私立中高進学通信
2023年9月号
中1の始め方
秀明中学校
全寮制学校で磨く
学力と思いやりの心
管理栄養士が作るレシピは全寮共通。手作りのため、厨房ごとに微妙に味が違うことも。
「味には自信があります」と五十子先生。
6年間の寮生活をスタートするにあたり、4月に行っている生徒へのサポートと、全寮制の特徴を活かした手厚い学習指導環境について、お話を伺いました。
4月は寮生活に
慣れるための期間
同校は首都圏唯一の全寮制中高一貫校です。入学と同時に保護者の元を離れた中1生は、今までとは全く異なる生活環境で新しい日常をスタートさせます。
「本校の中1生は勉強よりも、共同生活に大きな不安を抱えて入学します。まずは寮生活に慣れてもらうためのケアを、重点的に行います」(入試課/五十子信彦先生)
全国から入学生を受け入れていますが、学校近郊から通う生徒も多くいます。生徒たちは月曜日の9時50分までに自宅から登校し、火曜日から木曜日までは寮で生活。金曜日の午後、授業が終わると家に帰り、週末は自宅で家族と過ごすというサイクルを1年間繰り返します。
「入学した最初の週は、オリエンテーション合宿を兼ねて2泊3日の寮生活を行い、次の週は3泊4日と、寮で過ごす時間を徐々に長くしていきます」
自宅が遠方で帰省できない生徒には、その分先生方がサポートを手厚くするなど、最初の1カ月で共同生活のルールを学びます。また、この期間には同じ方面から登下校している先輩と顔を合わせる『帰宅方面別下校指導』も行われます。
「上級生との交流から学ぶことは多々あります。でも、どんなに仲が良くても、先輩と常に一緒にいると緊張がほぐれないでしょう。本校では寮をあくまでリラックスの場と考え、性別はもちろん、学年別に用意しています」
日本全国から生徒が集まってくるため、「学習指導の地域差は大きな課題です」と、五十子先生は指摘します。
「これをカバーするため、『小学校課程診断テスト』を実施します。苦手な科目や単元を見つけ、4月中に学習内容を補強します」
基礎を確実に固めてから中学の授業内容に進むため、理解度が深まるのです。
疑問点を解消できる
夜間学習とは?
5月になると、秀明生としての毎日は本格化します。
同校の特徴とも言えるのが、夕食を終えた後に行う「夜間学習」です。
「夜間学習は、基礎学力の定着を目的としていますので、その日の授業の復習を重点的に行います」
夜の勉強とはいえ、寮でくつろぎながら自習をするわけではありません。生徒は再び、学校の教室に集まります。
「制服に着替えて机に向かうので、集中力も高まるのです」
通学や塾に通う移動時間も勉強に充てられるのが、全寮制のメリットです。もちろん、学習習慣も次第に身についていきます。
「普段の授業では、英語教育に特に力を入れています。英会話の授業では、イギリス人教員と日本人教員が2人1組になって教える『チームティーチング・システム』を採用しています」
イギリスのパブリックスクールをモデルにしている同校で生徒が学ぶのは、もちろんブリティッシュイングリッシュです。中2と高2で行われるイギリス研修を目標に、英語力に磨きをかける日々が続きます。
伸びていくのは
生徒の人間力
一見、勉強漬けの毎日のように見えますが、決してそんなことはありません。
「検定試験や定期考査が終わった日には、夜間学習の時間に誕生会を行うこともあります。時季によってはクリスマス会も開きます」
さらに文化祭の直前は、夜間学習が全てその準備に充てられます。また、部活動も盛んなので、生徒は放課後を使って、好きな活動をのびのびと楽しんでいます。中高生が一緒に活動するため、部活動の仲間とは兄弟姉妹のような親しい関係性が築け、自由時間に先輩の寮に遊びに行く中1生も次第に増えていきます。
「難関大学への高い進学率に注目いただくケースが多いのですが、実際に入学を決められた保護者の方が期待されているのは、生活面での子どもの自立です」
入学当初、週末に家へ帰ることを心待ちにしていた生徒も、成長とともに「学校や寮で友達と勉強しているほうが楽しい」と帰省しなくなるほど居心地の良い場所になっていきます。生徒の自主性や判断を重んじる同校では、週末、学校に残るのも自由です。
最後に心の教育面について、お話を伺いました。
「人と人とのコミュニケーションには、互いを尊重できる“適度な距離感”が大事と大人なら誰でも理解しています。中学生には少し難しい発想ですが、家族ではない存在と長い時間を一緒に過ごす全寮制の学校だからこそ、この心構えを徐々に伝えるようにしています」
寮生活では自立心とともに、他者をいたわる心も育まれていくのです。
(この記事は『私立中高進学通信2023年9月号』に掲載しました。)
秀明中学校
〒350-1175 埼玉県川越市笠幡4792
TEL:049-232-6611
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