両親の主導です。でも、入学した後は勉強はもちろん、学校行事にも部活動にも一生懸命取り組んで、充実した6年間を過ごすことができました。そのうえ志望していた群馬大学医学部にも進学できたので、本当に大満足です」

高2で初めての
論文執筆に挑戦

 中学校を開設以降、プレゼンテーション教育にも力を入れている同校。SDGsを切り口として、学年ごとに設けられたテーマについて探究活動を行い、高2ではプレゼン教育の総まとめとして論文執筆に取り組みます。論文のテーマは自由だったため、佐野さんは日頃から疑問に思っていたことを題材に選びました。

「私はBGMを聴きながら勉強をしたいタイプ。時々、『音楽でも聴いていないと勉強なんてやってられない!』と爆発することもありました。でも、音楽を聴きながらの“ながら勉強”は、一般的に効率が悪いとされています。そこで、『勉強中のBGMについて』を論文のテーマに選んだんです」

 高2になり、大学受験へ向けた勉強も本格化するなかで、並行して論文作成にも取り組みました。

「本来なら、脳波の研究者や医師などにインタビューをしたかったのですが、私が論文作成に取り組んでいた時期はちょうど新型コロナウイルスが社会問題になり始めた頃で、学校が休校になってしまったんです。そのため情報源は、もっぱら本とインターネット。学校が再開されてからは、授業内で論文制作に取り組む時間が設けられたので、その時間を有効活用して論文執筆に勤しみました。通常学習と並行しての執筆はハードでしたが、自宅学習中に余力がある時は、論文に関する資料を読んでメモをとるなどの工夫をしていました。もともと興味のあったテーマで研究に取り組めたので、楽しかった記憶ばかりです」

研究結果を大学受験と
勉強時に活用

 この研究論文で、佐野さんは自身にも有益となる考察を得ました。

佐野さんの写真です論文作成は個人作業だったので、同級生がどんな研究について執筆しているかを話し合う時間が楽しかったと振り返る佐野さん。

「Jポップなど、母国語の歌は情報として歌詞が脳内に入ってくるので、脳がそちらの処理にエネルギーを割く分、勉強の効率が落ちてしまうことがわかりました。一方、クラシックや自然音などであれば、ほどよい刺激が脳に与えられ、逆に無音状態だと脳が興奮したり疲れてしまったりすることを突き止めました。脳をリラックス状態にして勉強に集中しやすくするには、自然音を取り入れることがベストという結論に至っています。この論文執筆によって、効率のいい勉強法を見つけられたのは有益でした。そのことも活用して、今は集中したい時はクラシックや自然音を流しながら勉強しています。でも、どうしても身が入らない時は、好きなJポップを聴きながら勉強しちゃいますね」

 さらに、この論文は大学受験にも活用されました。

「医学部の受験では、全ての大学で面接が実施されます。私が学校推薦型選抜で受験した群馬大学医学部も面接があったのですが、面接官の教授にこの論文について話すと、とても興味をもってくださり、高評価をいただいていることがわかって手応えを感じました」

 群馬大学医学部の学校推薦型選抜は、11月に行われる面接・小論文と、1月の大学入学共通テスト、そして調査書をはじめとする出願書類を総合して判定されます。結果は見事合格!

「6年間大学で学んだ後に、医師国家試験を受けて医師の免許を取ってからも、研修医としていろいろな医局を2年かけてまわることになります。専門を決めるのはその後なので、今はまだぼんやりとしか考えていませんが、脳と精神のつながりに興味があるので、精神科も候補の一つに考えています」

 現在、医師をめざして群馬大学で学ぶ佐野さんは、高校時代に論文を書いた経験が現在の礎になっていると語ります。

「論文の書き方をマスターできたことが大きいですね。大学に入っていちばん大変なのはレポート執筆だと思うのですが、高校時代に書き上げた論文が心の支えになっています。また、大学の仲間にはパワーポイントに不慣れな人もいるのですが、私は中高時代のプレゼン発表でパワーポイントを使いこなせるようになっていましたので、これも大きな副産物ですね」

 新型コロナが5類になり、さらに母校のプレゼン教育が進化していることを聞いた佐野さんは、「都合をつけて後輩たちのプレゼン発表にも足を運びたい」と目を輝かせます。

佐野さんが高2の時、論文を書くにあたって調べた文献の写真です佐野さんが高2の時、論文を書くにあたって調べた文献の数々。この時の経験が、その後の受験や大学での学習に役立っているといいます。
受験勉強との両立は大変だったものの、論文の執筆自体は楽しかったと振り返る佐野さんの写真です受験勉強との両立は大変だったものの、論文の執筆自体は楽しかったと振り返る佐野さん。
プレゼンテーションの様子の写真ですプレゼンテーション教育に力を注ぐ同校。探究力、発信力、協働力を養い、課題解決を通じて芽生える社会貢献への意欲を育てています。
プレゼンテーションの様子の写真です年々、同校のプレゼンはパワーアップ。先輩の発表成果を見て、後輩たちの発表も進化を続けています。
私の探究「勉強中のBGMについて」
探究の軌跡

中1

「身近な環境」をテーマに、グループで探究。秋にポスター発表、2月にパワーポイントを使ってプレゼン。

中2

「日本」をテーマに探究し、中1時同様、グループ発表。

中3

「世界」をテーマにプレゼン。学年が上がるごとに内容も発表も高度に。

高1

自由学術研究に取り組む。茶道部に所属していたため「花見の文化」について、少人数のグループで発表。

高2

「勉強中のBGMについて」をテーマに、論文執筆に取り組む。

高3

大学受験の面接で、論文が評価を受ける。志望した群馬大学医学部に合格!

どんな探究でしたか?

 論文のテーマを選んだのは高2の初期。大学受験を控えて、音楽を聴きながら勉強に取り組むことが多く、一方で音楽を聴きながらの“ながら勉強”は効率が悪いという説も耳にしていた。「BGMは本当に勉強に支障をきたすのか?」という疑問から、本とインターネットで資料を入手。脳波の一つで、心身ともにリラックスした状態の時に発するα波についてや脳の仕組みなどを調べつつ、秋から執筆に取り組み、1月に「勉強中のBGMについて」を書き上げた。この論文は、大学受験時の面接官も興味を示したという。

進学通信 2023年12月号
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