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私立中高進学通信

2023年9月号

私学だからできるオリジナル教育

鴎友学園女子中学校

創立以来続く伝統
全人教育としての『園芸』

校内に広い園芸実習園をもつ鷗友学園女子。学園創立以来、“合科”をコンセプトとする総合学習としての『園芸』を通じて、幅広い学びの場を提示しています。
伝統ある『園芸』の授業は、校舎の一角に設けられた園芸実習園で行います。生徒一人ひとりに担当区画が割り振られ、教員のていねいな指導のもと責任をもって野菜や花を育てます。

伝統ある『園芸』の授業は、校舎の一角に設けられた園芸実習園で行います。
生徒一人ひとりに担当区画が割り振られ、教員のていねいな指導のもと責任をもって野菜や花を育てます。

『園芸』は精神的発達を
促す総合学習

 キリスト教の精神を基盤に『慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造』を校訓とした心の教育を大切にする同校は、1935年の創立以来、校内にある園芸実習園を使用し、野菜を植え、育て、家庭で味わうことまでを体験する『園芸』の授業を行っています。博士(農学)でもある園芸科教諭・金井一成先生は、園芸の役割をこう説明します。

「本校は複数の教科を横断する“合科”と呼ぶ総合学習的な考えを大切にしてきました。園芸は作物の育成だけでなく、植物の構造を学ぶ理科と野菜を食する家庭科に直結しています。
 自然と生き、自然に生かされている人間の営み。その根源に結びつく、生徒の精神的な発達に必要不可欠なカリキュラムを担っています」

 生きとし生けるものを題材とする園芸からは、ほかの教科とは異なる学びが得られることも重要なポイントです。

「野菜づくりは世話も収穫時期も、今やらねばならないことが決まっています。理科の実験や座学の教科と違い、全ての作業が人間の都合で延期・中止はできません。害虫の発生、天候の不順など常に予想外の事態が起こり、瞬時の判断とベストな対処が必要になり、責任感も芽生えます。
 それは生徒が将来社会に出て、最も必要となる力です。園芸は、自らの体験を通してそれらを自然に学べる唯一の教科だと考えます」

世界的な社会問題を
考えるきっかけにも

 園芸は中1で週2時間、高1で週1時間の必修科目です。中1はラディッシュ、インゲン、ブロッコリー、ホウレンソウなどを育て、高1ではラディッシュ、サニーレタス、ダイコンのほかオステオスペルマムの花づくりも行います。

「都会で暮らす生徒たちは、最初は見たこともない虫の発生に驚き、大騒ぎになります。しかし、授業を通じて農業の苦労を体験すると、農薬使用の是非や見映えの悪い野菜が廃棄されるフードロスの現状、国の食料自給率問題など、社会問題にも非常に意識的になり、自分なりの考えをもつようになります。生徒たちが精神面で成長を遂げていく様子をありありと感じています」

 収穫物を家庭に持ち帰って実際に食すことも、金井先生は重視しています。

「種を蒔いて収穫して終わりではなく、調理して食べるところまでが園芸だと考えます。野菜を育てる達成感、命をいただくことへの感謝はもちろん、スーパーで買う野菜と自然に育った野菜との味の違いに驚き、純粋に自然の中で土いじりをする楽しさを知る。園芸の授業をきっかけとして、大学進学先に農業関連を選ぶ生徒もいます。今後も生徒の将来に結びつく学びを提供していきたいです」

授業レポート
中1生が初めて育てた
ラディッシュを収穫

 4月に種蒔きをしたラディッシュは、5月中旬に早くも収穫時期を迎えます。この日はまず、金井先生から「一緒に植えたインゲンとラディッシュの葉の違いを観察しよう」「雑草を抜こう」「虫がいても怖がらないこと」「虫にかじられていても、全て収穫して持ち帰ること」などの諸注意があり、それから実習園に出て、全員で一斉に土の中からラディッシュを掘り出しました。

「虫がいる!」「見て、こんなに大きいよ」「実が割れてた……」など、仲間同士で収穫物を見せ合い、にぎやかに声をかけ合います。

 各自が収穫したラディッシュはていねいに水洗いをし、塩をかけて生のまま試食。「辛い!」「味が濃い!」とさまざまな感想がありましたが、どの生徒も、自分が初めて育てた野菜が立派に育ったことが、とてもうれしそうでした。

