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私立中高進学通信

2023年9月号

授業ルポ!

東京農業大学第三高等学校附属中学校

ダイズ栽培とヒラメ養殖で
『自ら学ぶ力』を培う

科学部の中2生たち。中1から部でヒラメの養殖を行ってきたため、中2の『ヒラメの養殖体験』でそのノウハウを活かし、クラスメートに給餌や掃除のアドバイスをしています。

科学部の中2生たち。中1から部でヒラメの養殖を行ってきたため、
中2の『ヒラメの養殖体験』でそのノウハウを活かし、
クラスメートに給餌や掃除のアドバイスをしています。

これまで実践してきた伝統の『実学教育』を体系化し、『STEAM教育』をベースにより深化した学びを推し進めている同校。学ぶ姿勢や探究力を培う体験型学習の取り組みを紹介します。

仮説を立て検証するサイクルを
生き物の育成学習で体験
中2学年主任/小関康太先生中2学年主任/小関康太先生

 東京農業大学の初代学長である横井時敬先生の言葉『人物を畑に還す』を建学の精神に掲げる同校。実験・体験・観察を重視する『実学教育』を教育目標の一つに掲げ、体験重視のSTEAM教育プログラムを実施しています。なかでも中1の『ダイズ栽培/醸造体験』と中2の『ヒラメの養殖体験』は、同校が長らく取り組んできた、伝統の体験学習です。

 中1のダイズ栽培は、専門家の指導のもと、校舎屋上の菜園に生徒がダイズの種を蒔き、グループで協力して栽培します。1グループで1つの畑を担当し、素足で畑に入って、草取りや土寄せなどの土壌整備をしながら大切に育てていきます。

「STEAM教育の一環として理科の授業と連動し、グループごとに仮説を立てます。そのうえで背丈や葉の枚数を測定したり、葉緑素計という機器を使って葉に含まれる葉緑素の量を調べたりと、多彩なアプローチでダイズの成長を記録しています。
 また、校舎の外に置いたポット(鉢)でもダイズを育て、異なる2つの環境で生育の違いを観察・分析・検証しています。こうした取り組みを通し、仮説検証のサイクルや、観察の大切さを学んでいきます」(中2学年主任/小関康太先生)

 夏には生徒たちの手でダイズを収穫し、9月の文化祭で栽培の成果を発表します。さらに12月からは、東京農業大学の研究室で、収穫したダイズを使った味噌の醸造を体験します。醸造の仕組みについて大学教授から学び、大学の食品加工センターにて自分たちの手で大豆を蒸して潰し、麹を混ぜて味噌を作ります。

「半年間熟成させた後、できあがった味噌を生徒全員が自宅に持ち帰り、味噌汁などにして家族と味わうことで、よりいっそうの達成感が得られるようです」

 中2では、『ヒラメの養殖体験』を実践。NPO法人日本養殖振興会の指導のもと、校舎内のオープンスペースに設置した2つの水槽で、各クラス1匹ずつヒラメの稚魚を育てます。4月から生徒が当番制で餌をやり、水槽をこまめに掃除して世話を続け、12月には体長30cmほどまで成長するそうです。成長したヒラメは、調理師免許をもつ講師が来校し、生徒の前で包丁を使ってさばき、生徒はしゃぶしゃぶにして実食します。

「育てたヒラメを食すことで、生徒たちは命の大切さと、店頭に並ぶ食品がどのような過程を経て食卓に並ぶのかを理解し、食の問題を考えるきっかけにもなっています。
 ヒラメの成長過程を記録して分析、生態調査も行い、データを整理する力や論理的に考える力も養います」

実学教育の集大成
『体験型修学旅行』

 中3では、こうした実学重視の体験型学習の集大成として、『体験型修学旅行』が実施されます。北海道を訪れ、東京農業大学北海道オホーツクキャンパスで講義を受けるほか、知床半島で鮭の遡上を観察したり、キタキツネやヒグマなどの生態を観察する『ナイトネイチャーウォッチング』に参加したり、生徒一人ひとりが1匹の新巻鮭をつくる水産加工に挑戦したりと、特別な体験が盛り込まれています。

「修学旅行の前後には、事前・事後学習や体験レポートの作成、プレゼンテーションなどを行い、個々の興味・関心を学びへと広げる取り組みを行っています。
 このほか、さきたま古墳や明治製菓の工場などを訪れる『フィールドラーニング』、狂言や講談などの古典芸能や劇団四季のミュージカル鑑賞なども実施していますが、いずれにも事前・事後学習やレポート作成、プレゼンテーションが付随します。ダイズ栽培やヒラメの養殖で身につけた観察力や検証力が発揮できる場を提供し、『自ら学ぶ力』を身につけさせていきたいと考えています」

現在、ダイズを育成中の中1生に聞きました
観察・分析・検証の大切さを学ぶ
『ダイズ栽培/醸造体験』

 ダイズ栽培に挑戦中の中1生を代表して、科学部に所属するMさんとGさんに話を聞きました。

 理科の実験が大好きなMさん。ダイズ栽培などの体験学習に魅力を感じて同校への入学を決めたそうです。

「屋上庭園に植えたダイズの種は今、発芽して2cmほどの長さに伸びています。見に行くたびに『どれくらい成長したのだろう』とワクワクしています。私たちのグループはダイズを育てながら、葉緑素の量や葉の数と、太陽光の強さとの関係について調べています。日差しを浴びれば浴びるほどダイズが育つことが、数値で実証できると思います。
 収穫した後、醸造体験で味噌づくりをするのも今から楽しみです」

