私立中高進学通信
2023年9月号
理数教育のその先へ
埼玉平成中学校
“挑戦”をサポートする校風
やりたいことを追求することで
学びへの探究心が育つ

東京理科大学理学部 第一部物理学科2年 岸本宇信さん(左)
大学で物理学を学びながら、中高時代から取り組んできた脳の神経回路シミュレーションの個人研究も継続。
医学の道をめざしていたこともあり、「医療へ応用できるよう、研究を続けたい」と岸本さん。
上智大学理工学部 情報理工学科4年 佐野嵩征さん(右)
中高時代に興味をもった音響工学を学ぶため、現在の大学・学部へ進学。AIにも興味をもち、
「人間が感覚で把握している事象をAI解析でデジタル化し、実社会に役立てたい」と、将来を模索中。
小学校時代から数学や計算が好きだったという2人。中高時代は幅広い分野を学び部活動や委員会活動でも活躍。「理数の道へ進むうえでも課外活動の経験が強みになっている」と中高時代を振り返ります。
チャレンジ精神を評価し
高度な学びを支援
『為すことによって学ぶ』を建学の精神に、開校以来多くの体験の場を提供し続けてきた埼玉平成。卒業生の佐野嵩征さんと岸本宇信さんの中高時代の学びも、まさに能動的に『為す』ことによって身についたものです。2人とも声を揃えて「本当にいろいろなことに挑戦させてもらいました」と中高時代を振り返ります。
「中2から高3まで積極的に取り組んだ生徒会活動では、意見箱の改善や校内放送のラジオ番組制作など、思い出がいっぱいです」
そう語るのは、現在、上智大学理工学部で情報理工学を専攻する佐野嵩征さんです。
「特に印象に残っているのは高2の文化祭で、ラジオDJとしてステージに登壇した時のことです。大歓声を受けた喜びや達成感が原体験となり、『今この時にしかできないことは、躊躇せず積極的にやる』という姿勢を、現在もポリシーとして貫いています。
自分は音響工学に興味があり、在校中から独自に実験を行っていました。そうした活動を先生方がサポートし、チャレンジ精神や行動力を評価してくれました。このような環境にいたからこそ、自分の個性が活かされ、興味・関心を伸ばしていけたと感じています」
現在、東京理科大学理学部第一部で物理を専攻する岸本宇信さんも、在学中に先生方からサポートを受け、学びの幅がさらに広がったと言います。
「数学が大好きだった自分のために、先生方は中学時代から高校レベルの数学を教えてくださり、『この問題にも挑戦してみたら』と提案もいただきました。
高校生で神経回路に興味をもち始めると、『こんな研究もあるよ』と論文や書籍を紹介してもらったり、先生の専門知識を活用したアドバイスもいただいたりと、個人的な興味にも寄り添ってくれたのです。
先生方から、『まだ中学生なのだから』『学習範囲外だから』と否定されることは一切ありませんでした。先生方が『もっと知りたい』という気持ちを応援し、バックアップしてくれたおかげで、のびのびと成長でき、自己肯定感も高まったのだと思います」
学びのスキルだけでなく
培った人間性が強みに
小学校時代から計算が得意で、現在まで一貫して理数系への道を進んでいる佐野さんと岸本さん。2人を指導した理科担当の清水健一先生は「学年こそ違いますが、2人とも、中3で行ったスピーチコンテストが素晴らしく、感心しました」と話します。また社会科担当の関口俊洋先生も、「2人とも当時から好奇心旺盛でした。中学卒業時に取り組んだ研究発表が、論理的で素晴らしい内容だったことが強く印象に残っています」と話してくれました。
佐野さんと岸本さんは、同校で培った学びをどのように感じているのでしょうか。
佐野さんは「数学の文章題が苦手だったので、それを克服するための数学的な思考力は中高時代に鍛えられました。ですがそうしたスキル以上に、中高で培った『学問に向かう姿勢』や『人とコミュニケーションする力』こそが、大学で専門分野を学ぶうえで役立っている」と話します。
「多角的な分析が重要になるため、大学の研究はほとんどがチームで行われます。適切なコミュニケーションは必須ですし、積極的に参加して自分なりの疑問を発信する姿勢が常に求められています。
『疑問に思ったことは自分から先生に聞きに行く』『先生や友人と適切にコミュニケーションをとる』『ルールはきちんと守る』といった中高時代に身につけた習慣が、そのまま今の自分の強みになっていると思います」
幅広くいろいろなことに興味をもっていた岸本さんは、同校での実践的な学びが、現在につながっていると話します。
「中高時代、どの先生も労力を惜しまず、多彩な実験やフィールドワークなどを行ってくれましたし、プレゼンや研究する機会も多くありました。先生も生徒と一緒に考えてくれるので好奇心が満たされ、『もっと自分の興味・関心を探究していこう』という気持ちが、よりいっそう湧いてきました。そうして培われた探究心が、今の学びにつながっていると思います」
風通し良く規律ある校風が
充実した学校生活に

