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私立中高進学通信

2025年特別号

校長先生はこんな人!

城北中学校

学びの楽しさを育み
人間的に成長できる場に

清水 団(しみず・だん)城北中学校・高等学校校長
1971年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科で数学を専攻し、1996年に修士課程を修了。
卒業後は城北中学校・高等学校の数学科教員として勤務を開始した。
これまでに教頭や入試委員長を歴任し、ICT教育の環境整備にも尽力。
2025年4月より校長に就任。
X(旧Twitter)では、生徒から出された数学の質問を解説したり、海外の数学者と意見交換を行ったりと、
教室を超えた活動も行っている。

生徒と一緒に「発見の喜び」を味わう
数学教師としての原点

 私は石川県小松市の出身です。父は浄土真宗の住職、母は教員で、その影響から幼い頃から「先生」という職業が身近にありました。4才のときに、母が東京の養護学校に就職したことをきっかけに東京へ移り、町田市の公立の小学校・中学校を経て都立高校に進学しました。高校時代は陸上やバンド活動に熱中し、勉強はあまり得意ではありませんでしたが、高2から塾へ通い始めたことで数学や化学の面白さに目覚めました。化学の実験や数学の問題に取り組む中で、「自分でも工夫しながら理解できる」「発見がある」という喜びを感じたのです。自分で実験計画書を書き、再生繊維の実験を行ったときのワクワク感は、今でも鮮明に覚えています。

 大学では数学を専攻し、研究者の道も考えましたが、教育実習で生徒と共に過ごす中で「人と関わりながら学びを支える教師」という仕事に大きな魅力を感じました。授業だけでなく合唱コンクールなどの行事にも一緒に取り組み、「教える」こと以上に「共に学び、共に生きる」関係が築けることに心を動かされました。そのときの実感が、今につながっています。

 数学教師としての私の原点は、「生徒と一緒に学ぶこと」です。中高の数学には新しい発見や驚きがたくさんあります。先輩教員と取り組んだ授業の中で、「公式一つでも新しい見方がある」ということに気づき、数学は誰にとってもワクワクできる学問だと改めて実感しました。

 生徒たちにも「おもしろい」と感じる瞬間を大切にしてほしい。授業を通じて知識を得るだけでなく、「考えるって楽しい」「解けたときにうれしい」という感覚を共有できることが、私にとって教師としての一番の喜びです。

ICTと探究、未来につながる学び

 2010年代からはICT教育にも力を入れてきました。アメリカでの視察を経て、「やりたいことを追究する中で必要な力は自然と身につく」という考え方に出会い、城北でも生徒が主体的に学べる環境づくりを進めてきました。MacBookやiPadを導入し、Wi-Fi環境を整えました。ただ単に学校が生徒を管理するためにICTを用いるのではなく、生徒が「使ってみたい」「ワクワクする」と思える、機能性・デザイン性の高いツールを選び環境を整備しました。ルール作りもトップダウンではなく、生徒と教員で一緒に検討して進めていったのも、城北らしいプロセスだったと思います。

 現在はBYOD(各自端末を持ち込む方式)で、生徒一人ひとりが自分に合った学びを進めています。また、生成AIを活用した探究活動にも積極的に取り組んでおり、高3の授業では実際にChatGPTを体験し、「新しいテクノロジーをどう使いこなすか」を考える機会を設けています。こうした経験は、これからの大学生活や社会生活においても役立つ力になるはずです。

生徒と共に歩んできた時間
校長としての思い

 長く数学教師として、そして担任として大切にしてきたのは「生徒のやりたいことを後押しする」ことです。印象的だったのは、2011年、東日本大震災が起きた年に担任を務めていた高3生との日々です。混乱の中で受験に臨む生徒を支え、卒業式が中止となる中、生徒たちが自ら集まって校歌を歌った光景は忘れられません。「セレモニーの持つ力」を実感しました。

 また、数学の授業を通して「中高の数学にも新しい発見がある」と気づいたのも大きな学びでした。生徒と一緒に試行錯誤しながら「面白い」と感じることを共有できることが、私にとって教師冥利に尽きる瞬間です。

 校長になった今も、「学校は生徒が好奇心を伸ばし、学び続ける場であるべき」という思いは変わりません。大学進学という目標はもちろん大切ですが、それ以上に「人間としての成長」を支えることが学校の使命だと考えています。クラブ活動や行事、探究活動など、授業以外にも多様な挑戦の場を用意し、生徒が「ここで学びたい」と思える環境を整えていきます。

人間形成と大学進学
城北の教育が大切にしていること

 城北が一貫して大事にしてきたのは、「人間形成と大学進学」という建学の精神です。大学進学は重要な目標ですが、それだけにとどまらず、クラブ活動や行事、探究学習など、授業以外の場でも成長できる環境を用意しています。

 例えば中学では自由研究を体系的にまとめる取り組みを進めており、高校でも単発の活動にとどまらない形で探究をカリキュラムに組み込んでいます。生徒が好奇心を持って挑戦し、その経験を大学進学にも人生にもつなげていく――そんな「学びの場」を学校全体で育んでいきたいと考えています。

 城北は男子校ならではの自由闊達な雰囲気があり、選抜クラスから部活動まで、多様な生徒が自分らしく過ごせる場です。「ここで生活してみたい」と感じてもらえれば、その直感を大事にしていただきたい。文化祭や校舎見学など、実際に足を運んで学校の空気を感じて欲しいですね。

 私たち教員は、生徒一人ひとりの挑戦を全力で後押しします。学びを通して成長する喜びを、ぜひ城北で味わっていただきたいと思います。

[沿革]
1941年(昭和16年)、儒学者・深井鑑一郎氏と、その教え子で凸版印刷社長を務めた井上源之丞氏らによって創立。建学の精神「人間形成と大学進学」は、80年以上にわたり受け継がれており、学力の向上とともに、人間としての成長や信頼関係を築く姿勢を大切にしながら、生徒一人ひとりの可能性を伸ばす教育に力を注ぐ。教育の特色として、大学進学に直結する学力の養成はもちろん、幅広い分野に触れられる多彩なカリキュラムを整備。進路実現を力強く支える体制を整えています。これまでに社会の第一線で活躍する卒業生を多数輩出。リーダーシップを発揮する人材はもとより、社会を支える存在へと成長していけるよう、生徒を育んでいます。

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