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私立中高進学通信

2022年12月号

授業ルポ!

聖徳学園中学校

地域課題解決のための
発想豊かな手帳づくり

独自のSTEAM教育
中2の『STEAM』の授業で行われたオンライン工場見学。愛知県の伊藤手帳株式会社へ訪れた鶴岡先生の呼びかけに、生徒たちは元気よく手を振りながら挨拶します。

中2の『STEAM』の授業で行われたオンライン工場見学。
愛知県の伊藤手帳株式会社へ訪れた鶴岡先生の呼びかけに、生徒たちは元気よく手を振りながら挨拶します。

STEAM教育の一環として、企業とコラボして生徒がオリジナル手帳を開発、翌年に取り組む「地域貢献プロジェクト」で活用します。初回の授業では、愛知県にあるメーカー本社とオンラインでつなぎ、社長インタビューも行いました。

社会と連携しながら創造的な
アウトプットを行う力を育成

 生徒の主体性を大切にし、正解のない問いにチャレンジできる力を育む聖徳学園。探究活動やアクティブラーニングの学びでも歴史ある同校では、2017年度より、独自のSTEAM教育を行っています。

 同校がめざすのは、理系教科に特化せず、教科横断型の課題解決を中心とした学びです。中学3年間は『STEAM』の授業、高1・高2では『SDGs』の授業を週1回行い、多様な分野にわたる課題解決学習を体験し、地域や企業とコラボレーションしながら、実際にさまざまなプロジェクトを企画・実行しています。

 今回は中2生が手帳メーカーである伊藤手帳株式会社とコラボレーションをして、オリジナル手帳を開発するプロジェクトを取材しました。

 現中2生は、『STEAM』の授業を通じて、中1ではICTの基本操作やネットリテラシーを学び、グループでオリジナル映画の制作を実施、中2になると、社会に貢献するサービスの企画立案にチャレンジし、ビジネスコンテストに参加するなど、多様な学びを行ってきました。

 中3では、同校のある武蔵野市に貢献できることを企画し、実行する『地域貢献プロジェクト』が待っています。この中3でのプロジェクトを成功させるために、「地域課題を解決するための行動計画手帳」を、中2の2学期に製作するのです。

 課題解決に取り組む際に、どんな手帳があれば活動しやすいのかをグループごとに考え、企画やデザインを行い、成果発表会を開催。優勝したグループの企画・デザインした手帳を製品化します。成果発表会には、審査委員として伊藤手帳の伊藤亮仁社長や同社広報担当の神谷敦子さんが出席する予定です。

社会と自分とのつながりを
強く意識した発想を
情報システムセンター部長/鶴岡裕一郎先生情報システムセンター部長/鶴岡裕一郎先生

 手帳づくりに向け、9月に行われたオンライン工場見学を取材しました。愛知県小牧市にある伊藤手帳 小牧工場に同校情報システムセンター部長の鶴岡裕一郎先生が訪れ、教室の生徒たちとオンラインでつなぎます。鶴岡先生とともにプロジェクターに映し出された伊藤社長が、生徒たちに次のように語りかけました。

「みなさん、おはようございます。みなさんとお会いできることを、とても楽しみにしていました。
 愛知県にはトヨタ自動車を中心として、ものづくりの企業がたくさん集まっています。みなさんが使っているスマートフォンやタブレットなども、必ず人の手によって作られています。そこで、今日は私たちの工場をお見せしたいと思います。どのような人がどのような作業をして手帳がつくられているのかを知ってもらえたらうれしいです」

 オンラインとは別に、同校には同社広報担当の神谷敦子さんが訪れています。伊藤社長の挨拶の後に、神谷さんが手帳の仕組みについてレクチャーしてくれました。

「手帳づくりは、大きなサイズの紙に、日付などを印刷するところからはじまり、さまざまな工程を経て完成します。
 製本には機械を使いますが、機械のまわりには必ず人がいて、ミスがないか、不良品が出ていないかをチェックしています。つくるのは機械ですが、管理するのは人なのです」

 神谷さんの説明の後、小牧工場で手帳を製造する工程を紹介した動画が上映されました。この動画は、同校のために伊藤社長が製作したものです。続いて質疑応答が行われ、生徒たちは伊藤社長に疑問点を質問しました。