収穫の前に、金井先生からラディッシュの採り方で気をつける点や、収穫した後の処理の仕方、家に帰ってからの調理法などが説明されます。収穫の前に、金井先生からラディッシュの採り方で気をつける点や、収穫した後の処理の仕方、家に帰ってからの調理法などが説明されます。
4月に種を蒔いたそれぞれの区画の前でスタンバイ。1株ずつていねいに掘り出していきます。種を密集して蒔くと育った実同士がぶつかり、実が割れてしまうことなど、栽培時の注意事項を、改めて確認します。4月に種を蒔いたそれぞれの区画の前でスタンバイ。1株ずつていねいに掘り出していきます。種を密集して蒔くと育った実同士がぶつかり、実が割れてしまうことなど、栽培時の注意事項を、改めて確認します。
一人30~40株ほどを収穫。「こんなにたくさん採れるんだね」「食べきれるかな?」と感心しながらも、楽しそうに話す生徒たちの姿を、金井先生も笑顔で見守っていました。一人30~40株ほどを収穫。「こんなにたくさん採れるんだね」「食べきれるかな?」と感心しながらも、楽しそうに話す生徒たちの姿を、金井先生も笑顔で見守っていました。
収穫したラディッシュは、家に持ち帰れるように水で洗います。土を洗い落とすと、見事な赤い実が顔を出します。収穫が遅れてしまうと、実が育ちすぎて割れ方が大きくなってしまうことも実感します。収穫したラディッシュは、家に持ち帰れるように水で洗います。土を洗い落とすと、見事な赤い実が顔を出します。収穫が遅れてしまうと、実が育ちすぎて割れ方が大きくなってしまうことも実感します。
土を落として水洗いした自分のラディッシュを「採れたては、スーパーで売っているものと味が違うから、塩をかけて試食してみよう」と金井先生。恐る恐る丸かじりした生徒たちは、「こんなに辛いの?」と驚いていました。土を落として水洗いした自分のラディッシュを「採れたては、スーパーで売っているものと味が違うから、塩をかけて試食してみよう」と金井先生。恐る恐る丸かじりした生徒たちは、「こんなに辛いの?」と驚いていました。
生徒インタビュー
『園芸』は自然と触れ合える
貴重な体験
左からYさん、Mさん。左からYさん、Mさん。

「園芸の授業は、とても楽しいです。新鮮な野菜を食べられるチャンスはなかなかないので、スーパーで買うラディッシュより辛くてびっくりしました」(Yさん)

「園芸の授業で貴重な経験ができると思い、鷗友を受験しました。野菜の栽培や収穫が楽しくて、苦手な虫も気にならなくなりました」(Mさん)


左からMさん、Fさん。左からMさん、Fさん。

「大好きな自然に触れられる園芸の授業があるから、この学校を選びました。自分で育てたラディッシュはとてもおいしかったです」(Mさん)

「入学前から園芸の授業に興味がありました。授業は想像以上に楽しいです。野菜の栽培だけでなく、栄養素や料理法も学べる点がいいと思います」(Fさん)

自分だけの
オリジナルテキストで学ぶ
金井一成先生/園芸科金井一成先生/園芸科

『園芸』の授業は、同校制作によるオリジナルテキストで行います。野菜を栽培する実習のほか、校内の植物の観察や採取、農業についての講義など内容も多彩です。

「中1のテキストは、授業で作る押し花を表紙に貼るのが伝統です。自分だけのテキストをデザインすることで、授業により愛着が湧きます」(金井先生)

中1『園芸』のテキスト。野菜の栽培方法を、細かく学ぶことができます。表紙にデザインする押し花づくりも、生徒各自がこだわりをもって楽しく取り組みます。

中1『園芸』のテキスト。野菜の栽培方法を、細かく学ぶことができます。
表紙にデザインする押し花づくりも、生徒各自がこだわりをもって楽しく取り組みます。

進学通信 2023年9月号
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