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私立中高進学通信

2023年9月号

授業ルポ!

昭和学院中学校

世界で通用する研究に
挑戦する『SAコース』

榎本裕介先生による植物遺伝学の研究体験。モデル植物のシロイヌナズナを使って遺伝子の研究をします。先生の説明を聞きながら、実験器具を扱う生徒たち。

専門領域 植物遺伝学
榎本裕介先生による植物遺伝学の研究体験。モデル植物のシロイヌナズナを使って遺伝子の研究をします。
先生の説明を聞きながら、実験器具を扱う生徒たち。

“科学のロマンを追い求める”をコンセプトに、科学リテラシーの根源を育て、論理的思考や未知の世界を切り拓く力を育む新コースがスタート。その全貌をレポートします。

中1から大学レベルの研究に
じっくり取り組む

 創立80周年となる2020年を『昭和イノベーション元年』と位置づけ、大きな教育改革に舵を切った昭和学院。その一環として、生徒の学びたい、叶えたい夢を後押しする多彩なコース制を導入しました。そのひとつが理系のスペシャリストを育てる『サイエンスアカデミー』コース(以下SA)です。

 SAの特徴は、中高6年間をかけて、大学や研究所と同レベルの高度な研究を行う点です。その研究活動を支えるのが、大学並みの設備を備えた6つの理科室、各専門領域をもつ8名の理科教員、東大をはじめとする大学や専門機関との連携です。

「めざしているのは、生徒が一人の科学者として、本物の研究に取り組むことです。科学のロマンを追い求める楽しさを、より多くの生徒と共有し、研究に熱中してもらいたいと考えています」(SAコース・コース長/榎本先生)

 SAの生徒たちは、まず中1の1学期、8名の理科教員がそれぞれの専門領域の講義・実験を行う『研究体験』に参加します。その際、興味ある領域にのみ参加するのではなく、生徒全員が8つの専門領域全てを体験できるよう、1カ月をかけてカリキュラムを組んでいます。

「研究とは、世の中で解明されていない事柄を調べることです。そのためにはまず、何が解明されていないのかを調べる必要があります。また、必ずしも成果が出るわけではなく、その過程が大切であることなど“研究とは何か”について、体験前にしっかりガイダンスを行いました」

論文を読み、時間をかけて
研究テーマを決定

 研究体験で8つの専門領域に触れた後、取り組みたい研究を教員の指導の下で個々に吟味し、夏休み前には自分の研究領域を決定します。

「まさに大学の研究室選びと同じです。領域が決まれば3~4名のグループで研究を進めます。夏休みには関連する論文を読み、科学界で何が解明されていないのかを調べます。担当教員に相談したり、連携大学の研究室に問い合わせて助言をもらったりして、1年ほどかけて研究テーマを探していきます」

 こうした過程のなか、研究テーマを決めることがいかに難しいかを、生徒たちは痛感すると言います。

「特に理論系の研究は、研究テーマとして成立することがわかった時点で、研究の半分が終わったようなものです。それくらい研究テーマの選定は難しく、これが本当の研究であることを生徒たちに伝えています」

 生徒たちは、研究テーマを決めるミッションを継続しながら、並行して各領域の一連の実験を行い、研究領域の理解を深めます。テーマが決まれば、放課後や土曜日の午後など自分たちで時間を作り、それぞれのペースで自由に研究を進めます。週1コマの授業は担当教員に助言を仰ぐ時間とし、連携大学や専門機関に助言を求めたり、研究設備を使わせてもらったりすることもあります。

 研究の進捗状況は、年に一度の『探究フェスティバル』で発表。研究が深まり成果が出た場合には、学術論文を書き上げます。

「学術界に年齢は関係ありません。本校のSAから、学会発表はもちろん、『サイエンス』『ネイチャー』など世界的に権威のある科学雑誌に掲載される論文を発表できるような生徒を育てたいですね」

プログラミングや横断型学習で
多角的に科学的思考を育成

『研究体験』だけでなく、SAならではの取り組みの一つとして、毎朝20分間授業の前に生徒たちはプログラミング学習『paizaラーニング』を実践しています。中1から第一線のプロが使う言語『Python』を取り入れ、動画を参照しながら個別にレベルアップを図ります。このほか、英語の授業で理系の専門用語の学習を織り交ぜるなど、横断型学習も拡張させつつあります。

「スポーツ科学や音響学などと関連させて、体育や音楽の授業とも連携していきたいと考えています。また、宿泊研修で『かずさアカデミアパーク』に行った際は、SAの生徒を『かずさDNA研究所』に連れて行きました。今後も国内・海外研修ともに、現地のサイエンス施設への訪問を組み込んでいく予定です。これからのSAにご期待ください」

8名の理科教員が専門性を発揮して導く
研究テーマを決める前に多彩な専門領域に触れる『研究体験』を実践
本格的な実験に生徒たちは夢中!

