私立中高進学通信
2022年9月号
中学入試のポイント
桐朋女子中学校
未知のことを「学ぶ力」
「学ぼうとする意欲」を重視
「本校の教育は入試から始まる」という先生方の思いのもと、口頭試問や英語1教科型など、さまざまな入試を実施する同校。どの入試でも、結果だけではなく答えに至った経緯を大切にしています。
受験生の学びを
深める「口頭試問」
生徒一人ひとりが理想の未来を切り拓けるように、論理的思考力を鍛え、過程を重視する学びを実践する同校。学校生活では、思考を深めて的確に表現する「ことばの力」に重点をおき、一人ひとりが興味・関心に沿って行動できるように、生徒とじっくり向き合って対話することを大切にしています。学習面では、結果だけでなく、そこに至る過程に寄り添ってきめ細くサポートしています。
入試においても同様に、受験生との対話を重視し、結果だけではなく答えに至った過程も評価します。そして、受験生がそれぞれの長所や個性を発揮できるように、形式が異なる4種類の入試を実施しています。
同校の入試の特徴を、副校長の岩田堅太郎先生・外国語科教諭の小野田かおり先生・数学科教諭で広報委員会主任の富樫高人先生に伺いました。
「本校の入試で特徴的なのは、A入試で行う『口頭試問』です。多くの受験生にとって未知であろうことがらをテーマにして、まずは準備室で授業を行います。テーマについては基本的なところからわかりやすく説明するので、知識の有無は関係ありません。むしろ教員は、受験生が新しく出会う知識にワクワクしてほしいという気持ちで授業を行っています。
2022年度のテーマは『消滅危機言語』でした。
受験生はメモを取りながら授業を聞き、資料を読み、5問の課題に取り組みます。学んだことをどのくらい理解できたか、自分の考えなどを記述する課題です」(岩田先生)
準備室で約40分の授業と課題を終えたら、1人ずつ試問室へ移動します。試問室では2人の教員が試問官となり、準備室で取り組んだ課題の答えと、答えに至った過程を確認し、さらに思考を掘り下げる質問などをします。
「試問室では、受験生は自分の答えやメモを確認しながら、試問官の質問に答えます。話すことに苦手意識があっても、心配いりません。試問官は受験生が瞬時にハキハキと答えることではなく、丹念に自分の考えを振り返る姿勢を重視しています。試問官と話してから、答えを訂正することもできます。授業を正しく理解することは大切ですが、受験生がしっかりと考える過程や、学ぼうとする姿勢も評価しているのです。
『消滅危機言語』というと難しく感じてしまうかもしれませんが、受験生は授業に耳を傾け、興味をもって課題に取り組んでおり、試験後には『楽しかった!』という声も多く聞かれました。入試で本校の学びに触れたことが、受験生の今後の学びの入り口になったり、思考を深めたりするきっかけになればうれしいですし、このようなことをめざして入試問題を作成しています」(小野田先生)
A入試では口頭試問のほかに、国語と算数の各45分の筆記試験があります。
「いずれも小学校で学習する基本的なことがらを問う問題が多いです。受験生自身の考えや答えに至る過程を書く問題もあります。普段から学校で学んだり、本で読んだり、ニュースで見たりしたことに自分の意見をもち、それを文章化する習慣を確立しておくと、取り組みやすいと思います」(岩田先生)
考える過程を大切にして評価する
口頭試問を取り入れた入試形式の歴史は古く、約55年前から実施しているそうです。
「本校は『受験生がどのように考えているか知りたい』『一人ひとりに向き合いたい』という思いで入試に口頭試問を導入しています。昨今、大学入試改革により、思考力や判断力、表現力を問う入試形式が注目されています。それらについて本校の生徒からは、『口頭試問に似ている』『考える過程を大事にして、思考を深めながら表現する学びが大学入試にも役立つ』という感想を聞きます。『本校の教育は入試から始まる』という点を大切にしてきましたが、先進的な取り組みだったと感じています。
本校には『A入試』と英語1教科型の『Creative English入試』、公立一貫校の適性検査にも通じる『論理的思考力&発想力入試』、2科(国語・算数)または4科(国語・算数・理科・社会)を選択する『B入試』があります。いずれの試験にも、口頭試問で問われる『粘り強く取り組む力』や『学ぼうとする意欲』を評価する要素が込められています。ぜひ過去問題に触れてみてください」(富樫先生)
(この記事は『私立中高進学通信2022年9月号』に掲載しました。)
桐朋女子中学校
〒182-8510 東京都調布市若葉町1-41-1
TEL:03-3300-2111
進学通信掲載情報
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