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私立中高進学通信

2022年1月号

私たち、僕たちが大好きな先生

サレジアン国際学園世田谷中学校

 ※2023年4月よりサレジアン国際学園世田谷中学高等学校に校名変更・共学化

イメージを覆す
生徒が主役の
ポジティブな防災教育

亰 百合子(きょう ゆりこ)先生
2008年に目黒星美学園中学高等学校に社会科教員として奉職。
自身のそれまでのボランティア活動に対して第3回ボランティア・スピリット・アワード全国賞を受賞。
高校生の希望者を対象に、夏休みに実施されている「フィリピンボランティア研修」(昨年と一昨年は休止)など、
VCP(ボランティア・コミュニケーションプログラム)を実践する同校のなかで防災教育を積極的に進めている。

「こわい」「思い出したくない」など、災害のもつネガティブなイメージがつきまとう"防災"。そんな印象を180度変えるポジティブな防災教育を実践している亰百合子先生。亰先生に防災教育を実践するうえで大切にしていること、生徒に学んでほしいことなどを聞きました。

小学生からボランティア活動
留学時は特技の腹話術が役立った

――まず、教員になられた経緯やきっかけを教えてください。

 大学では経済学部で、環境問題や途上国問題について学んでいました。世の中にプラスになる仕事ができればと思っていましたが、当初はあまり教員になろうとは思っていませんでした。ただ、ある先生から聞いた「生徒を育てると、自分のやりたいことが生徒を通して広がっていく。"人作り"は面白いよ」という言葉が心に残り、教員をめざすことにしました。今は生まれ変わっても教員になりたいと思うくらいです。

――学生時代からボランティアに携わっていたそうですね。

 私の両親は腹話術をきっかけに出会い、消防士だった父は腹話術で子どもたちに火災予防を呼びかけていました。私も小2の頃から腹話術でボランティア活動をしていたので、子ども会や図書館、高齢者施設などあちこちから呼んでいただきました。大学時代にメキシコへ留学していたときは、大気汚染の調査で日系企業や住民、現地の行政機関などにインタビューをしました。そのとき、特技の腹話術が役立ち、パーティーに呼ばれて行政の方を紹介していただいたほか、次期大統領の家族と仲良くなったこともありました。特技があるといろいろな活動につながることを実感しました。生徒にも、好きなことや得意なことは形を変えて自分を助けてくれるので、自分が持っているものを将来につなげていける人になってほしいと話しています。

――今でも腹話術を披露されることはありますか?

 今では3年に1回ほど、朝礼で披露するくらいです。普段はケンちゃん(腹話術の人形)を袋に入れてしまっていますので、私が腹話術をすることを知らない生徒も多いと思います。今は自分が舞台に立つよりも、生徒を主役にするほうに夢中ですね(笑)。

生徒のアイデアで
防災を前向きなものに変える
宮城県東松島市の職員の方と一緒に災害時の簡易トイレを組み立てる生徒たち。どうすればより良いものになるかを提案しました。宮城県東松島市の職員の方と一緒に災害時の簡易トイレを組み立てる生徒たち。
どうすればより良いものになるかを提案しました。

――学校で防災に取り組むようになったきっかけは?

 東日本大震災がきっかけですね。私は宮城県仙台市の出身で、2011年春の余震で実家が半壊するなど被害を受けました。ボランティアクラブの顧問だったのですが、生徒たちから「東北に行ってボランティアをしたい」という声があがり、地元の宮城県で生徒と一緒にボランティア活動をしました。

――そこで気づかされることがあったのですね。

 その活動のなかで友人・知人から、「東京で災害が起こると大変なことになるから気をつけて」という声を聞きました。最初は東北のために生徒たちと活動をしていましたが、自分たちの足元を見たときに、災害に対して全く備えていないことに気づかされました。この状況を何とかしたいと思い、2014年頃から生徒を主役にした防災の啓発活動に取り組み始めました。

