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私立中高進学通信

2022年12月号

実験/実習大好き!

桐朋女子中学校

高校のレベルを超えた実験で
論理的思考力を鍛えていく

『本物にふれる教育』を大切にしている同校では、多彩な実験・実習プログラムが用意されています。そのひとつが、化学を選択している高3生に向けた『化学実験実習』です。
ほうれん草から抽出された緑色の液体に、「きれい!」と、生徒たちは目を輝かせます。

ほうれん草から抽出された緑色の液体に、「きれい!」と、生徒たちは目を輝かせます。

参加した生徒の多くが
薬学部や化学科をめざす

 希望者を対象とする『化学実験実習』は年2回、春と夏にそれぞれ3日間かけて実施されます。取材したのは、夏の実習の2日目。8名が参加し、有機化合物の実験である「葉緑体中の光合成色素の抽出と分離」に2人1組で取り組んでいました。

 植物は光合成を行うために、太陽エネルギーを吸収する一群の色素をもっています。今回の実験実習では、ほうれん草の中に含まれるこれらの光合成色素を、本体から抽出・分離することで、どのような化学物質であるかを見極めます。そして実習の最後には実験ノートに分析結果と考察をまとめ、先生に提出。学んだことを言語化して、真の理解につなげていきます。

「1日目の実験実習では、ジエチルエーテル溶液などを用いた『抽出法による有機化合物の分離と精製』に取り組みました。参加している生徒の多くが、大学の薬学部や化学科をめざしています。ここでの体験が『大学での実験に大いに活かされています』と語る卒業生の声を聞くたびに、私はうれしく感じています。
 本校では普段の化学の授業でも数多くの実験を行い、生徒の論理的思考力を鍛えています」(理科/長田学先生)

光合成色素を抽出・分離して、どんな物質か見極める!(高3・化学実験実習)
1

 細かく切ったほうれん草の葉を乳鉢に入れ、メタノールを加えてよくつぶします。それをガーゼにあけ、メタノール抽出液をこしとります。


2

 こしとったメタノール抽出液15mLを、分液漏斗に入れます。


3

 ②にジエチルエーテル15mLを加え、次に水を加えると、全体が2層に分離するので取り出します。うまく分離せず、悪戦苦闘する姿も。


4

 分離したエーテル層10mLを分液漏斗に移し、水酸化カリウムメタノール溶液5mLを静かに加えると2つの層の間に褐色層が出現。


5

 ④をエーテル層とメタノール層に分離させたら、エーテル層を蒸発皿にあけて、ドライヤーで蒸発させます。


6

 ⑤に有機溶剤であるヘキサンとメタノールを加えて、分液漏斗に注ぎ、よく振り混ぜて静置します。


7

 抽出されたクロロフィルやカロテン、キサントフィルなど、光合成色素の色の違いを確認します。


8

 ペーパークロマト用ろ紙を、展開容器に垂直に入れます。染み込んだ光合成要素の輪かくや中心を記録します。


9

 分光光度計で抽出液の吸収スペクトルを測定し、その結果から、含まれる色素の種類を同定します。


10

 同定した結果を実験ノートに書き取り、分析・考察していきます。

普段の授業では得られない
ワクワクやドキドキを感じました
高3/Sさん高3/Sさん

 春の『化学実験実習』で貴重な体験を得られたので、今回も参加してみました。もともと実験が大好きなんです。この実習で基本的な実験器具の使い方を覚えられたのはもちろん、自分の手を動かすことで、座学では得られないワクワクやドキドキを一つひとつに感じていました。実験内容は私にとって難しいものでしたが「目の前で起きている現象は、どのような反応なのだろう?」「この結果は何を示しているのだろう?」と絶えず頭を働かせることで、多角的な思考力が身についたように感じています。ここでの学びを糧にして、理工系の学部に進学したいと考えています。

実験の手順や器具の扱いを
本格的な実験から体得する
理科/長田学先生理科/長田学先生

 実験に関しては、教員が生徒に手取り足取り教えるものではないと私は考えています。言葉では伝えきれない感覚的なものが数多くあるからです。生徒が実際に自分でやってみて、「こうすればいいんだ」と気づくことで、何が大切かを学べると思います。普段の化学の授業の際は、時間が限られているので教員が準備をしていますが、3日間をかけて行う『化学実験実習』では、生徒が一から準備をするため、実験の基本動作が体得できます。この『化学実験実習』を通してチャレンジ精神を養い、授業で学んだ知識が高度な実験に役立つことを実感してほしいと思います。

(この記事は『私立中高進学通信2022年12月号』に掲載しました。)

進学通信 2022年12月号
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