佐野さんと岸本さんは在学時、生徒会の先輩・後輩という関係でした。そんな2人にとって、生徒会本部は思い出の場所。さまざまな活動を通して多彩な活躍を見せました。
中高時代を振り返ると、「生徒と先生の距離が近く、のびのびとした校風ですが、規律はしっかりしていた」と佐野さん。そうしたメリハリある学校生活によって、楽しく充実感のある中高時代を送ることができたと言います。
「先生は頼りがいがあって優しいですが、生徒も先生も引くべき一線はわきまえていました。身だしなみや挨拶などの生活指導もきちんとしていて、それも自分には合っていたと思います。
今も卒業生として学校を訪れるたび、グラウンドで練習中の野球部員から『こんにちは!』という大きな声が響いてきて、本当にいい学校だと実感します」
中高6年間、吹奏楽部に所属した岸本さんは、部活動の先輩にも大きく影響を受けたと言います。
「中学時代、高校生の先輩が優しく接してくれたことに感激しました。そうした先輩を見て、寛容な心や協調性などを学びました。部活動や委員会活動を通じた人間的な成長に伴って、学力も伸びていったように感じています。
また、6年間一緒に成長した友人たちには、強い絆を感じています。6年間あるので、もし関係がこじれても、時間をかけて修復することができます。そうした経験を通して人への信頼を学び、人と深く関わることに、積極的になれたと思います」



(この記事は『私立中高進学通信2023年9月号』に掲載しました。)
埼玉平成中学校
〒350-0435 埼玉県入間郡毛呂山町下川原375
TEL:049-294-8080
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 世界で通用する研究に挑戦する『SAコース』昭和学院中学校
- ダイズ栽培とヒラメ養殖で『自ら学ぶ力』を培う東京農業大学第三高等学校附属中学校
- 有志の生徒が大活躍 主体性で動く『チームICT』麗澤中学校
- 未知の課題に論理的に取り組む『理数探究』和洋九段女子中学校
- 校長先生による実験授業!「なぜ」の答えが得られる方法を考えよう麴町学園女子(麹町学園女子)中学校
- 3年間で100あまりの実験を実施!「自由研究」で知的好奇心も育む国学院大学久我山中学校
- 確かな「世界市民力」とサイエンス・リテラシーを培うサレジアン国際学園世田谷中学校
- 動画だけではわからない、五感に響く体験が興味を育む成城中学校
- 自然に囲まれた環境で、科学的な思考力を伸ばす千葉明徳中学校
- 実験を五感で捉え、理解と興味を深めていく東邦大学付属東邦中学校
- 「探究女子」を育てる体験重視の理科教育トキワ松学園中学校
- 生徒が主体的にデザインする、一人ひとりの実験ドルトン東京学園中等部
- “挑戦”をサポートする校風 やりたいことを追求することで学びへの探究心が育つ埼玉平成中学校
- 生徒主体で作り上げた体育祭がかけがえのない思い出に十文字中学校
- アドミッションスタッフの活動を通し 自分で考え、行動する力を育む東京家政大学附属女子中学校
- 100周年に向け、「伝統に更なる輝きを!」生徒が手がけた新制服が後輩の明日を担う日本大学第二中学校
- 英語の楽しさを味わいながら国際社会で使える語学力を身につける恵泉女学園中学校
- 生徒全員を国際生と位置づけ 日常的にグローバルな環境を整える啓明学園中学校
- 「わかったつもり」は一切なし!“見られて”身につく英語力昌平中学校
- 「オンライン英会話」で実践的に英語を使う機会を増やす聖望学園中学校
- 創立以来続く伝統 全人教育としての『園芸』鴎友学園女子中学校
- 手帳メーカーとコラボ 生徒考案の『SDGs手帳』聖徳学園中学校
- 全教科の土台となる論理的読解力を育成佐野日本大学中等教育学校
- 生徒主体の行事を重ね成功体験を味わう実践女子学園中学校
- 全寮制学校で磨く 学力と思いやりの心秀明中学校
- 建学の精神を基盤にグローバル人材を育成淑徳中学校
- 入学前から在校生がサポート 生徒主体で誰もがリーダーに女子聖学院中学校
- 安心して勉強と部活動に打ち込める温かな校風共栄学園中学校
- 明るく広々とした図書館が自慢です!国府台女子学院中学部
- 姉弟で、姉妹で、同じ学校に通っています!専修大学松戸中学校
- 学校の魅力を思う存分に伝えます文教大学付属中学校
- 葛藤しながらも神に導かれた人生 聖書に促されて学院長へ玉川聖学院中等部
- 直系の付属校だからこそもてる力を大切に健やかな精神を育みたい明治大学付属明治中学校
- 『志』の種を見つけると人は本気になれる 紆余曲折を経て、教育者の道へ山脇学園中学校
- 今年度から中1のクラス担任になったお2人の先生です。その意気込みを伺いました。国士舘中学校
- 自分で考え、発信することを重視した授業を青稜中学校
- 好奇心旺盛に生徒とともに新しい挑戦を続けます!帝京大学系属帝京中学校
- 2024年度入試から「英語1科入試」を新設日本大学豊山女子中学校