 Gさんは、大好きな自然に触れる機会が多いことから、同校に入学したそうです。

「校舎の外に置いたポットに植えたダイズの葉緑素の量も、葉緑素計で測定しています。屋上庭園のダイズと比べて、今はまだ大きな差は出ていませんが、日光を多く浴びる屋上庭園のダイズのほうが早く成長すると考えています。
 ダイズだけでなく、校舎の近くに生えているシダ植物やコケの成長もタブレット端末で撮影し観察しています。観察を積み重ねて、変化を感じ取ることが何より楽しいです」

左からGさん(中1)、Mさん(中1)。2人とも科学部に所属しています。左からGさん(中1)、Mさん(中1)。2人とも科学部に所属しています。
屋上菜園で雑草を取り除くMさんとGさん。ダイズ栽培では、食べ物が食卓に届くまでの苦労も学ぶことができます。屋上菜園で雑草を取り除くMさんとGさん。ダイズ栽培では、食べ物が食卓に届くまでの苦労も学ぶことができます。
現在の中2生が東京農業大学の食品加工センターから持ち帰り、熟成させた味噌。中2生はパックに詰めて自宅に持ち帰りました。現在の中2生が東京農業大学の食品加工センターから持ち帰り、熟成させた味噌。中2生はパックに詰めて自宅に持ち帰りました。
ヒラメ養殖で活躍中の科学部中2生に聞きました
水産業に触れ、命の尊さも知る
『ヒラメの養殖体験』

 同校の科学部は、3Dプリンター・3Dスキャナーを使った模型作成やVR体験などの活動に加えて、クラブ活動の一環として中1の1年間で一足先にヒラメの養殖を行います。その経験は中2の『ヒラメの養殖体験』で活かされ、科学部所属の中2生が中心となって、ほかの生徒たちに養殖の注意点を指導したり、iPadでマニュアルを作成して生徒間で共有したりしています。

 ヒラメの養殖には海水が欠かせず、週2回は海水を作って取り換える作業が必要。水槽の近くで騒いだり走り回ったりする行為は、ヒラメにストレスを与えるので厳禁など、6名の生徒たちは成育上のさまざまな注意事項を教えてくれました。

「水槽の中で泳ぐヒラメを手で触るのは厳禁」とH.Y.さん。手で触ると、人の体温でヒラメが火傷をしてしまうそうです。「こうした知識も部の先輩から教わりながら、中1の1年間をかけて養殖を学んでいきました」(M.Y.さん)。また、コロナ禍ゆえの注意点もありました。

「アルコールで消毒した手を水槽に入れることを禁止事項としました。アルコールが少しでも水槽に混じると、ヒラメに悪影響を与えてしまいます」とM.H.さんは表情を引き締めます。

 いずれも守らないとヒラメが命を落とすかもしれません。責任感やチームワークが自然と芽生え、生き物や食に対する考え方も変化したと言います。

「ヒラメが餌を食べに水面に上がってくる姿が可愛くて、大切に育てなければという思いが強まります」(S.N.さん)

「『養殖はこんなに大変なんだ』と体験して初めてわかり、多くの人たちの苦労によって毎日の食卓が支えられていることに気づきました」(I.R.さん)

「生き物への興味が以前にも増して、将来は生物の研究など、生き物に携わる職業に就きたいと思うようになりました」(M.M.さん)

左からM.Y.さん、S.N.さん、H.Y.さん、M.M.さん、M.H.さん、I.R.さん。ヒラメに愛情を注ぐ、科学部の中2生たちです。左からM.Y.さん、S.N.さん、H.Y.さん、M.M.さん、M.H.さん、I.R.さん。ヒラメに愛情を注ぐ、科学部の中2生たちです。
水槽の中で元気に泳ぐヒラメ。底に見えるのはポンプです。ポンプにヒラメを近づけると、吸い寄せられてけがの危険があります。最悪の場合は死んでしまうので、極力近づけないようにしています。水槽の中で元気に泳ぐヒラメ。底に見えるのはポンプです。ポンプにヒラメを近づけると、吸い寄せられてけがの危険があります。最悪の場合は死んでしまうので、極力近づけないようにしています。
科学部の部員たちがiPadで作成したヒラメの養殖マニュアル。『清掃の仕方』では、掃除の手順が写真入りでていねいに解説されています。科学部の部員たちがiPadで作成したヒラメの養殖マニュアル。『清掃の仕方』では、掃除の手順が写真入りでていねいに解説されています。
マニュアルの『海水の作り方』。海水をつくるための塩は、熱帯魚などが売られているペットショップで購入。マニュアルの『海水の作り方』。海水をつくるための塩は、熱帯魚などが売られているペットショップで購入。

(この記事は『私立中高進学通信2023年9月号』に掲載しました。)

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〒355-0005 埼玉県東松山市松山1400-1
TEL:0493-24-4611

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