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私立中高進学通信

2023年9月号

授業ルポ!

和洋九段女子中学校

未知の課題に論理的に
取り組む『理数探究』

高1の『理数探究基礎』は、グループで取り組む体験型の学びが中心です。取材当日は、歯磨き粉を使ってフラクタル図形を作り、「自然界になぜフラクタルが存在するのか」を考察・発表。活気のある授業が行われていました。

高1の『理数探究基礎』は、グループで取り組む体験型の学びが中心です。
取材当日は、歯磨き粉を使ってフラクタル図形を作り、「自然界になぜフラクタルが存在するのか」を考察・発表。
活気のある授業が行われていました。

生徒の志望する進路に合わせて、高校から本科、グローバル、サイエンスという3つのコースに分かれて学ぶ和洋九段女子。高校のサイエンスコースで行われている『理数探究』についてレポートします。

理数的思考力の育成を図る
『理数探究』の授業

 和洋九段女子の高校サイエンスコースは、理系科目の学習に重点がおかれているほか、体験・探究を重視した独自教科『理数探究』を設置していることが大きな特徴です。高1で『理数探究基礎』を週1時間、高2では『理数探究』を週2時間実施しています。

「高1の『理数探究基礎』の授業では、数学科と理科の教員が輪番で担当し、理科では物理・化学・生物分野、数学科では確率や統計学など、それぞれの専門を活かした独自の授業を展開しています。
 教科書では扱わないような現象も幅広く題材とすることで、生徒の興味・関心を引き出しながら、科学的なものの見方や考え方の基礎を学んでいきます」(理科主任/狐塚智康先生)

『理数探究基礎』では、さまざまな現象を題材とする問いが投げかけられ、その問いに対して仮説を立て、正しいかどうかを実験し、考察するというプロセスを経験します。

「『理数探究基礎』は、未知の課題に論理的に取り組む姿勢を培うとともに、高2からの『理数探究』に向けたトレーニングにもなっています」

現象を数値化して
分析・考察する個人探究
サイエンスコース理科主任/狐塚智康先生サイエンスコース理科主任/狐塚智康先生

 高2の『理数探究』では、生徒が自分で選んだテーマの研究に1年間取り組み、最終的にプレゼンテーションを行います。

「基本的には生徒が主体となって取り組んでいきますが、教員も生徒に伴走してアドバイスをしたり疑問点を指摘したりして、研究を深めていけるようサポートに当たります。
 特に難しいのがテーマ決めです。生徒の意思を尊重して身近な疑問に取り組むことを大切にしていますが、理科と数学科の教員を総動員して一人ひとりと面接を行い、複数の視点からアドバイスをして、1年間で取り組める内容になっているかどうかを確認しています」

 狐塚先生はこれまでの個人探究を振り返り、「オリジナリティのある研究に取り組んでいたり、得られたデータを数学的に処理してグラフにして考察したりする生徒もいて、手応えを感じています」と話しますが、さらなるブラッシュアップに向け、今後の抱負を次のように語ります。

「前の学年が取り組んできた蓄積を活かし、『先輩の研究の続きをどう組み立てるか?』というアプローチも可能になり、発展的な個人探究ができるようになってきました。
 1人の生徒がゼロから1年間で取り組める研究には限界がありますが、先輩から後輩へ引き継ぎながら数年間かけて一つのテーマを継続的に深めていくこともできるのです」

 研究の積み重ねを経て、現在もサイエンスコースの先輩から後輩へと、研究のスキルや成果が伝授されています。サイエンスコースの今後のさらなる進化に期待が高まります。

高1 『理数探究基礎』
Step 1身近なものから『フラクタル』を学ぶ

 高1『理数探究基礎』の授業を取材しました。今回の授業は数学科の教員が担当。まずは座学で『フラクタル』の図形や数式などを学びます。

Step 2歯磨き粉でフラクタル図形を作成

 下敷きの上に歯磨き粉をたらし、上からもう1枚の下敷きをかぶせて、ゆっくりはがし、フラクタルの図形をグループで観察します。

Step 3「自然界になぜフラクタルが存在するのか」を考察

 授業で得た知識と、実験・考察を通して「自然界になぜフラクタルが存在するのか」という答えのない問いに挑みます。

Step 4考察の結果を発表

 グループの代表者による発表。自分のタブレット端末をプロジェクターにつなげて、グループ考察で使用したフラクタル図形をホワイトボードに映し出し、考察結果を簡潔に発表します。

生徒インタビュー
ユニークな個人探究を行った高3生に聞きました
サイエンスコースの学びを将来に活かしたい!

