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私立中高進学通信

2024年8月号

実践報告 私学の授業

文教大学付属中学校

3年目を迎え探究力が深化した
『クリエイティブチャレンジ』

毎年進化するCCの学びで伸びる『文教ユニバーサルコンピテンシー』

発表シーン1
CCの成果を発表する『探究祭』。
このチームは生徒に身近な商店街を巡り、フードロス問題について考えました。

2022年度より、毎年レベルアップを重ねる探究プログラム『クリエイティブチャレンジ』(CC)。
生徒の成長段階に合わせた“世界標準の社会貢献力”を育てます。

『CCジュニア』『CC本科』の
2段階で成長を促す
校長/神戸 航先生校長/神戸 航先生

 建学の精神『人間愛』を時代に即して捉え直し、変化する現代社会が求める「世界標準の社会貢献ができる人物」を育成している文教大学付属。それを具現化するのが、「総合的な学習および探究の時間」の一環として、2022年度よりスタートした『クリエイティブチャレンジ』(以下、CC)です。生徒は興味をもったテーマの探究に、1年をかけてじっくり取り組みます。

「本校では、文教生に必要な発見力・思考力・行動力・探究力・表現力の5つの資質を策定した『文教ユニバーサルコンピテンシー』に基づいて、全カリキュラムを実施しています。なかでも教科を横断するCCは、生徒のキャリア教育にも結びつく、主体的かつ継続的な自律協働型プロジェクトです。3年目を迎えた今年度は、探究心を高めるデジタル教材も新たに導入し、より内容と密度の濃いCCへと進化しました」(中学校長/神戸航先生)

 CCの学びは2段階あり、中1・中2が学年ごとに学ぶ『CCジュニア』と、中3から高2が一斉に参加し、グループや個人でテーマを設定して探究を行う『CC本科』が用意されています。

「CCジュニアは、探究学習の入門編です。テーマの設定や調べ方、まとめ方、発表の方法など、学びのスタイルや技術を習得します。中1では身近な品川地区のフィールドワークを軸とし、中2では秋の校外学習と連携して、社会と結びつくテーマを深掘りします」

 初めての探究学習となるCCジュニア期間は、教員のサポートも重要だと神戸校長先生は説明します。

「いきなり主体的にテーマを考えようと促しても、ハードルが高すぎます。そこで中1では“学校”や“品川区の特徴”など、テーマの大枠を教員が設定し、そこから具体的なテーマへと絞っていくグループワークを行います。
 中2では鎌倉への校外学習と連動させ、『自分たちが鎌倉の地にどう貢献できるか』を考え、具体的な探究課題の発見を促します。鎌倉の観光ルートづくり、歴史的建造物や鎌倉野菜についての研究などテーマも多彩になり、生徒は発表内容やプレゼンテーション方法もレベルアップさせていきます」

このチームは「ヒット曲をつくるには?」がテーマ。発表シーン2
このチームは「ヒット曲をつくるには?」がテーマ。
昨年度の『探究祭』では学園の理事長も生徒の発表を見に来てくれました。発表シーン3
昨年度の『探究祭』では学園の理事長も生徒の発表を見に来てくれました。
同じテーマを
2年間探究するグループも

 CC本科は、中3から高2までの3学年による合同授業が最大の特徴です。学年の枠を越えた縦割りのグループワークが可能になり、生徒はより自由度の高い探究学習に取り組みます。

「中だるみしがちな中3生に、部活動以外でも高校生の先輩から刺激を受け、自主的に探究してほしいと考えています。学年やクラスを越えて同じテーマを追いかけることで、新しい人間関係を築くきっかけにもなっています」

 全学年のCCの成果は3学期の『探究祭』で公開され、生徒たちは目を輝かせながら発表を行います。

「2023年度は、さらにユニークなテーマを探究する生徒が増えたように思います。校内の自動販売機にキャッシュレス決済を導入する方法を模索したり、ゴミの削減について多角的に調査・研究を進めたりするなど、身近な生活から社会課題を捉え直したテーマも増えています。
 前年度から継続して同じテーマに取り組み、以前はうまくいかなかった実験に再挑戦して、内容を更新するグループも出ています。探究学習を一過性ではない学びに昇華させることで、生徒の将来の糧にもなると考えます」