 本格的な研究テーマを決める前にSAの中1生全員が実践する『研究体験』を取材しました。植物遺伝学、発生学、動物行動学、音響工学、風力発電、食品化学、理論物理、地球環境生物学の8つの専門領域を、8名の理科教員が担当し、専門性の高い研究を体験します。

専門領域 風力発電専門領域 風力発電
飯野誠也先生による風力発電の研究では、3Dプリンターで風車を作り、電気を発生させる実験を実践。サボニウス型風車を例に、「都市における実用的な風車を考えてみよう」と問いかけながら研究体験を進めます。
専門領域 音響工学 スマートフォンの音や車の扉の開閉音、快適な音・不快な音など、企業が商品開発を行う際に音の研究が注目されています。夏休みにはまず中央⼤学の⾳響システム研究室を訪問し、最新の研究内容に触れます。専門領域 音響工学
スマートフォンの音や車の扉の開閉音、快適な音・不快な音など、企業が商品開発を行う際に音の研究が注目されています。夏休みにはまず中央⼤学の⾳響システム研究室を訪問し、最新の研究内容に触れます。
専門領域 地球環境生物学 鈴本浩一朗先生の研究体験のテーマは、「川の水と水槽の水の汚染度を調べて比べてみよう」。生徒たちは『パックテスト』で水の汚染度を調査・比較。水に含まれる成分の違いを、興味深く観察していました。専門領域 地球環境生物学
鈴本浩一朗先生の研究体験のテーマは、「川の水と水槽の水の汚染度を調べて比べてみよう」。生徒たちは『パックテスト』で水の汚染度を調査・比較。水に含まれる成分の違いを、興味深く観察していました。
専門領域 動物行動学 三部陽祐先生によるメダカの生態の研究体験。水草が光合成をして酸素が発生し、それをメダカが吸って排泄するという、ひとつの生態系が水槽内で完結するように再現していきます。専門領域 動物行動学
三部陽祐先生によるメダカの生態の研究体験。水草が光合成をして酸素が発生し、それをメダカが吸って排泄するという、ひとつの生態系が水槽内で完結するように再現していきます。
専門領域 発生学 ショウジョウバエの研究を行っている浅田聡先生の研究体験。赤い眼のハエと白い眼のハエの卵が入った試験管が用意され、2つを交雑させ、子どもがどうなるかを見ていきます。今回はコオロギの卵も顕微鏡で観察しました。専門領域 発生学
ショウジョウバエの研究を行っている浅田聡先生の研究体験。赤い眼のハエと白い眼のハエの卵が入った試験管が用意され、2つを交雑させ、子どもがどうなるかを見ていきます。今回はコオロギの卵も顕微鏡で観察しました。
専門領域 食品化学 「ラーメンのおいしさを化学しよう」がテーマの伊藤良太先生の研究体験。人気ラーメン店の冷凍麺を数種類用意し、断面を電子顕微鏡で観察。「食感が異なる麺の違いが断面からわかるかな?」との質問に、生徒は興味津々で観察。専門領域 食品化学
「ラーメンのおいしさを化学しよう」がテーマの伊藤良太先生の研究体験。人気ラーメン店の冷凍麺を数種類用意し、断面を電子顕微鏡で観察。「食感が異なる麺の違いが断面からわかるかな?」との質問に、生徒は興味津々で観察。
専門領域 理論物理 太箸良介先生の研究体験は「理論物理とは?」。既存の理論を使ってさまざまな現象を予測するのが理論物理。例えば相対性理論の式から身の回りの現象について仮説を立て、数値的なシミュレーションや数値解析などを用いて証明していきます。専門領域 理論物理
太箸良介先生の研究体験は「理論物理とは?」。既存の理論を使ってさまざまな現象を予測するのが理論物理。例えば相対性理論の式から身の回りの現象について仮説を立て、数値的なシミュレーションや数値解析などを用いて証明していきます。
生徒インタビュー
どの研究領域も
興味深くて面白いです
Mさん(中1)Mさん(中1)

 理科や実験が大好きです。理科は自分で想像し、実際に手を動かして発見することが大切だと思います。自分でやってみることでもっと楽しくなり、興味も深まります。この学校では、設備が整った研究室で毎週のように実験ができ、生徒主体で自由に進められるのでとても満足しています。

 将来の夢は獣医。今は動物⾏動学研究チームに所属して、充実した施設で自由に調査・実験ができるから楽しいですね。


自分のやりたい研究を追求したい
Oさん(中1)Oさん(中1)

 理系の中学校を志望していて、学校選びをしている時にSAがスタートすると知り、面白そうだなと思って本校に入学しました。『研究体験』で8つの専門領域の実験を体験していますが、思った以上に楽しく、正直言うと全部やってみたいです。将来は理系の知識を活かせる道に進みたいと考えていますが、まずはこの学校で自分のやりたい研究を追求したいです。SAではほかの中学校にはない体験ができるので、これからが楽しみです。

取り組みの狙い
大学や企業とも連携し“サイエンスの最先端”を提供
理科・情報科教諭・工学博士・SAコース・コース長/榎本裕介先生理科・情報科教諭・工学博士・SAコース・コース長/榎本裕介先生

 私自身、子どもの頃から理科が好きで、東京理科大学に進み、東京大学で研究員として研究に没頭していました。その後広尾学園で医進・サイエンスコースの立ち上げに携わり、10年間同コースを率いてきました。その経験とノウハウを活かして立ち上げたのが本校のSAです。

 各教員の専門領域における学術界や専門機関とのネットワークも活用し、大学レベルの研究を中学から行うことができます。

 現在学術界で活躍し始めているかつての教え子たちとも連携し、本物の研究や学習を通して、日々楽しく過ごしてもらいたいです。

進学通信 2023年9月号
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