 高3生の皆さんに、サイエンスコースの魅力や個人探究の取り組みなどについてお話を聞きました。サイエンコースは15人ほどの少人数で、『同じ理系の仲間』という生徒同士の連帯感が強く、探究活動に取り組むうえでプラスになっているようです。

「『理数探究』では理科的、数学的なアプローチで取り組むことを重視しており、『数値化し、分析・考察する』ことが一つのポイントになります。Iさん、Tさん、Sさんの研究は、そのことを意識して取り組めていたのが非常に素晴らしかったですね」(狐塚先生)


サイエンス・リテラシーが鍛えられ
科学的に考える習慣がつきました
IさんIさん

 通学時に駅を行き交う人を見ていて、「なぜ人によって歩く速さが違うのだろう?」と疑問が湧き、これを徹底して解明してみようと個人探究のテーマに選びました。

 クラスメートの協力で調査した結果、身長や足のサイズなどさまざまな要因で歩幅が異なるとわかりました。研究を通して、統計から読み解く科学的アプローチを体験できたのは良かったと思います。

 サイエンスコースの魅力は、理数系科目を集中して学べることです。サイエンス・リテラシーが日々鍛えられ、身近な疑問を科学的に考えてみる習慣が身につきます。

『理数探究』では、クラスメートそれぞれが違うテーマに打ち込みますが、調査に協力したり、意見を聞いたりなど、協力し合う姿勢があります。私も統計を通じて交流が広がりました。友達の発表を見て、新しい知識が得られるのも楽しいです。

 私は将来、理学療法士をめざしていて、大学進学後はリハビリテーションを深く学び、将来につなげていきたいと考えています。


理科の苦手意識がなくなり
サイエンスコースを選択
TさんTさん

 私の研究テーマは『めざせ確定ファンサ!』。ライブ会場でファンサービスを獲得するために、ステージから見てどんなうちわがアイドルの目に留まるのかを研究しました。

 校内の講堂をライブ会場に見立てて、色やフォントを変えてさまざまなうちわを作り、どのうちわが最もステージから見やすいか、先生や友達に協力してもらって統計を取りました。実験をしてみると予想とは違う結果が出て、「先入観をもって実験に臨んではいけない」という気づきを得ました。

 中学受験の時、理科は苦手科目でしたが、中学の理科の授業がとてもわかりやすく、理科への苦手意識がなくなりました。実験を通して理科の楽しさも知り、もっと学びたくて高校ではサイエンスコースを選んだのです。

 サイエンスコースは実験が多く、化学の専門家でもある校長先生が実験を見せてくれたことも印象に残っています。理系の人が集まっているので、日頃から理論立てて考えたり根拠をもって話したりすることが多く、コミュニケーションが円滑でとても居心地が良いです。


好奇心が刺激される学びで
ますます理科好きに
SさんSさん

 私の家は4人家族で毎日のように洗濯をしているため、「少しでも早く洗濯物を乾かしたい」という思いから、「どの柔軟剤を使うと早く乾くのか」をテーマにしました。

 数種類の柔軟剤を買って家で実験し、どれが最も早く乾くのか、結果は出せたのですが、「そもそもなぜ柔軟剤を使うと乾きやすくなるのか」という新たな疑問が生まれました。

 界面活性剤の働きに着目し、自宅のバスルームと自分の部屋、学校の化学室を借りて、環境を変えて実験に取り組みました。結論にたどり着くことはできなかったのですが、教室を借りるために先生と交渉したり、クラスメートに協力を呼びかけて予定を調整したりと、実験を通してさまざまな段取りをこなす力がつきました。

 理科好きな私にとって、好きな教科に打ち込めるサイエンスコースはとても魅力的です。実験もたくさんあり好奇心が刺激される環境で、ますます理科が好きになりました。サイエンスコースで学んだことを活かして、目標とする看護学部に進み、看護師になる夢を叶えたいです。

(この記事は『私立中高進学通信2023年9月号』に掲載しました。)

進学通信 2023年9月号
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