 同校は文教大学のみならず、現在は横浜薬科大学などとの高大連携にもアクティブにアプローチしています。

「今後も、高大連携や企業・NPOとの連携を積極的に進めることで、生徒がより実践的な社会貢献を考える機会をさらに増やしていきます」

探究レポート1
中1・中2が学年ごとに学ぶ『CCジュニア』
探究学習のスタイルと技術を習得
『CCジュニア』の探究祭では、クラス全員に発表を見てもらいます。クイズ形式の能動的なプレゼンテーションをするチームも。探究シーン1
『CCジュニア』の探究祭では、クラス全員に発表を見てもらいます。クイズ形式の能動的なプレゼンテーションをするチームも。

 中1・中2の『CCジュニア』期間は、ともにクラス単位で少人数のグループワークに取り組みます。中1では、学校や近隣地区など身近な課題をテーマに、調べ学習の効果的な方法やプレゼンテーションの仕方などを学び、探究の基礎と実践力を身につけます。

 中2では、秋の鎌倉校外学習と連動。現地のフィールドワークを行うなかで、地元住民へのヒアリングや現地調査におけるルールやマナーを学びながら、社会の中で探究活動を展開する力を身につけます。

「鎌倉の歴史や地場産業に対して、『自分たちにはどういった貢献ができるか?』という視点で課題を発見できるよう促しています。活動を通して、社会的な視野を広げる力を身につけていきます」(神戸校長先生)

探究レポート2
中3~高2が合同で行う『CC本科」
協働型プロジェクトによる本格探究
自主的な課題発見・課題解決に取り組む
『CC本科』の授業では、テーマを絞り込むところから生徒チームの積極性と自主性が養われます。
探究シーン2
『CC本科』の授業では、テーマを絞り込むところから生徒チームの積極性と自主性が養われます。

 中3・高1・高2が合同で行う『CC本科』では、年度の始めに生徒全員に自分が興味のある分野についてのアンケートを取ります。その結果を基に、共通する分野を選んだ数十名ずつを縦割りのグループに分け、各分野を得意とする教員がグループ顧問を担当して探究活動を進めます。2023年度は29グループが作られました。

 グループ内で、どういった探究スタイルでどんなテーマに取り組むのかは、生徒に任されます。個人で進める生徒もいれば、数人でグループワークを行う生徒も。顧問の教員はあくまでアドバイザーに徹しますが、中間発表会を受けて生徒のやる気や視野の角度を刺激し、探究学習のモチベーションアップに努めます。


多岐にわたる探究テーマの数々
「服の作り方やデザインについて」をテーマにしたチームは、実際に洋服をデザインし、裁縫したものを『探究祭』で展示しました。探究シーン3
「服の作り方やデザインについて」をテーマにしたチームは、実際に洋服をデザインし、裁縫したものを『探究祭』で展示しました。

 各分野内での探究テーマも多岐にわたります。SDGsの観点から見るゴミ削減やリサイクル問題、高齢者問題など地域社会の課題、学校行事や校則の改定など生徒に身近な課題、サブカルチャーやジェンダー問題といった社会性の高いテーマなど、探究内容の自由度が高いのも同校の特徴です。CC本科での課題解決の提案が、実際に形になる可能性も秘めています。

「コンビニエンスストアでもらうスプーンの新たな材質を考えようと、生分解性プラスチック技術を使った実験。2年連続で取り組んだチームもあります。一昨年度から校内にビオトープを作りたいと研究を進めたチームのアイデアは、実際に導入の検討段階に入っています。2023年度のテーマとして多かった自動販売機のキャッシュレス化導入も検討の余地は大きいですね。今後の探究活動にも期待しています」(神戸校長先生)

進学通信 2024年8月号
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