「一冊の手帳をつくるのにどれくらいのコストがかかりますか?」「社員の方が手でつくっていた頃と比べて時間はどれくらい効率化されたのですか?」「手帳をつくる上で環境に配慮している点は?」といった質問が次々に出ました。その答えを聞いた生徒は、感謝の言葉を述べた後、「ものづくりには人と機械が共存することが大切であることがよくわかり、とても勉強になりました」と語りました。

 鶴岡先生はこのプログラムのねらいを次のように述べます。

「探究活動やSTEAM教育を通して、生徒には自分たちのやりたいことをわかりやすく表現し、行動して実現できる力を身につけてほしいと願っています。そのためには、ものづくりの経験は、大いに役立つと考えています。
 今回の取り組みでは、アナログとデジタルの両方のメリットを体感し、いずれにも縛られない発想力を身につけてほしい。同時に、企業とのコラボレーションで、コスト意識や地域貢献について考えるきっかけを掴み、社会と自分とのつながりを意識して発想できる力を身につけてほしいと思います」

Step 1手帳メーカーの社長とオンラインで対面
Step 2紙を折って手帳の製造工程を模擬体験

 伊藤手帳・広報担当の神谷さんが、生徒たちに日付などが印刷された手帳の元となる紙を配り、手帳の仕組みを解説。製造工程を知ることは、創造性やモノづくりへの発想を育てる一助となります。

Step 3工場の製造工程を動画で見学

 工場で行われる手帳の製造工程を、ていねいに解説した動画を視聴。写真は断裁の工程。印刷された紙を製本できるサイズに断裁します。たった1ミリの断裁のズレでも、その後の工程に不具合が発生することを知ります。

Step 4手帳製作について、社長に直接質問!

 オンラインで生徒たちは伊藤社長にインタビュー。伊藤社長はていねいかつ明確に、疑問点について説明してくれました。伊藤社長は「みなさんのこれからの学びのパートナーとなるような手帳を考えてほしいと思います」と激励しました。

取り組みの狙い
“余白”には、これまで気づけなかった世界がある
校長/伊藤正徳先生校長/伊藤正徳先生

 今回のオンライン工場見学には同校校長の伊藤正徳先生も参加し、生徒と伊藤手帳の方々との橋渡しをされていました。授業後にこの取り組みについて伺いました。

「本校はICT教育に力を入れていますが、生徒にはコンピュータは道具であり、作っているのは人間であることを知ってほしいと思っています。それを理解できてこそ、AIに使われる人ではなく、AIを使いこなせる人になれるからです。
 手帳にはメモを書いたり、いたずら書きをしたりする“余白”があります。ここが、カットされた情報を得られるインターネットとは異なる点です。この“余白”に生徒がこれまで気づけなかった世界があると私は考えています。頭がやわらかい中学時代にこの余白を大切にしてほしいと思います。
 デジタルだけで世界が動いているわけではありません。ものづくりの大切さを実感しながら、手帳を企画・デザインしてほしいと思います」


アイデア実現の難しさと達成感を体感してほしい
伊藤手帳株式会社 広報担当/神谷敦子さん伊藤手帳株式会社 広報担当/神谷敦子さん

 今回、同校とコラボレーションを行う伊藤手帳は、SDGsの達成に向けた取り組みを行っており、その一環として愛知大学と連携し、キャリア養成や就活を意識したオリジナル手帳の開発もしています。同社広報担当の神谷さんは、今回の同校とのコラボについて、次のように語りました。

「生徒さんは生まれた時からスマホがあった世代です。そんな生徒さんに手帳のしくみを理解していただいたうえで、どのような手帳なら地域貢献の行動計画を着実に実行していくことができるかを考えてほしいと思います。頭の中にあるアイデアをアウトプットして具現化することは難しいことです。しかし、その難しさを感じてもらいながら、難しさの先にある達成感の素晴らしさを知ってほしいですね」

生徒インタビュー
計画したことを行動に移せたか
確認できるページを設けたい
写真左からKさん、Tさん写真左からKさん、Tさん

「地域のために何ができるか、思いついたアイデアを大きな文字でメモできるスペースをつくって、みんなで見せ合い、共有できる手帳にしたいと思っています。また、あとで振り返りができるように、日記を書けるコーナーもつくりたいです」(Kさん/中2)

「予習や復習といった学習計画とともに、地域貢献のための行動計画が立てやすい手帳ができたらと考えています。そのために1日のスケジュールが一目でわかり、計画したことを行動に移せたかどうかを確認できるページを設けたいと思います」(Tさん/中2)

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