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私立中高進学通信

2025年12月号

注目! News and Topics

麴町学園女子(麹町学園女子)中学校

伝統校が描く
探究学習の“新常識”

『みらい科』のおせんべい作りは、知識の習得からスタートしました。
「原材料は重量の多いものから表示する」など、食品作りの基礎を学びます。
縦割りによるグループ学習も『みらい科』の特色。異学年同士が共に学ぶなかで刺激を与え合い、
それぞれの役割を見いだしていきます。

独自の探究学習は
学び続ける姿勢の第一歩
難波俊樹先生探究特別顧問
難波俊樹先生

「『豊かな人生を自らデザインできる自立した女性』に育てること」を教育ビジョンに掲げる麴町学園女子。2025年に創立120年を迎えた伝統校です。キャリア教育に探究を加えた同校独自の『みらい科』では、将来にわたって学び続ける力の育成をめざしています。

「大学での学びにつなげることはもちろん、40歳、50歳になっても学び続けていく力を育てたいと考えています」

 そう話すのは、東京富士大学経営学部准教授で同校の探究特別顧問を務める難波俊樹先生です。

『みらい科』を象徴する取り組みが、山形県の酒田米菓と連携したおせんべい作りです。50代以上が主な購買層という米菓の魅力を若い世代に伝えるため、「どうしたら私たち中高生が食べたくなる?」という問いからスタートしました。製造上の制約も考慮しながら、みそバターコーン味、明太子チーズ味など多様な味を考案。難波先生が大人顔負けだと感心した生徒たちのアイデアは、2種類のしょうゆの味比べができるというものです。どんな味にするか、ではなく、食べ比べという楽しみも含めた商品になっています。また、1つの味に対してデザインだけを変えた2種類のパッケージを用意し、どちらが手に取られるかを確かめるABテストも行いました。

「学園祭で配布し、データを集計。最も反応の良かった味とパッケージを検証するなど、データサイエンスの初歩にも取り組みました」(難波先生)

 販売の前には検品をダブルチェックで行うなど、実際に商品を世に出すまでの工程も学びました。また、成分表示の作成を通じて化学への関心が広がった生徒もいます。

「通常授業では難しい教科横断型の幅広い学びが実現するよう、探究の場で設計しています」(難波先生)

 こうした体験は、将来の進路選択にもつながっています。中1から高1までの前期・後期で最大8つのテーマを経験し、高2では個人探究へと発展させます。成果は『みらい論文』にまとめ、総合型選抜にも活用していきます。

先生方の思いと強みを活かし
生徒に刺さる「ゼミ」に

 同校では2025年後期より、『みらい科』の新たな取り組みとして「ゼミ」がスタートしました。その背景にあるのは「生徒に質の高い体験を」という先生方の思いです。「社会で生きる力を養うには、教室の内外で手と頭を同時に動かす実践が欠かせません。それがゼミ構想の出発点でした」と難波先生は説明します。

 ゼミのスタートにあたっては、担当する先生方が自らテーマを設計。10月中旬には生徒の前で各担当教員がテーマについてのプレゼンを行いました。「どれを選ぼうか」と考えるワクワク感を生徒に演出するのがねらいです。その後生徒は希望するゼミを選択し、調整を経て配属が決定します。

 ゼミのテーマは、先生方の専門性と外部連携が融合した内容です。例えば発酵について学ぶ「麹」のゼミでは、地方の麹メーカーと理科の先生がタッグを組んでいます。テクノロジーとパラスポーツをかけあわせたロボッチャⓇでは、知的好奇心とコミュニケーション力を高める学びとして取り入れています。テクノロジーとしてエンジニアリング・プログラミングを、データサイエンスの視点でスポーツを考え、問題解決につなげていきます。さらに、チロルチョコ社・日本数学検定協会と連携し、「100円のチロルチョコレートを売る」プロジェクトでは、需要と供給の関係や損益分岐点といった概念を踏まえつつ価値の創造にチャレンジします。

「一般的なチロルチョコは通常1個27円前後。100円という高価なチロルチョコを販売するために、価値をどう生み、どう届けるかを、手を動かしながら学んでほしいと考えています」(難波先生)

 そのほか、東日本大震災以降、同校が取り組み続けてきた「防災」もテーマの一つで、総合科学の観点から取り組んでいます。

 教員が生徒の反応をつぶさに見ながら学びをデザインしていくところが、同校の流儀。「生徒と教員との距離が近く、一人ひとりの顔を思い浮かべ、興味をもって取り組めるテーマを考案しています」と難波先生。企業との連携も教員主導で設計し、学びを実社会の文脈に結び付けていきます。

「科学からアート、ビジネスまで幅広くテーマを設定しています。個人では得られないような豊富な体験を、今後も提供していきたいですね」(難波先生)

2025年度「ゼミ」テーマの例
テーマ 学びのポイントや活動例
麹(発酵) 麹メーカーと連携。発酵について学び、科学的な見方を養う。
ロボッチャ®  協働でエンジニアリング・プログラミングを経験。スポーツ、インクルーシブ、データサイエンスまでを学ぶ。
100円のチロルチョコ販売 チロルチョコ社・ 日本数学検定協会と連携。需要と供給、損益分岐点について学びながら、価値の創造に挑戦する。
防災 東日本大震災以降、継続して扱うテーマ。総合科学の観点から防災を考える。
完成したおせんべい完成したおせんべいは、9/27、28に開催された学園祭で配布しました。配布数をホワイトボードで集計し、データ化して検証していきます。
ポップももちろん手作りポップももちろん手作り。「できるだけ多くの方に手に取ってもらえるように」と考え抜いたデザインです。
>2種類のしょうゆをブレンドした「感動醤油味」2種類のしょうゆをブレンドした「感動醤油味」。多くの人に愛される味を目標に、さまざまな候補の中から試食を経て厳選された一品です。
同一の味でデザインだけを変えた2つのパッケージを用意同一の味でデザインだけを変えた2つのパッケージを用意し、ABテストで反応を検証。データサイエンスの基礎も学んでいます。
生徒が制作したおせんべいのCMも放映学園祭では、生徒が制作したおせんべいのCMも放映しました。パッケージから宣伝までこだわりがつまっています。

(この記事は『私立中高進学通信2025年12月号』に掲載しました。)

進学通信 2025年12月号
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