――それから精力的に活動を進め、学校として2018年には第21回ボランティア・スピリット・アワードのコミュニティ賞を受賞されました。そのほかにも複数の賞を受賞されていますが、活動のどのようなところが評価されたのだと思いますか。

 春と夏の年2回、宮城県で実施する2泊3日の「被災地ボランティア研修」のほか、災害時のトイレ問題の啓蒙啓発活動、携帯トイレの普及活動、校外での防災ワークショップなど、これまでの取り組みが評価されました。

 コロナ禍で最近は活動にさまざまな制限がありますが、以前は地域のお祭りや古着を回収する活動をお手伝いしたり、防災の勉強会で生徒が講師役を務めたりと、生徒と一緒に積極的に活動していました。今はボランティアクラブに参加している生徒だけでなく、さまざまな生徒が参加できるように工夫しています。

――「ポジティブに防災を考える」がテーマとお聞きしました。

 防災は「こわい」などとネガティブに捉えられがちですが、それを前向きなものとして世の中にどう発信したらいいかと考え、実践しています。最新の活動のひとつは、9月に世田谷区のHPにアップされた二子玉川防災塾セミナー「わくわく防災減災〜日常でできる防災のヒント〜」の動画制作です。今年は集まって勉強会ができないので、自治会や学校のPTAに提供する動画を作ってほしいと世田谷区から依頼され、中1から高3の計9名の生徒たちで40分間の動画を作成しました。区役所職員の方と話し合いをしながら進めていきましたが、生徒からたくさんのアイデアが出たことに、職員の方が驚かれていました。生徒たち自身でアイデアを出し合って構成を決め、ナレーションも務めました。さらに視聴者の関心をひきつけるため、オープニングの1分半は映画『天気の子』のイメージにしたいというアイデアが出て、その部分はプロの方にお手伝いをしていただきました。生徒たちのアイデアを引き出すことにやりがいを感じて、私自身も楽しかったです。

――ボランティア活動を通して、生徒からの反応は?

「自分にこんな力があると思わなかった」「活動を通じて自分の可能性に気づいた」と、何人もの生徒が言ってくれました。社会人になった卒業生が「中高時代のボランティアでの経験が今の自分を作った」と言ってくれたこともあります。校外の活動ではいろいろな人と触れ合います。防災の活動で、ときには考えが異なる人とぶつかることもありますが、そうした経験もバネにしてほしいのです。うまくいかなかった経験は生徒が飛躍するチャンスにもなるので、失敗をどう次につなげるかが肝心だと思います。教員として、生徒がつまずいた時に、視点を変えるようなアドバイスをするように心がけています。生徒には失敗を恐れずに活動してほしいですし、それを成長につなげてほしいと思います。

「わくわく防災減災〜日常でできる防災のヒント~」(世田谷区HP 二子玉川防災塾セミナー)より。「前向きな気持ちになれる動画なので、ぜひご覧になっていただければと思います」(亰先生)「わくわく防災減災〜日常でできる防災のヒント~」(世田谷区HP 二子玉川防災塾セミナー)より。
「前向きな気持ちになれる動画なので、ぜひご覧になっていただければと思います」(亰先生)
生徒がアイデアを出せるような仕掛けが散りばめられている亰先生の社会科の授業。授業のなかでも防災の取り組みに触れることがあります。生徒がアイデアを出せるような仕掛けが散りばめられている亰先生の社会科の授業。授業のなかでも防災の取り組みに触れることがあります。
受験生にメッセージを!

 本校は2023年4月から『サレジアン国際学園世田谷中学高等学校』と校名を変更して共学化しますが、ボランティアや防災に関しては継続して取り組んでいきます。「自分の可能性を発見したい!」「何か行動を起こしたい!」そんな生徒に入学してほしいですね。一人ひとりが持つ素晴らしい力を一緒に伸ばしていきましょう。

進学通信 2022年1月号
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