Oops! It appears that you have disabled your Javascript. In order for you to see this page as it is meant to appear, we ask that you please re-enable your Javascript!
LINEで送る

スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト スクールポット中学受験版 - 首都圏版学校情報検索サイト

X フェイスブック

私立中高進学通信

2024年8月号

実践報告 私学の授業

麴町学園女子(麹町学園女子)中学校

『みらい科』が進化
2学年協働で社会課題に挑む

予測困難なVUCAの時代を主体的に歩む力を身につける

探究シーン1
中1・中2が縦割りグループで協働する新しい『みらい科』の授業。
分析システムの活用やブレーンストーミングなど初めての体験に、生徒たちは目を輝かせながら取り組んでいました。

独自のキャリア教育に探究活動を組み込み、時代に即したプログラムへとブラッシュアップ。
多様な経験値を得て、人生を自走できる力を育てます。

プロセス重視の探究活動で
社会スキルを育成

 10年以上にわたり、継続して生徒たちの進路形成に大いに寄与してきた、麴町学園女子のオリジナルキャリア教育『みらい科』。2024年度からは、東京富士大学経営学部准教授で、探究学習の研究者として日本アクティブ・ラーニング学会の理事も務める難波俊樹先生を探究特別顧問に迎え、より時代に即したプログラムへと生まれ変わりました。

探究特別顧問/難波俊樹先生探究特別顧問/難波俊樹先生

「新たな『みらい科』の大きな変更点は、成果そのものよりも、『思考する』『ブレーンストーミングでアイデアを出す』『物事を多角的に見る』『グループで協働する』といったプロセスに重きをおき、そのプロセスにおいてどのように成長していくかを大切にするところです。
 こうしたスキルこそが、予測困難なVUCA(※)の時代をたくましく生き抜く力となります」(難波先生)

 また、多様な人々と協働する力を育むため、週1回2コマの『みらい科』の授業は、中1・中2、中3・高1と、2学年の縦割りグループでの活動へと変更されました。学年・クラスが異なるメンバーとの継続的なグループワークは、新たな人間関係を生み出し、発想力を喚起するねらいもあります。

※VUCA…「ブーカ」と読む。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)
の、4つの単語の頭文字を取った造語で、予測困難な社会状況を意味します。

高2の個人探究を
総合型選抜に活かす生徒も

『みらい科』の授業は、前期と後期、年間2つのテーマに取り組みます。中1から高1までに扱うテーマは、「SDGs」「食と科学」「国際交流」など、多岐にわたります。

「中1・中2は、多様な経験を通して見聞を広げ、思考を柔軟にしていく時期。養いたいのは分析力とロジカルシンキングです。中3・高1になると、そこにクリティカルシンキングが加わり、プロセスを大切にしつつも、結果を出すという高度な内容へとレベルアップします。
 高2では、それまでに取り組んだ探究活動の中から、自らのテーマを見つけ、個人研究に取り組みます。それぞれ担当教員が付き、研究成果はプレゼンテーションや論文として年2回の発表会でアウトプットします」

 また、以前と同様に、大手企業の本社が立ち並ぶ麹町という地の利を活かし、近隣企業との連携にも力を入れていきます。これまで『みらい科』を率いてきた河越多衣子先生は企業連携について次のように話します。

「生徒が最も心を動かされるのは、大人が本気で働く姿を見た時です。2023年度、地図製作の老舗である昭文社との連携授業の際、社員の方の地図製作への熱意、使命感を目の当たりにした生徒たちは、教員の働きかけがなくても主体的に行動し、本校近隣地域の防災マップを完成させました。こうした企業連携で得た体験が、その後の進路選びにもつながっています」

 新たな『みらい科』で育てたい力の到達点として、総合的な行動特性『こうじまちコンピテンシー』と、予想外のものにも価値を見いだし、チャンスをつかみ取る力『こうじまちセレンディピティ』の2つに先生方は言及します。

