私立中高進学通信
2024年8月号
校長先生はこんな人!
武蔵野大学中学校
常に不動の一点を見つめて前進する
プリンシプルをもった生徒へ

原田 豊 (はらだ・ゆたか)校長先生
1958(昭和33)年、東京都出身。大学での卒業論文は「夏目漱石の思想」。
大学卒業後に淑徳与野高等学校の教壇に立つ。
その後、浦和学院高等学校の教頭を経て、
2009(平成21)年、東京都市大学等々力中学・高等学校の初代校長に就任。
2024(令和6)年4月、武蔵野大学中学・高等学校の校長に就任。
世界に貢献するための
授業や探究活動を実践
高校時代、国語を教えてくださった恩師がいました。その先生は教育に関して揺るぎない信念をもっており、指導はかなり厳しいものでした。授業が始まるまでに、小説ならあらすじを、評論文なら要約をノートにまとめておかないと、大声で叱責されるのです。
当時の文化祭で、私たちのクラスは映画を撮影して上映しました。脚本の担当者は私でしたが、脚本を読んだ先生は「これを書いたのは誰だ?」と教室に響き渡る声で尋ねてきました。私は脚本の出来が悪く、怒られるのかと委縮していたのですが、反対に先生は褒めてくださったのです。しかも、絶賛といっていいほどでした。
私はもともと本や歴史が好きでした。そこに厳しい先生から脚本を評価していただけた喜びも手伝って、大学で国文学を専攻することに決め、将来は教員になろうと決意しました。高校には、この恩師をはじめ個性豊かな先生方が揃っており、自分の考えを自由に、かつ自信をもって生徒に語っていました。その姿に魅力を感じていたからです。
大学を卒業した私は、私立の高校2校で教壇に立った後、東京都市大学等々力中学・高等学校では、副校長・校長を15年間務めました。そして、今年の春から本校の校長に就任することになりました。
本校は『熱量』と『チャレンジ』をテーマに探究活動に力を注ぎ、進路実現と人格向上、そして『well-being(ウェルビーイング)』をめざす学校です。『well-being』とは、「皆が幸せを感じること」を意味します。そのために、思考力や対話力を鍛え、将来の世界への貢献を想定した次世代型の授業や、多彩な行事を用意しています。生徒たちのプレゼンテーション力やICTツールの活用力は高く、校内は活気にあふれ、大学進学実績も向上しています。
自学自習力をさらに鍛え
生徒の可能性を伸ばす
私は校長として、本校の教育をさらに充実させ、生徒の可能性をこれまで以上に伸ばしていきたいと考えています。その芯になる要素の一つが、『自学自習力』です。例えば、授業の際に教員は「今回の目標と覚えるべきポイント」を生徒へ明確に伝えます。学ぶ目標がわかるよう、授業の「ガイダンス」を行うのです。教員は目標に沿って授業を「展開」し、最後は必ず生徒に「振り返り」を指示します。目標が達成に至ったかを生徒に確認してもらうのです。これだけでも、授業の質と満足度はさらに高まります。
そして、その日に学んだことを活用して問題を解く「課題」を出します。量自体は、放課後に学校で終わらせてから帰宅できるような少量でかまいません。次に、こうして得た知識を試す小テストを行います。そして、合格点に満たない生徒には「再指導」を徹底します。この「ガイダンス」「展開」「振り返り」「課題」「再指導」の5つによって、生徒の自学自習力と各教科の基礎学力は、ますます高まると考えています。
問題意識を常に
もち続けられる力を
自学自習力を土台に、問題を解決する力、そしてそれ以上に、問題意識をもち続ける力を身につけさせたいと考えています。社会にある諸問題は、そう簡単に解決できるものではなく、いずれも一生をかけて取り組むべき課題といえます。問題解決に向けた、人の心を揺さぶるプレゼンテーションは必要ですが、あくまでも過程の一つに過ぎません。「プレゼンが成功してみんなを感動させた」と達成感を得るだけでなく、自学自習力によって解決策を常に考え続ける。そうした姿勢を育んでいきたいと考えています。
もう一つ重要なのは、生きていく指針「プリンシプル」を定めてもらうことです。プリンシプルとは「主義」や「信条」を意味し、生き方の大原則となります。誰からも尊敬され、真のグローバルリーダーとして社会に貢献するうえで必要不可欠な要素です。
本校は、仏教の精神に基づき、自分自身を見つめ、思いやりや感謝の心を育む人格教育を実践しています。この精神こそ、プリンシプルになり得ると思うのです。黙念して手を合わす「朝拝」や「宗教」の授業など、仏教に触れる機会も多く設けています。こうした経験を通して、プリンシプルを胸に、高い志をもった生徒を育てていきたいと考えています。
そして、生徒たちには、失敗を恐れずに何にでもチャレンジしてほしい。そこで仮に失敗しても、その失敗を通して強い心を培っていけるように、教員一同が一丸となって指導していきます。

