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私立中高進学通信

2024年8月号

実践報告 私学の授業

サレジアン国際学園中学校

探究活動『ゼミナール』で
創造的な学び方を身につける

粘り強くテーマを追いかける探究活動で伸びる論理的思考力・表現力

授業シーン1
『entrepreneur養成講座』では、何をすれば社会貢献につながりそうかを意見交換。

興味のある分野について一人ひとりがテーマを深める『個人研究』。同校がめざす“世界市民”の育成に欠かせない活動です。
クラスや学年の枠を越えて協働し、学び合う学習活動を取材しました。

未来へ羽ばたく力をつける
ゼミ形式の探究学習

 変化の目まぐるしい時代に必要な正解のない問いへのチャレンジを重視し、「21世紀に活躍できる『世界市民』の育成」をめざすサレジアン国際学園。主体的な探究学習により生徒の力を引き出す『本科クラス』と、オールイングリッシュで英語力を伸ばす『インターナショナルクラス』の2クラスを設置しています。

 本科クラスの特色ある取り組みとして、中2から高2まで継続する『個人研究』が挙げられます。個人研究は自分の興味・関心に基づいて8つの『ゼミナール』から所属先を選択し、学年やクラスの枠を越えて学びながら、各自でテーマを設定して研究を深めていきます。毎年の学園祭が定期発表の場となっており、生徒はポスター発表やプレゼンテーションで研究の途中経過を発表。中3で中間レポート、そして高2では最終論文へと発展させていきます。

 中2から始まるゼミナールでの主体的な探究活動に備えて、中1ではアカデミックスキルを身につける『プレゼミ』を展開。校内探訪や校外活動、理科実験、ロジカルシンキングなどを通して、探究の基本を実践しながら自らの興味・関心を問いとして立てる術を習得していきます。

知識を与えるのではなく
考える余地を残す

 中1の3学期には、中2から始まるゼミナールの選択に向けて、志望理由書や研究計画書を作成します。教員と生徒で一対一の面談を重ね、最適な所属ゼミを決めていきます。

 やりたいことが明確でゼミがすぐに決まる生徒もいますが、興味・関心をどのゼミにつなげていいかわからない生徒もいます。その場合は「こうしなさいと教員が指示するのではなく、何がしたいのか、どうしたいのかを、ていねいに聞き出す面談を大事にしています」と、本科推進部長の尾﨑正靖先生は話します。

 また、学年が進むにつれてテーマの変更を考える生徒も出てくるそうですが、「少し問いをズラせば新たな角度でテーマを捉えることもできます。より良い探究のためには、テーマではなく問いの立て方を変えることも推奨しています」と、生徒が粘り強くテーマに向き合えるよう働きかけています。

 個人研究以外に、教科の授業でもPBL(※1)を導入している同校。

「プレゼミやゼミナールの活動を通して、中高6年間を一人の研究者として、自分の視点をもって学んでほしい。そして、進路だけでなく自分の生き方を考えられる人に成長してほしいですね」と尾﨑先生は話します。

※1 PBL…Project Based Learning の略。生徒が自ら課題を見つけ、課題の解決策を探ることで、論理的思考力やコミュニケーション力などを身につけていく学習方法。

