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私立中高進学通信

2021年7月号

私学の英語最前線

麴町学園女子(麹町学園女子)中学校

「アクティブイングリッシュ」
生徒と学校を変革

「学ぶ英語から使える英語へ!」を合言葉に、授業、教材、定期試験という英語教育の根幹を大きく変えることにより、目覚ましい成果を上げました。
英語の授業では、生徒が英語でアウトプットできることをめざしています。

英語の授業では、生徒が英語でアウトプットできることをめざしています。

授業、教材、定期試験を
根本的に改める

「豊かな人生を自らデザインできる自立した女性」を育てることを教育ビジョンとして掲げる同校では、従来、知識を取り入れることに捉われがちだった英語教育を抜本的に改革すべく、2016年度に、「アクティブイングリッシュ」というメソッドを導入しました。「アクティブイングリッシュ」とは、文部科学省「英語教育の在り方に関する有識者会議」委員である安河内哲也先生を英語科特別顧問に迎えて構築した英語教育のメソッドです。

 その経緯について、安河内先生は次のように語ります。

「未来に向けて新しい教育をめざす麴町学園女子にあって、その理念にふさわしい英語教育を取り入れなければならないという校長先生の熱い思いを、先生方がしっかり受け止めて改革を進めました。根底には、世界と未来に向かって挑戦する気概を持った女性を育てることをめざし、学んだこと、すなわちインプットしたことをアウトプットできるようにという理念があります」

 多くの学校がグローバル教育を実践する昨今、海外研修、ネイティブ講師の授業、オンライン英会話などの実施は珍しくなくなっています。しかし、同校ではそれらの根幹をなす、授業、教材、定期試験を改革しました。

 それまでの英語の授業は、先生が懸命に説明するものの、生徒はそれを聞いてノートに書き写すのに必死という光景が当たり前でした。これを改め、生徒が英語を楽しく話す授業をめざし、先生も生徒が楽しめる授業を心がけました。これにより、生徒たちの声が聞こえてくる授業になったのです。

 また、難しい教材を使えば成績アップにつながるという考えを改め、すべての生徒が理解できる教材を採用しました。生徒の理解が進めば先生が説明する時間が少なくなり、4技能をバランス良く学ぶ時間にあてられます。

 さらに、定期試験は4技能を各25点ずつとし、英検などと同じ出題形式にしました。ライティングの評価はルーブリック評価(※)によって行われ、公平性が保たれます。また、スピーキングの得点は、授業において “英語”で発話すれば1点とするなど、生徒が英語を話すモチベーションを高めました。こうした取り組みにより、生徒の英語スキルは上がり、その成功体験によってさらに学習意欲が高まるという好循環をもたらしました。また、英検1級や準1級の合格者を出すというわかりやすい成果も現れました。

 安河内先生とともに英語教育の改革に取り組んだ英語科主任・堀美加先生は、次のように話します。

「当初は、教員にも長年やってきたことを変えることに抵抗がありました。しかし、結果が出て生徒がイキイキとしてくることで変わりました。生徒も最初こそ戸惑いがあったようですが、成果を自覚できることで浸透していきました」

※ルーブリック評価…評価の観点ごとに学習者の到達度のレベルを表で示し、公正に評価する形式のこと。

海外の上位大学にも
合格者を輩出する

 英語教育の改革により、高3生の英検2級以上の取得率が、2015年度の約10%から2020年度には約60%に急増しました。また、マンチェスター大学、アラバマ州立大学バーミンガム校など、世界大学ランキング上位に入る10大学にのべ13人の合格者を出すまでになり、他校からも注目を集めるようになりました。

 ただし、こうした現状に満足することはありません。

「学校の成長は、常に変わり続けるところにあります。高校の教科書にQRコードが導入されることも踏まえ、いっそうのICT化を図るほか、オンラインで世界とつながるといった新しい試みを進めていきたいですね」(安河内先生)

「英語で自分の意見を言うためには、まず母国語でしっかりした考えが言えなければなりません。国語や社会科など、他教科のアクティブ化も進んでいるので、教科間で良い影響を及ぼすようにしていきたいです」(堀先生)

 大きな成果をもたらした英語教育改革を軸に、さらにアクティブな教育が展開されそうです。

POINT1
生徒が主体となる授業を実施する

 教員による日本語の声だけが聞こえる授業から脱却し、生徒が英語で話す声が聞こえてくる授業をめざしました。初めのうちは、文法が多少おかしくても、伝わるように話すことを促します。自分の英語が通じ、相手の英語を聞き取れたことが生徒の自信につながり、英語を学ぶ意欲を高めるのです。

POINT2
全員が理解できる教材を使用する

 教材のレベルを生徒の中央値に設定しています。レベルの高い教材を使用すると、ついていけない生徒が出てしまいますが、現在の教材は、全員が理解できるもので、ついていけない生徒はいなくなります。また、説明に要する時間が減り、その分をほかのことに当てられます。

担当の先生より
教員の“聖域”に踏み込む改革が成功
英語科特別顧問 安河内哲也先生英語科特別顧問
安河内哲也先生

 教員がどんなに素晴らしい授業をしても、生徒が聞いていなければ意味はありません。「アクティブイングリッシュ」は、教員が頑張る教室から生徒が頑張る教室に変えようという試みでした。学校というところは、とかく何かを変えようとすることにあらがう力が働きがちです。特に、授業、教材、定期試験は教員の“聖域”とも言うべきところで、これらを変えない限り英語教育の改革は不可能です。本校の成功は、まさにこの“聖域”に踏み込んだところにあると思っています。ですから、ほかの学校にもぜひ参考にしていただきたいと思っています。本校でそれが実現できたのは、校長先生はじめ、諸先生方の熱意によるものだと思います。

 最近は、将来グローバルに活躍したい生徒や、子どもをそうさせたい保護者が本校を選択してくださるようになっています。本校で楽しく勉強して、多くの生徒がグローバル系をはじめとした自分のめざす道へ進むようになるといいですね。


コロナ禍の終焉を見据えて
英語スーパーバイザー・英語科主任 堀美加先生英語スーパーバイザー・英語科主任
堀美加先生

 女子校の教員として見る限り、女子は目の前のことにコツコツ取り組む傾向があるように思います。何かができるようになると自信や喜びを感じ、それを楽しむのです。生徒たちが学校生活の中で小さな成功体験を積み重ねて、それをバネに社会へ羽ばたいてほしいですね。

 世界の難関とされる大学にチャレンジして合格したことも大きな自信になったと思います。現状では、海外へ行くことは難しい状況ですが、何もしていないとコロナ禍が収まった際、すぐには動けません。この状況の終焉に備えて、また海外へ行けるようになったときには、すぐに世界へ飛び立っていってほしいものです。

進学通信 2021年7月号
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