[沿革]
1924(大正13)年、仏教学者・高楠順次郎博士により、仏教主義による女子教育を理想に掲げる武蔵野女子学院として開校。1947(昭和22)年、学制改革により武蔵野女子学院中学校・高等学校となる。2019(平成31)年、武蔵野大学中学校・高等学校に改称、中学校を共学化。翌年、高校を共学化。2024(令和6)年に創立100周年を迎えた。仏教的情操に依拠した倫理観を土台に、こころの教育と理論的思考力、世界に貢献する力を育成する教育を実践している。
(この記事は『私立中高進学通信2024年8月号』に掲載しました。)
武蔵野大学中学校
〒202-8585 東京都西東京市新町1-1-20
TEL:042-468-3256
進学通信掲載情報

PICK UP!!
紹介する学校
- 『みらい科』が進化2学年協働で社会課題に挑む麴町学園女子(麹町学園女子)中学校
- 探究活動『ゼミナール』で創造的な学び方を身につけるサレジアン国際学園中学校
- 世界に、自分たちの仕事を創る 独創的な『創造性教育』瀧野川女子学園中学校
- 95年の歴史ある探究型学習 主体的に調べ考え表現する『自由研究』玉川学園中学部
- 海外大学進学も視野に!広がる可能性と学び日出学園中学校
- 海外の名門大学合格へと導く世界水準のアカデミックな授業広尾学園小石川中学校
- 3年目を迎え探究力が深化した『クリエイティブチャレンジ』文教大学付属中学校
- 体験と学術的な学びが詰まった『鳴子スタディツアー』横浜女学院中学校
- “全力で取り組む”をサポート知る機会を作ることで社会への関心を養う星野学園中学校
- 生徒主体の探究活動で「探究女子」を育成企業コラボでも素晴らしい成果を実現トキワ松学園中学校
- 先の見えない時代を生き抜く 探究で育む“世界を問う力”開智日本橋学園中学校
- 人のために生きることは自分を成長させること淑徳中学校
- 尊重し合える関係づくり学習習慣の確立を重視三輪田学園中学校
- 目標に向かって励む生徒たちが輝くイキイキとした学びの場実践学園中学校
- 学校での日々の生活、全てが宝物に中村中学校
- 楽しく学校に関わり生徒と先生を支える京華女子中学校
- 部活動での成長を見守っています青稜中学校
- 「父母の会」が学校と生徒をバックアップ高輪中学校
- 個性を尊重する教育で子どもと一緒に保護者も成長千葉明徳中学校
- 保護者の自由な発想で活動が生まれていますドルトン東京学園中等部
- 思春期の子どもを安心して任せられる環境八王子学園八王子中学校
- 理工系人材をさらに多く育成しグローバル社会へと送り出したい芝浦工業大学附属中学校
- 学校は生徒が未来を創る場所自分もみんなも幸せになる未来を一緒に創ろう千代田中学校(現 千代田国際中学校)
- 自分の意志で豊かな人生の選択ができるそんな女性を育てたい日本大学豊山女子中学校
- 1つのキャンパスでカナダと日本の2つの言語と文化を学ぶことができるダブルディプロマで将来を見据える文化学園大学杉並中学校
- 常に不動の一点を見つめて前進するプリンシプルをもった生徒へ武蔵野大学中学校
- 生徒が輝くフィールドを見つけられるようサポート目黒学院中学校
- 見つけられるようサポート田園調布学園中等部
- 圧倒的基礎学力と高い人間力を育成全国の医学部・国公立大学・難関私立大学に合格者輩出松本秀峰中等教育学校