『E研』では、先行研究に目を通し、先輩にアドバイスももらいながら活動内容を検討中。授業シーン2
『E研』では、先行研究に目を通し、先輩にアドバイスももらいながら活動内容を検討中。
『クラブヒストリア』ゼミでは、文献や統計などを読み解く方法も取り入れられています。授業シーン3
『クラブヒストリア』ゼミでは、文献や統計などを読み解く方法も取り入れられています。
『プログラミング』ゼミでは、新たなスマホアプリを作るため、同様のアプリがないかを調査。授業シーン4
『プログラミング』ゼミでは、新たなスマホアプリを作るため、同様のアプリがないかを調査。
学園祭を「設定したテーマにおける研究成果を発表する場」と位置付け、本科クラスではゼミごとに分かれて、生徒全員が個人研究のポスター発表を行います。授業シーン5
学園祭を「設定したテーマにおける研究成果を発表する場」と位置付け、本科クラスではゼミごとに分かれて、生徒全員が個人研究のポスター発表を行います。
多彩な分野から選択! 自ら学びを深める『ゼミナール』授業(中2~高2)
教科・分野 ゼミ名称 内容
国語 文藝批評・
文化論ゼミナール
文芸、音楽、サブカルチャーなど、幅広い作品を通して社会や文化を考察。現代社会における芸術の意味やあり方も考える。
数学 MathーLab
~数楽研究室~
各個人が興味のある数学的テーマを取り上げて研究し、論文にまとめる。数学の面白さに触れ、高度な論理的思考力を身につける。
物理 理論物理研究室 数学やコンピューターを用いて物理学を理論的に研究し、論文を作成。『力学』を中心に、数学やコンピューターによる解析方法も学ぶ。
理科 E研(エネルギー、エコロジー、環境) 環境問題やエネルギー開発について考える。工作や実験を通じて、再生可能エネルギーの研究やエコ商品の開発をする。
生物 野生生物研究室 身近な生物の生活や行動、形態の特徴に迫り、生物と環境、生物同士の関係性を理解し、生物と人とが共存していく意味について考える。
歴史 クラブヒストリア 文献資料や出土資料、統計資料などを駆使して歴史の“なぜ”に迫り、歴史を読み解く力を未来に活かす。
公民 entrepreneur
養成講座
未来の望ましい社会について政治・経済・思想・哲学などを通して考える。社会課題に対して行動・解決に向かうのが目標。
工学 ロボティクス研究室 人の困り事や不便な点を見つけ、機械(メカトロニクス)を使って新しい価値を創造しながら解決していく。
情報 プログラミング プログラミングの基礎やデザイン理論など関連する知識を幅広く学んだ後、自分の目標に沿ってアプリを作成する。
生徒インタビュー
中2~高2が一緒に興味ある分野を探究するゼミナール 生徒全員が一人の研究者! 自分の視点で新しい扉を開く
『公民分野・entrepreneur養成講座』ゼミ
心理学を知ることから始めたい
R.Y.さん(中2)R.Y.さん(中2)

 心理学に興味があり、昨年の発表で心理学をテーマにしていた先輩がこのゼミにいることを知り、私も選択しました。発達障害などを抱えている人たちの心のケアについて学んでいきたいと思っています。

 将来は大学で心理学を学びたいと思っています。心理学と一口に言っても幅が広いので、まずはどんな分野があるのかを調べて、知識をつけていきたいです。


『理科分野・E研』ゼミ
夢をカタチに! 発電機を開発したい
K.T.さん(中3)K.T.さん(中3)

 このゼミではこれから3Dプリンターを使った製作ができるので、それを目当てに昨年から所属しています。僕のグループは「発電」に興味をもつメンバーが集まっています。

 発電方法にはいろいろありますが、日常生活に使えて災害時にも役立つ「太陽光発電機」を作りたいと思っています。今日は手回し発電機を組み立てて、発電の仕組みそのものを理解しようと思います。


『情報分野・プログラミング』ゼミ
ITの知識を社会に活かしたい
Y.O.さん(中2)Y.O.さん(中2)

 ゼミ活動に強い関心があり、この学校への入学を決めました。中1時の取り組みでは、校内の気になる「音」を探す『feel度Walk』(※2)やデータサイエンステクノロジー、夏に2回行われた探究ツアーが印象に残っています。

 僕の所属ゼミは、『プログラミング』ゼミです。ITやコンピューターなどに以前から興味があり、そうした知識は今後の社会で活かせる場面が多いのではないかと考えて、このゼミを選びました。

※2 feel度Walk…何となく気になる「もの」「こと」「ひと」をあてもなく追いかけたり、立ち止まって観察したりするフィールドワークの手法。探究の基盤となる好奇心を呼び覚まし、発想し表現する面白さが体験できる。


『歴史分野・クラブヒストリア』ゼミ
郷土料理を端緒に歴史や地理を深堀り
Y.N.さん(中3)Y.N.さん(中3)

 昔の日本の食事を調べれば、健康の秘密がわかると思い、中2から郷土料理を調べています。調べていくと、水の硬度や地質によって調理法も違ってくることがわかりました。

 理科が得意ではないので、そうした点に目を向けるまで時間はかかりましたが、個人研究を通して新しい発見がありました。今年は幅広い年齢層を対象に、郷土料理についての意識調査をする予定です。

令和7年度に新校舎使用開始予定

 地下1階、地上5階建ての新校舎の建築が進んでいます。課題解決型の学びが活発な同校にふさわしく、生徒がプロジェクトを進めるために集える共用スペースや、理系ゼミの拠点にもなるサイエンスラボ、最新設備を備えたデータサイエンス室などが完備されています。

新校舎の完成予定図新校舎の完成予定図
データサイエンス室データサイエンス室
教室前の共用スペース教室前の共用スペース
サイエンスラボサイエンスラボ
進学通信 2024年8月号
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