「AIの時代に自分らしさを発揮でき、人生100年時代を前向きに生きられるのは、こうした力をもった人物でしょう」(河越先生)

「みらい科では、生徒が自身の殻を破り、われわれが思いもよらない発想を生み出せるようにすることが理想です。そうなる仕掛けをどんどん用意していくつもりです」(難波先生)

 近年では、高2で仕上げた研究成果を活用し、総合型選抜で大学入試に挑戦する生徒も増えているそうです。

「より幅広い体験の機会を用意し、成果物のクオリティを上げ、超難関大学の総合型選抜に合格できるよう、レベルアップさせていきたいですね」と、難波先生は先を見つめます。

研究レポート
新『みらい科』中1・中2のチャレンジ 『地方創生★政策アイデアコンテスト』へのアイデアを練る

 中1・中2が合同で行う『みらい科』の授業を取材しました。取材日には「地方創生」をテーマに、4~5名ずつのグループに分かれ、「地域経済分析システム」(RESAS)を用いて地域課題を分析・考察し、意見を出し合って解決に向けたアイデアを考えました。半年をかけてひとつのアイデアへとまとめ上げ、内閣府地方創生推進室が主催する『地方創生★政策アイデアコンテスト』に応募します。

「本校は都心部にあるため、地方の実情や生活を知らない生徒も多く、『地方創生』をテーマに選ぶことで、視野を広げ、興味の幅を広げてほしいと考えたのです。自分の半径100m圏内で生きている生徒たちの視野を、いかに広げるかという点にも留意して授業を組み立てています」(難波先生)

 ブレーンストーミングの体験では新しいスイーツを考え、生徒たちはアイデアを出し合う楽しさを体感しました。

難波先生の講義を真剣に聞き入る生徒たち。この授業は、大人数が収容可能な体育館で行われました。探究シーン2
難波先生の講義を真剣に聞き入る生徒たち。この授業は、大人数が収容可能な体育館で行われました。
床に座ってリラックスして取り組むため、柔軟な発想が生まれやすいという利点があります。探究シーン3
床に座ってリラックスして取り組むため、柔軟な発想が生まれやすいという利点があります。
iPadにアイデアをまとめていきます。同校では1人1台iPadを持ち、日頃の授業や学校生活で活用しています。

探究シーン4
iPadにアイデアをまとめていきます。
同校では1人1台iPadを持ち、日頃の授業や学校生活で活用しています。

生徒に聞きました
ブレーンストーミングで
商品開発に興味が湧きました
Nさん(中2)Nさん(中2)

 今回の授業では、『地方創生★政策アイデアコンテスト』の受賞アイデアを読み込んで、意見を出し合いました。今までにないアイデアを出したいと思い、空き家問題の解決策として児童養護施設や学童施設として再生させてはどうかという案を思いつきました。ほかの人の意見を聞くことで、新たな視点が得られて新鮮でしたし、会社の会議はこんな感じなのかなと、少し大人になった気分でした。

 ブレーンストーミングも初めて体験しました。いろいろなスイーツを考えることがとても面白くて、商品開発の仕事に興味が湧きました。初めてのワクワクをたくさん経験できそうで楽しみです。


将来の目標は社長!
起業に必要なスキルを学びたい
Bさん(中2)Bさん(中2)

 今年の『みらい科』の授業は、思考を深めたり分析したり、内容が高度になった印象です。

 少子高齢化が進む地域に親類が住んでいるので、地方創生の必要性は前々から感じていました。どうしたら観光客や移住者がたくさん集まるのか、自分事として考えていきたいと思います。ブレーンストーミングでアイデアを出し合うのも初めてで、社会人のような体験ができてとても楽しかったです。

 将来の夢は、世界中の人々が楽しく暮らせる社会をつくるために会社を設立すること。みらい科の授業で得られるスキルは、起業の際に役立つと思います。

進学通信 2024年8月号
紹介する学校
共学校 共学校   女子校 女子校   男子校 男子校
この号のトップに戻る 進学通信一覧を見る
ページトップ