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私立中高進学通信

2021年1月号

校長が語る 自立へのプロセス

本郷中学校

「与え過ぎず、生徒が自ら動くために
アプローチの仕方を意識する」

佐久間 昭浩(さくま・あきひろ)校長先生

佐久間 昭浩(さくま・あきひろ)校長先生
1965年東京都生まれ、1989年上智大学卒業。1990年4月本郷中学校・高等学校教諭として着任。教科主任、学年主任などを経て2008年本郷中学校教頭、2013年本郷中学校・高等学校入試広報部長を歴任。2016年度より本郷中学校・高等学校校長に就任。

完全中高一貫校として
自立した人材を育てていく
自立のための3つのポイント
  1. “与え過ぎない”
  2. 切磋琢磨する仕組みづくり
  3. 自立を育む先輩・後輩のつながり

 2021年度入試から高校の募集を停止し、完全中高一貫校となる同校。これまでも中学時代から主体的な学びに力を入れてきましたが、今後は全生徒を6年間の長いスパンで育てていくことになります。

「本校が掲げる3つの教育方針『文武両道』『自学自習』『生活習慣の確立』を実践するために、一番意識しているのは生徒の自立です」

 と、佐久間昭浩校長先生は話します。学業については『自学自習』の方針通り、今、何を勉強するかを生徒自身が考え、計画・行動することが重要だとして、教員が手取り足取り指導する「面倒見の良さ」はうたっていないと言い切ります。

「かつては始業時間前や放課後に過度な補習をしていた時期もあります。しかし、ある時から教員の中で、『果たして生徒たちは自分で学ぼうとする努力をしているのか。与えれば与えるほど、誰かに頼る人間になってしまうのではないか』という疑問が大きくなっていったのです。
 以前は放課後に、英検の一次試験の対策の講習をしていました。しかし次第に生徒たちは学校が準備してくれる対策授業を待つようになっていると気づきました。本来なら試験前に自分で計画して勉強すべきものなのに、これが与えすぎた結果かと猛省しました」

 それ以来、過度に面倒をみるのではなく、生徒が自ら動くようになるにはどのようなアプローチが適切かを、一番に意識する教育へと変えていったのです。

切磋琢磨する仕組みと
縦のつながりを大事に
中2生が中1生を指導する数学の合同授業。年4回ほど行い、先輩から後輩へ数学の学習の仕方をアドバイスします。「中間テストでの反省と期末テストへ向けて」などテーマを設けて行われています。中2生が中1生を指導する数学の合同授業。年4回ほど行い、先輩から後輩へ数学の学習の仕方をアドバイスします。「中間テストでの反省と期末テストへ向けて」などテーマを設けて行われています。

 同校の自立と自学自習を促す象徴的な取り組みが、中1から高2までが必修として行う、『本数検(本郷数学基礎学力検定試験)』です。教員が作成する同校独自の数学の試験で、長期休暇の後に、年3回実施されます。得点によって級や段が認定され、成績優秀者や学力伸長者は表彰もされます。級や段の取得者は掲示されるため、より上のレベルをめざすチャレンジ精神や学年の枠を超えた競争意識が自ずと生まれ、多くの生徒が『自学自習』を実践するようになっていくのです。同様に英単語の定着を確認する『本単検(本郷英単語学力検定試験)』も実施しています。

 また、先輩や後輩との縦のつながりも自立へのアプローチとして重要視しています。「先輩のようになりたい」と憧れる存在が身近にいるだけで、自分もがんばろうという意識が高まり、教員の指示がなくても自ら行動できるようになるからです。

 例えば、中2生が中1生に数学の学習についてアドバイスする『合同授業』を毎年実施しています。ここでは数学の勉強法だけでなく、定期考査の取り組み方や部活動との両立方法などについてもノウハウが伝えられているそうです。

「先輩からの言葉は、教員や保護者からの言葉より、はるかに説得力があるのです」

 と佐久間校長は言います。

いま何をするべきか
自分で決めて行動する力を
ラグビー部の練習風景。部活動が盛んなのは同校の特徴の一つ。中1では全生徒が部活動に参加する決まりです。いずれの部活動も、日々の練習で先輩・後輩の絆を強めています。ラグビー部の練習風景。部活動が盛んなのは同校の特徴の一つ。中1では全生徒が部活動に参加する決まりです。いずれの部活動も、日々の練習で先輩・後輩の絆を強めています。

 部活動も縦のつながりを大いに実感できる場です。同校では中1の全生徒を部活動に参加させる方針で、中2以降もほぼ全員が継続し、高3でも8割以上の参加率を誇っています。

「受験勉強の本腰を入れるべき高3の秋になっても、最後の大会のために部活動の練習を続けている生徒もいます。これは、大学入試に向けてどうすれば部活動と受験勉強を両立できるかを考え、自らの判断で行動しているからこそできることです。生徒たちには『自分のことは自分で決める』そして『自分で決めたことは自分で責任を持つ』ということを常に伝えておりますが、最近はその姿勢が着実に定着してきていることを感じています。もちろん生徒のがんばりに対しては教員も与え過ぎないことを意識しながら、最後まで全力でサポートします」

 複雑化し、先行き不透明な社会だからこそ、「面倒見の良さよりも、自ら考え、行動するきっかけや環境づくりに力を入れたい」と話す佐久間先生。その言葉通り、同校の切磋琢磨する雰囲気や先輩と後輩の絆が、生徒たちを確実に自立・成長へと導いています。

自立のための取り組み
先輩が面接官役で後輩をサポート!
縦のつながりで能動的な学びへ
先輩からの面接指導。緊張しながらも一生懸命英語で話そうと下級生もがんばります。先輩からの面接指導。緊張しながらも一生懸命英語で話そうと下級生もがんばります。

「生徒が自ら学ぶ機会を奪っているのではないか」という懸念から、同校では英検の一次試験の対策講習を取りやめました。一方、二次試験の前には、すでに合格している先輩が面接官役を務める形で、面接の練習をサポートしています。

 教員よりも先輩が面接官の方が緊張感を持って取り組めるのではないかという理由から始めたものですが、思わぬ効果があったと言います。

「必ず合格させたいと、先輩がとてもていねいに準備をして指導しています。その姿を見ると、後輩も期待に応えようとがんばりますし、来年は自分も先輩のように面接官役をやりたいと思うようになります」(佐久間校長先生)

 教員が指示をしなくても生徒が能動的に学ぶ姿勢は、このような縦のつながりの中でしっかりと培われています。

進学通信 2021年1月号
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